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月にキス-IdentityCrisis Rebirth  作者: MERO


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10 隠し事

 ナリは光の様子を見に行くと家を出ていった。


 俺はもう一回、シャワーを浴びて、部屋に戻った。


 先程、古川さんの話で中断したUSBの整理をするため、もう一度、PCを見る。


 クローンの研究。

 隣の大国の情報を用いた技術で、それを応用した研究を実施し、光は作成されたと書いてある。

 現在の光の身体の遺伝子・ゲノム情報はあるが、そこに至る部分、作成方法は欠けていた。


 光は自分自身を研究材料として、今、アメリカ政府の元で治験に参加しているという。


-まぁ、お前に頼まなくてもいい気もするから、俺にはないよ。けど、光がどうしてもっていうから。


 ナリはそう言っていた。

 光は俺に用事があるから、ここに呼んだのだろう。


 それはクローンに関連する何か、なのだろうとまたPCを見た。


 埋まっていないピース。

 欠けている情報。


 俺はこの為に呼ばれたんだろうか。

 まぁ、明日、聞けばいいか。


 目が疲れて、俺はベットカバーを外した後、畳んで、横になった。


 恒星。


『何で、しげさんに言えて、僕に言えないんですか?』

 そんな声が聞こえてくる気がした。


 俺、お前にはきっと言えなかった。


 俺の情けない所、お前にたくさん見せてたと思うけど、俺は光を利用して、恒星、お前を俺に縛り付けておきたかった。


 ナリと佳奈がいなくなって、光は倒れた。

 光を守りながら、彼女に安心できる居場所を提供してほしいと、恒星にお願いして、お前と同棲してもらった時、頭の中ではそれが一番良いと思った。

 

 それによって光の状況もわかるし、光に好意のある人も遠ざけることもできた。

 

 恒星は俺が思った通りに動いてくれて、光からも信頼を得て、光は徐々にナリと佳奈を失った悲しみからも回復していったように思う。

 しかも、同棲したと言っても、恒星からの話だと、光との接触が全くないという話を聞いていて、俺は光に嫉妬しながら、どこかで安心していたんだ。


 そして俺の結婚で全く動揺しないお前は、いつか俺の知らないどこかに行ってしまいそうで、不安だった。俺は恒星、お前とどうにか繋がりたくて、卑怯な方法を使ったんだ。


 でも正直なところ、実際は恒星と光が一緒に暮らしている、それだけで俺の精神はどうにかなりそうだったんだ。


 お前は俺の想像を超えて、これからも光と一緒にいるという口実を作るため、光に好きだと告白したこと、そしてずっといる必要があるなら結婚して、公にしてしまえばもう光が離れることもないと恒星は言った。


 俺は気が狂いそうだった。

 恒星の性格を知ったら、光は恒星を好きになるかもしれない。

 恒星はそんなことないと言ったが、性格の良さ、気遣い、対応であいつはモテるんだ。

 中学の時から恒星の家にまできて告白しにくる子がいて、恒星の妹が困っていたくらいだ。

 

 そしてそれ以上に恒星と光が二人でいる時の空気がいつも穏やかで二人はお似合いだったことだ。

 会話のテンポも合ってきて、阿吽の呼吸で返事をする光に、俺は目を疑った。

 

 恒星が心を開かせたと同時に、光は恒星に感情を動かなかっただろうか。

 俺がかつてそうだったように、恒星に心を奪われて惹かれていっているのかもしれないと思った。


 そしてそれが決定的になったあの日。

 俺が酔っ払って光がいる中、恒星の家に泊まった時の夜だ。


 夜中、起きてふらっとベットから起き上がり、途中でここが恒星の家だったと気がついた時、光が部屋から出てきた。


 俺は光と顔を合わせて、つい、恒星を愛しているのかと、聞いてしまった。


 光の答えは『愛の形はいろいろ、です。恒星くんは心地よくてずっと一緒にいてもいいと、思える相手です』


 彼女はそう言ったんだ。

 俺は彼女に、彼女にとって安心できる居場所を提供してよかったという気持ちと、想像通りの恒星に対する感情に対する衝撃を俺は忘れない。

 恥も外聞もなく、俺は涙が止まらなくて、あの日の夜、同じ家で恒星がいるはずなのに、ひどく落ち込んだんだ。

 

 だから次の日、俺の前で光に指一本、恒星に触れてほしくなかった。


 接触が一切ない、なんて、そんな話、信じられるか?

 恒星は意図的に光が避けていたと言っていた。

 だからあえて、自分からも接触を避けたと。


 そうしてふと、俺はナリの浮気の時の光の様子を思い出した。


 浮気事件に全く動揺しなかった光。

 それ以降のナリの執拗なアプローチにもYESともNOとも出さなかった態度。

 

 ナリのことを光は嫌いじゃない。

 

 確か梁さんの法要時が終わって、光がナリの態度に困ってるということであれば、はっきり俺からナリに伝えようかと思って、光に確認したことがあった。

 

 あの時、光は恒星を通して、大丈夫だから心配しないでほしいと言っていた。

  

 つまり、別れてからも光はナリから向けられた好意を嫌とは思っていなかったということ、だろうか。

 むしろ、光は…まだナリが好き?

  

 でも頑なに、ナリと恋人同士に戻らなかった。

 それは何故か?


 そして、それなのに、なぜ恒星との同棲、結婚に前向きだったのか。


 …光はナリのことを好きだけど、ナリと恋人同士にはなれない理由がある?

 

 光は何を避けている?

 

 それらの状況が示しているのは、……恋人として、ナリに接触されることが嫌だってこと、なのか?


 俺はベットから起き上がり、再度、PCの内容を確認した。


 それらしい文言が書いていないか、今までの内容を確認する。


 それがクローンに関連する何かである確証はなかったが、俺は何かひっかかった。


 ナリと佳奈の二人はなぜ俺に頼むのか、理解していなかった。


 これは偶然ではない。


 光しか知らない情報がある。

 きっとそれで光は俺に何かを頼もうとしているんだ。

昨日の更新から追加しました。

この回は、下記とリンクしています。

その時の主人公の態度とひかり側の思いの裏側。

やっと海斗さんの思い書けて、嬉しいです。


https://ncode.syosetu.com/n4151hx/25/

https://ncode.syosetu.com/n4151hx/26/

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