67 終わりの始まり Ⅰ
今日は大晦日。
ナリと約束した通り、皆でマスターの家にマスター含めて、集まった。
「久々だね、西園寺くん」
マスターに声をかけられて、会ったのは何年ぶりだろうかと思い返した。
「マスター…ご無沙汰してます、いろいろありがとうございました」
「いやいやそれで…大丈夫だったのかい、家の方は?」
マスターは研究結果の持ち出した結果について気にしているようだ。
「今の所、大きな問題は起きてないです」
そう言ったら、微笑んで頷いてくれた。
ナリはルカに「今日、そのワンピース着るのにはどんな意味があるの?」と突っ込んでいる。
「あのさ…このワンピース気に入っているから、別に気合入ってない日も切るんだけど!?」
ルカはナリに負けずと返していた。
そしてその横で光が微笑んで見つめている。
ここに全員揃っていないけれども…懐かしさを感じる空気。
そうやって時間は過ぎていき、俺は皆が話す脇で一人、ゆっくり飲んでいると、ナリが横にやってきた。
「何、一人でいるんだよ?」
飲み物を持って、横に座り、ナリは話しかけてきた。
「そんなつもりないけど…話をここから聞いていたよ」
「全く、なーんか、余裕が戻ってほんと西園寺サマサマですね」
「ナリ、そっくりそのままお返しするよ」
俺は笑って言った。
「敵わないな、海斗には。結局、ほぼほぼお前ひとりで光が望んだ結果を持ってくるんだからな」
ナリも笑って言った。
「あーーー、まぁ、そう見えるよな」
「どういう意味だよ?」
「まず、光がいないと始まらない、俺の予想だと、光はナリとルカがいないとこんな風に動いてないと思うんだよな。だからな、誰が欠けても成しえなかったと思う」
「敵わないな、海斗には」
二回目は寂しそうな顔だ。
ナリは光が入ると、客観的にみられなくなる。
それは好意の気持ちがあるからだ。
だからしょうがないこと、なんだと思った。
少し元気づけようか。
「もっとナリは自信を持った方がいいと思う、俺はナリをみて、人付き合いを学んでこうなったわけだから」
俺は大学1年を思い出して、ナリに言った。
ナリは「?」の顔をして、大笑いした。
「いや、海斗、そのフォローはさ…さすがに俺だって信じない。お前が俺の人付き合い見てたって…嘘だろ?」
「ここで嘘言わないよ。…例えば…噂を信じるような人のあしらい方、まず話をじっくり聞くとか…」
ナリは綺麗に揃えたあごひげを触りながら、思い返した。
「ふーーーん」
そうしていると後ろからルカが声をかけてきた。
「何の話してるの?」
「な、なんでもねぇよ」
ナリが突っ込む。
「海斗?」
ルカはどうしても聞きたいらしく、俺に聞いてきた。
「あぁ、ナリが意外と人を見ていて相手にあわせて対応していて、ナリのその部分を俺が尊敬しているという話」
俺が説明すると、ナリはルカに絶対に突っ込まれると思って頭を押さえた。
ルカは俺の顔を見て、無言で抗議してきた。
恐らくルカはナリに突っ込もうと思ったけれども、ルカも俺と同じくそう思っているからどう返せばいいのかわからなくて、こういう反応なんだろう。
俺は笑った。
「ルカも突っ込めないことあるんだな」
いつの間にか光が横にいて、笑っている。
俺は光に聞いた。
「明日には経つの?」
「年末年始は飛行機混んでいて…空きがあれば…みたい。予約取るのはお任せしていて…こればっかりはわからないの」
「そっか」
「海斗さんはお正月、何か予定でもあるの?」
「-うん。恒星の実家に行こうかと思ってる。ついでに墓参りも…。よかったら墓参り誘おうかと思ったけど…そういう話であれば…皆の分、報告してくるよ」
光は「だから予定を確認されたのですね」
納得しているようだ。
「そう」
「…恒星くんに、ありがとうとよろしくと伝えてください」
光はゆっくりと俺に言った。
「よろしく?」
つい、繰り返してしまった。
「うん…よろしく」
光は遠い目をして、その言葉をさらに繰り返した。
俺はその光の様子が気になったが、そこにナリが入ってきた。
「俺も~伝えてほしい。恒星に俺はアメリカじゃないと会えないご当地キャラだからなって伝えといて。俺、自由の女神だから」
ルカが「自由の女神?」と繰り返す。
「NYといえば、そうだろ?」
「そうだけど…女性ではないから…わかりにくいなと」
ルカが突っ込みを入れた。
「…男性のキャラ浮かばなかったからしょうがないだろ」
「次までの宿題だね」
ルカは冷たくナリに言う。
「海斗ーーー私はね、恒星くんにしげと二人で頑張ってるからと伝えておいて」
「おい、ルカ…おかしいだろ、しげと二人って何?」
ルカの言葉にナリは抗議する。
「しげと両手に花がよかった?」
ルカはナリに別の提案をする。
「いや…何で俺を分けるんだよーーー俺も入れてよ」
「それは、ねぇ…マスコットキャラクター、だもんね、海斗?」
かつて、俺が言った言葉をルカが言った。
そうして今年最後の夜は更けていった。
見に来てくださってありがとうございます。
あと1話+エピローグでこの物語は完結します。




