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イリディーマブルヒューマン  作者: 成田 春希
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木槌一つの鈍い音で人生が決まるなんて これもまた滑稽なことはない。  


「被告人 中山 達也に懲役20年の刑を処す。」


二人をあやめておいて、懲役20年

無期懲役になるよりかはましか。  


「コイツを 死刑にしてください!

私の愛するカズちゃんを返して!」


黒髪ロングで和樹と同い年の妻と 俺を睨んだ子供が悲痛の思いで叫んでたなぁ。


でもその時 これからの暮らしの事ばかり考えてたから 俺に取ったら言ってないも同然


反省してる風に装ったら ものの見事に反省の態度を示してるってなって情状酌量されたよ。

それでも20年は刑務所で暮らすことになる。

飯にも執着はないし、十分に寝れてブラック企業みたいに働かずに済めばそれで十分。 


散々俺をこき使ったて来たあいつもやりたかったぐらいだったよ。


それにしてもマスコミやらカメラマンやら本当にうっとおしかった。

たかがニュース 新聞で取り上げるだけであれだけの人数問い詰めるとはあの時は気がまいる。


それならずっと取り調べられた方が全然良い。


中学高校の同級生がインタビューを受けてたみたいだけど、取り上げられるのは大して話もしたことない女子軍団。


「あいつは感じが悪かった。」


「全然喋ってないし 何考えてるか分かんなかった。

正直今回の事件の犯人があいつって事を知っても何の違和感も感じなかったです。」

 

チキショー!!!!!  陰でしか話せないくせに好き勝手言いやがって


それだけじゃない。 おバカアイドルの癖に博識ぶったコメンテーターも身勝手すぎるだの人としてどう思うだの罵りやがって 

俺の気持ちなんて一つも分かってないくせに!


ネットだってそう 俺の顔を見たことないはずなのに大衆がよってたかって救いようがない 人間失格など言いたい放題。


結局世の中はそんなもんだ。 

犯罪者になった瞬間 勝手に極悪人と決めつけて集団で誹謗中傷しやがる。


不条理な世の中から開放される刑務所のほうが居心地がいいのかもしれない。


動機は何かって?

簡単に言えば心の底から憎かったからとしか言いようがねえなぁ。

二人目はそうでもないけど。

何もゲーム感覚でやるやつとは一緒にすんなよな。

こっちだって苦しい思いをしてたんだよ。

誰もわかってくれはしないだろうけどよ。   



俺は刑務官に連れられて檻の中へ入れられた。

番号は255 一人部屋

微かにしか外の状況は確認できないけど、恐らくもう21時を回ってるだろう。 


トイレに テーブル 薄汚い布団2枚に硬い枕

トイレも黒ずんでて、する気になんない。


でも集団部屋にならなかったことだけは幸運だった。


映画とかでよく見るじゃん。  集団の中でも階層があるってこと。

一番下っ端になっていじめられるのなんて御免だ。

なら孤独になったほうがマシだ、どうせ死ぬわけでもねえし。


えっ何で殺人なんか犯したって

しつこいなぁ。  憎かったからだって言ってる。


詳しく聞かせてくれって?  

しょうがない。  あぁでも今日はもう眠いから今度でもいいか?


男は寒さに震えながら 薄い布団で横になった。




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