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月にキス-IdentityCrisis Rebirth  作者: MERO


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44/70

43 研究内容Ⅰ

<この回の登場人物>


西園寺海斗(さいおんじかいと)

 この物語の主人公、兄の病院にあるクローンの情報を取得するため、古川さんと一緒に同居を始める。


古川佳奈(ふるかわかな):コードネーム:ルカ

 3年前の事件で日本戸籍を消失、偽物のパスポートで日本に入国した西園寺海斗の大学の後輩(3歳年下)の女性、計画実行のため、コードネームをルカとした。


<今までお話(要約)>

二年前に命を失ったはずの友人たちが生きていた。


クローンとして生まれた友人の一人である光ひかりは、そのクローン研究を実施していた海斗の父の元にある研究の全てを回収してほしいと海斗に頼む。


海斗はクローン研究の実担当だった兄に接触し、病院にあるクローン研究情報を取得しようとし、クローン研究が病気で亡くなった母を救うために実施したことと、兄がその研究実施と引き換えに家の呪縛から解き放たれていたことを知る。

そして病院の研究室で、ついに研究内容の全貌を二人は目にする…。

 日曜日、朝一でルカと病院に向かうことになった。

 ルカは準備に時間がかかっており、病院で落ち合う約束で俺一人で、病院に先に向かうことになった。 

 

 まだしばらくかかるというので、俺は以前、美桜さんに連れて行ってもらったカフェに入って、この前、食事に来た時と同じ席に座って、コーヒーを注文した。


 席に座って、コーヒーを口に運びながら正面の席を見た。

 その途端、目の前に座っていた美桜さんの姿が浮かび、ふと大野さんに言われた言葉を思い出す。

-…先輩、まだその奥さんを好きなのですか?


 美桜さん、と頭の中で発音する。

 俺は…美桜さん含めて田辺さんと"離婚"について話し合った時から、あまり実感がなかったように思う。


 …離婚届の用紙一枚で、関係は変わるのだろうか。

 もし俺がこの計画を引き受けなかったら、彼女とは別れていなかったんだろうか。

 ……離婚しても、父の弁護士が所属する事務所の人間だ、と思っていたのではなかろうか。

 つまり、また会うことはあるだろうと。


 そういう意識の上での離婚が、俺にとって"本当に別れるということがどういうことなのか"、理解していなかったように思える。


 離婚して二週間ばかり。連絡はもちろん一切ない。

 もう、会うことは…今後、一切ないかもしれない。

 そう…意識した時、唇を噛むほど悔やんだ。

 …最後、俺は美桜さんのことをほとんど知らないように感じた。

 彼女が言った"俺らしい"とは何を指していたんだろうか。


 だからか……もう少し話がしたかった。

 彼女が見ていた景色はどんな姿で、俺にどういう印象を持っていたのか。


 でも俺は自分勝手に離婚を決めて、あえて関係を断ち切ったのだから、今更、『次は』なんて想像はしてはいけない。

 そう、思った。

 

 PPPPP


 ちょうど携帯が鳴った。電話はルカからだった。

 俺の気持ちとは反対に、明るい声でルカは言った。

「海斗ー!お待たせ、やっと終わったから9時に病院で会いましょう」


****


 病院の受付があるロビーの椅子にルカは座っていた。

 俺とルカは受付をし、第1手術室奥の通路を通り、研究室に向かった。


 その場所は病院の離れの建物に繋がっており、薬剤や備品在庫の部屋に囲まれた一室だった。

「ここだね」と俺はルカに言い、兄から渡されたカギで部屋を開けた。


 部屋は左側には天井近くまでの高さのある棚と、右側の突き当りには壁に沿ってテーブルとその上にパソコンが3台ほど置いてあった。


「海斗、まず物理的な資料がないか、棚を確認させて」とマスクをしたルカが言った。

 俺はルカに向かって頷き、「俺はパソコンを立ち上げるよ」と言ってパソコンの電源ボタンを押した。


 部屋の中や棚を一通り、ルカは回って、俺の隣にやってきた。

「物理的な資料は残っていないみたい。数年経ってるからかな?どうも…前回の研究が終わった時点で廃棄したっぽいね。パソコンのほうは…これかな?」と言い、立ったまま、1台のパソコンを操作した。


 俺は残り2台のパソコンの画面を確認し、事前にもらっていた資料の通りにIDとパスワードを見ながら、操作した。

 そうしたら、ルカが「あっちのパソコンの情報、コピーしてる。こっちはどうかな?」と言って1台ずつ見始めた。

 ルカは手際よく、作業を進めた。

「海斗、1台は作業中のファイルを入れているみたい。こっちが一番早くコピー終わりそう。」

 そう言われて、パソコンの中身を覗き込んだ。


「もうとりあえずコピーしているだけだから、椅子に座ろう。ほら、こっちに研究概要の資料あるっぽいよ」

 ルカは座り、目の前にあったパソコンのフォルダを開いた。

 俺はルカにならって椅子に座り、書いてある内容を目で追った。


----

クローン人間作成にかかわる考察(研究コード:2847383029)


クローンの元の遺伝子情報:久我昌義くがまさよし男子 XXXX年XX月XX日生まれ XXXX年XX月XX日死亡 没10歳4か月

死亡理由:男性器内のウイルス(NO:XXXXX8274)感染による影響

対象選定の理由:クローンの作成 及び 遺伝子を組み換えることでクローン元の問題因子を除外の検証

考察想定:女子であれば該当のウイルス感染する確率30% 

     ※仮に感染時、男性器から女性器(子宮)内のウイルスは子の出産時に羊水とともに洗い流されて消える可能性あり

     よって本研究となる対象は男性から女性に遺伝子を組み替える。

確認方法:ウイルス感染が引き起こされないこと 及び 10歳以上の生育、その後の状況確認(観察 および 妊娠に至る経緯と被験者の相手とその状況は全て管理すること。)

特記事項:本研究は政治的判断による実施であり、如何(いか)なる情報漏洩も許可しない。関係者への徹底した管理要…


XX年XX月XX日:受精卵コード-1304983 成功(名称 狭山光 生育の詳細は別紙XXXを参照)

----


 遺伝子情報の苗字を見て、久我?その苗字は母の旧姓と同じだった。

 俺は不思議な偶然があるものだと感じたが、あまり気にせずに読み進めた。


 横でルカはこの概要だけみて、ため息をついた。

「…そういうこと…か」


 俺は浮かないルカに声をかけた。

「ルカ、どういうこと?」


 ルカは椅子を俺の方に向けた。

「…光の原因不明の発熱の原因は多分、コレ」

 そういって、パソコンのウイルス感染という言葉を指した。


「…」 

 俺は言葉を失った。

 その遺伝子の元となった人はそのウイルス感染で10歳で亡くなっているわけだから。

見に来てくださって、ありがとうございます。

次回更新は明日を予定しております。

よろしくお願いします✨

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