68 終わりの始まり Ⅱ
年が明けた1月1日の午後、寒さは厳しいが雲一つない良い天気。
俺は久々に橋本家の門をくぐり、恒星の家族とお正月を過ごした。
神社の初参りも済ませ、橋本家では先祖への挨拶もかねて、墓参りに行く。
仏花とひしゃくに水を入れて、お線香、ライター、お供え物、掃除道具と…お墓参りに必要なものを各々持って、墓に向かう。
今年は恒星の母は仕事で参加できないため、恒星の弟の浩二、双子との妹弟の美幸、康介、そして俺の4人。
掃除をして、仏花とお供え物を飾り、ひしゃくで墓に水をかけて、皆で手をあわせる。
俺は昨日の話を恒星に向けて、心の中で呟いた。
光は-ありがとう、よろしく、だって。よろしくの意味、恒星はわかる?俺はちょっとわからなかった。
ナリはー俺はアメリカじゃないと会えないご当地キャラで、自由の女神なんだって。うん、突っ込みたいことはわかってる。
ルカはーしげと二人で頑張ってるから、だって。え、まんま空港の会話だって?…確かに、そうだな。
まぁ、昨日はアメリカに発つ前の最後の日みたいだから、前回、空港行った時と似ている状況で、皆思い出したのかもしれないな。
俺の言葉?
死ぬしか選択肢がなかった場面なのかもしれないけどな…俺を助けるために、死ぬなよ。
俺は…忘れてやらないからな。
あと最後の伝言、何?
幸せにならなかったら許さない、とか。
俺さ、恒星にどんだけ愛されていたんだろうな。
今となって気が付くなんて、さ。
うん、たくさん言いたいことはあるけど…後悔してもしょうがないから、反省はするけど、ごめんは言わない。
ほんとうにずっとありがとう。
恒星は俺が初めて好きになった、本気で愛した人。
気が付いていると思うけど、恒星、あと1つ、伝えないといけないことがある。
俺、もう出会えないと思ったけど、また出会えたよ。
俺のことを…ずっと見てくれていて、俺が”そのままの自分を受け止めてくれると安心して感じられる”相手を。
その人を大事にしたいと思ってる。
そこで…見守っていてよ…。
そう、手を合わせてずっと祈っていたら、美幸から声をかけられた。
「海斗さん、どんだけ、お兄ちゃんに祈ってんの?」
「あぁ、いろいろ話すことあったから、ちょうど報告終わった」
「ふーん、ということは…お兄ちゃんぐらい、仲良くなれそうな人をみつけた?」
美幸が聞いた。
「心なしか、今日の海斗さん、以前より明るくなった気もするし…」
全部、お見通しのようなことを言われて、俺は笑ってしまった。
「まぁね、仲良くなれそう人をみつけたというより…恒星みたいな人が近くにいたことに気が付いた、かな。意外と自分が思っているより、自分を見てくれている人はいて、自分が周りをちゃんと見ていなかったことにね、気が付いたよ」
「よかったね、そしてそれを報告してたと…あんなに長い時間、何を祈っているんだろうと謎だったけど、納得した。さぁ、お腹減っちゃった。家に戻っておせち食べよう」
美幸はそう言って、弟と兄に声をかけた。
見に来てくださってありがとうございます。
あとエピローグを残して終わりです。




