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第7話 別の場所で勉強しよ

 授業が終わって、いつも通り香織と勉強していた。

 すると香織が突然。


「あなた、小林さんと遊んでいたでしょ?」

「え? なんで知ってるんだ?」


 香織がそんなことを知っているとは思ってもみなかった。


「たまたま見かけただけよ」


 香織は言い、その後は無言になった。彼女の表情はどこか不満そうで、俺はそれを見てどこかで見たような気がした。


 俺はどう反応すればいいのか悩んだ。


「いや、別にお前何にもないからな!」


 それに対して香織は「別にあなたがどこで、どんな人と遊んでいても関係ないわ」と言った。


 しかし、彼女は続ける。


「でも、テストで赤点を取ったらどうなるか?分かっているよね?」

 その言葉に、俺は「うわー」と声を出してしまった。


「勉強に集中して! そんなに心配なら、もっと一生懸命にやりなさい」


 俺は頷いて、問題集に目を戻した。でも、心の中ではまだ香織の反応が気になっていた。なぜあんなに不満そうにしていたのか。香織はいつも俺のことを気にかけてくれるけど、今日の彼女は何かが違った。


「香織、俺が梨沙と遊んだって、お前に何か影響あるのか?」


 俺は思わず聞いてしまった。


 香織は少し驚いた顔をして。


「別にそういうわけじゃないけど……」と言いかけ、また黙った。


 俺は混乱した。香織はいつも支えてくれるけど、俺たちの関係は一体どうなっているんだろうか。問題集を解くよりも難しい、香織の心の中を理解するのは。


「まあいいや、とにかく勉強しよう」


 俺は自分に言い聞かせ、再び問題集に目を向けた。でも、香織のことが頭から離れなかった。




「まぁ、確かに梨沙とは遊んだけど、勉強もちゃんとやってるから大丈夫だよ」


 香織は少し目を細めて。


「そう……じゃあ、その言葉、信じてあげる」


 彼女の表情は少し和らいだように見えた。


 勉強を続ける中で、俺は香織のことを考えた。彼女はいつも俺のことを気にかけてくれている。それはありがたいけど、なんだか複雑な気持ちにもなる。


「香織、お前はいつも俺のことを心配してくれてありがとうな、いやーお前が居なかったら俺の成績がどうなっているか分からないしな!」


 香織はちょっと驚いた顔をして答える。


「え、うん! 当たり前じゃない」


 彼女の表情には、どこか嬉しそうな印象があった。



 そして、香織は何か言いたそうに口をもごもごしていた。


「なんなんだ? 何か言いたいのか?」


 香織はいつもはしっかりしているけど、たまにはこんな一面もあるんだな。


「香織、どうした?」


 俺は顔を近づけた。すると、香織は「ひゃっ」と声を上げた。俺もビックリして「あ、うえ」と変な声を上げてしまった。


「なんだよ、その反応」


 俺は言いながら笑った。香織は驚いたあまり下げてしまった眼鏡をくいっと上げて、俺と向き合った。


「じゃあ、私とも……というか、たまには別の場所で勉強しない?」


 香織が提案してくる。

 勉強? 別の場所って何を考えているんだ?


「勉強?」

「……いつも同じ場所で勉強していても、集中が出来ないと思うの? だから、環境を変えることも大切なの」

「んー、確かにな! でも、勉強するならここでいいんじゃないか?」


 香織は少し戸惑ったように言ってくる。


「い、いや、そうね……でも、私もたまには遊びたいな」


 香織は小声でごもごと言った。彼女は普段は真面目で、遊びに出ることが少ない。


「それもそうだな! こんな息苦しい中では疲れるよな」


 確かに学校とか練習とか、いつも忙しくて息抜きが必要だ。


「じゃあ、勉強するなら図書館とか?」


 俺が提案すると、香織は「あなた、サッカー以外のことも考えられるのね」と驚いたように言った。


 俺は「あたりまえだろ」


 俺だっていろいろ考えるし、勉強も大事だと思ってる。サッカーのことばかり考えてフラれたぐらいだし当たり前だ。


「じゃあ、今度、図書館に行こうよ……あそこなら静かに勉強も出来るし、色々と資料もあるしね」

「図書館か……全然言ってないな、あそこって無料なのか?」

「無料よ、お金は取らないわ、あなたの好きなサッカーの本も置いてあるからいいんじゃない?」

「おう! それはいいな! じゃあ決まりだな」

「今度の休みの日、楽しみにしてるわ」


 俺と香織は約束した。なんか最近は本当に多いな。

 女の子と出かける日々が、これはまさかモテ期?

 いやいや、こんな俺にそんなこと……ないのか?





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