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第18話 なんで泊まることになってるのか?


 結局、俺たちは香織の家で夜を過ごすことになった。梨沙は明らかにワクワクしていたけれど、香織の表情は複雑で何かを考え込んでいるようだった。


 お風呂の話になった時、俺は「今日はいいかな」と軽く言った。


「えぇー、サッカーの練習の後だから入った方がいいよ!」


 そうやって押し切った。確かにそうかもしれないけど、この状況でお風呂に入ることに少し躊躇があった。今は梨沙がお風呂に入っている。香織が一緒に入ることを提案したけど、梨沙はそれを断った。


 リビングで香織と話す間、彼女は冷静に分析していた。


「話は理解したけど、優矢が介入する話ではないんじゃないの? 大会もテストも近いんだし」


 香織の言葉は重く、俺にとっても重要なポイントだった。俺には確かに他にも大事なことがある。しかし、梨沙のことが心配で、どうしても関わらずにはいられない。


「うーん、そうだね! でも、梨沙のことが心配で……」


 俺は言った。香織は俺の言葉を聞いて、苦笑いを浮かべながら「汐崎君は本当に優しいわね! でも、自分のことも大事にしてね」


 優しくアドバイスしてくれた。彼女の言葉に、俺は少しホッとした。香織は俺の心境を理解してくれているようだった。


 部屋の中は静かで、時折聞こえる風の音が、心地よいリズムを刻んでいた。俺は香織の家でのこの夜を、心穏やかに過ごすことにした。こんなにもリラックスできる場所は珍しい。香織の家は、何かと思い悩む俺にとって、安らぎの場所になっていた。





 俺は香織の家で泊めてもらっていることに感謝しながら、どう対応すればいいのか迷っていた。けれど、香織は冷静に、梨沙とその男の問題は俺が気にすることじゃない、と言った。確かにそうなんだけど、ただ放っておくわけにもいかない。俺にもサッカーがあるし、自分の問題も抱えている。だけど、それとこれとは別の話だ。梨沙を守りたいし、あの男のことも気になる。いったいあの男は誰なんだ?おかしい様子が気になってたんだ。


 そんな時、香織は真剣な顔で俺に言った。


「私なら汐崎くんを危険な目に合わせないし、勉強だって教えられるから……」


 その言葉に、俺は驚いた。香織は何を言い出すつもりなんだ?彼女の言葉は、まるで自分が俺のことをもっと近くでサポートしたい、と言っているように聞こえた。


「だから……」


 香織が言葉を続ける前に、俺は。


「香織、それは……」


 そうやって返すしかなかった。


 香織の提案には感謝するけど、俺の心は複雑だった。梨沙のこと、あの男のこと、自分のサッカーのこと、それに香織の言葉。全部が頭の中でぐちゃぐちゃに絡まっていた。


 香織は俺の返事を待っているように見えた。俺は深く息を吸って、どう返事をするべきか考えた。この状況をどう解決するのか、俺にはまだ答えが見つかっていなかった。



 そして梨沙がお風呂から上がってきた時、彼女の様子はまさに驚きのものだった。ほとんど全裸の状態で、彼女は無邪気に部屋に入ってきた。


「ねぇー? 下着とかってこれ使っていいの?」


 梨沙が楽しそうに尋ねた。俺の顔は一瞬で赤くなった。


 内心では「な、何を考えてるんだよ……」混乱していた。


 梨沙は俺の動揺を楽しむように、「あ、ごめんごめん。家の感覚だったー!でも、優矢なら見てもいいけど」と言いながら、俺の方に近づいてきた。彼女の無防備な姿と言葉に、俺の心は大混乱に陥った。


 その時、香織が厳しい声で介入した。


「服を着なさい、はやく!」


 言いながら、梨沙に向かってクッションを投げつけた。梨沙は驚きの表情で慌てて服を着始めた。


 俺はその光景にただただ呆然としていた。梨沙のこの行動は、彼女の俺に対する気持ちを疑わせた。彼女は本当に俺のことをどう思っているのか、それともただの冗談なのか、俺にはわからなかった。


「梨沙、本当に……」


 つぶやいたが、言葉が続かなかった。香織は困惑した表情で俺たちを見つめ、部屋には微妙な緊張感が漂った。


 このままでは、俺と梨沙の関係はどうなってしまうのか。そして香織は、この状況をどう捉えているのだろうか。俺の心は複雑で、はっきりとした答えを見つけることができなかった。

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