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天啓の雲   作者: 古寂湧水 こじゃく ゆうすい
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西太后が使用した満漢全席の食器を再現して8億円で売る

骨董品と陶器ファンにはこたえられないストーリーですよ。茶道関係者にも興味を持たれる石で作った抹茶茶碗が登場です。

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サスケ、[どこから漏れたんでしょう。][たぶん米国で株や先物で稼いでいる、石田三成の配下だろ。][心配ですね。][なに、そのくらいはいいさ。資金を稼いでる連中だからな。]


[今、1870兆円ですから、予定にもうすぐ到達しますね。][そういうことだな。][竹中半兵衛参謀長もこれから忙しくなります。]


[話が戻りますが、エアトレインはすごいことになりますね。飛行機がいらなくなっちゃうんですよ。それもリニアの1万分の1ぐらいの予算でしょ。]


[もっと少ないかもしれんな。][東京からアルゼンチンのパタゴニアまで普通で2時間、特急で40分というところかな。]これは大革命でしょう。平賀源内さん大活躍ですね。


王様、[さて本業に戻ろう。横浜と川崎の料飲組合から合同で展示即売会のリクエストが来ているが、意見を述べてください。]すず、[忘年会シーズンに入る前ですので、食器を売るタイミングとしてはいいです。]


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志野、[横浜、川崎にもたくさんの料飲店がありますので、そこそこはいくのではないですか。][そうだな、まあ東京の半分ぐらいが売れれば上出来かな。]


サスケ[それでも売上額は京都の1.8倍ぐらいですかね。魅力的ですよ。]


遠州、[山の手なんて高級住宅街もあり面白いと思います。食器のほかにお茶碗も期待できます。]すず、[マスコミに知らせた方がいいですよ。


面白いネタをいつも提供していますんで喰いついてきます。ロスチャコスにお茶碗一個2億5千万円で売った男とお茶の大家小堀遠州も好みを展示販売。なんてね。]ワンワンワン。


[そうだねマスコミをあおって火をつけるか。今回も3日間だけだから集中していきましょう。じゃあ準備をしてください。


そうそう、マスコミに騒がれるには強烈なエサが必要だが、清の西太后が使用していた満漢全席用の食器と同程度で故宮博物館に陳列されているものと同程度のものを8人用各10枚、合計80枚を8億円で提供します。]


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[中国人の好きな8にちなんでいる縁起のいいものなんていうのはどうかな。]すず、[これだけの肩書で世界トップの人気作家が作るのですから、この3倍の価値がありますよ。]サスケ、[インパクトが強いしいいんじゃあないですか。]


[それから案内して決まった場合は特別ボーナスとして、100万円を出します。尚2匹の犬も案内は可能です。私のところに連れてきてください。


私のところに来てリーチを宣言するか、お客さんを直接連れてくるかですが先着が優先します。犬の場合は100万円の替わりに猪肉の生肉食べ放題を10回提供します。


なお、食べ物のことで犬をからかったり、ジョーダンを言ったりした場合は犬の場合は間違いなく怒って噛みついてきます。私は2匹から左右の足を噛まれましたので注意をしてください。]ワンワンワン。


[100万円もらいたいです。][わてもや。]マスコミはまたまた鬼陶芸作家のサンリンポチェが話題を提供と面白いように書き立て、事前人気もいいようである。


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当日、マスコミは本年度最後のサンリンポチェ展示会とあって、多数が詰めかけた。注目はもちろん西太后全漢満席使用レベルの8億円の食器セットである。


東京と同じように古伊万里・魯山人・京焼の普及品がよく売れている。


遠州好みの3,500万円に2,500万円のお茶碗もすでに売れて快調なようだ。王様のほうは500万円の茶碗とか600万円の花器とかがポツポツと売れている。


悪くはないがまだ5,000万円の話は1件もない。[客の入りは悪くないので、波が来れば一気に行くと思うぞ。]


[100万円欲しいです。いろいろ使い道があるんで。][それなら一客入魂で気合を入れてやれば何とかなるんじゃあない。][ゴンちゃんにユリこっちに来て、


今年最後だから一客入魂のハチマキを用意した2匹とも頭を出しなさい。]


怪訝な顔をしていたが猪肉食べ放題10回がかかっているので、ハチマキを着けることにした。お客さんからは拍手喝采である。


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すず、[あれ、ゴンちゃん達気合入っている。][すずさん景気を上げるため、天ぷら3匹載せ蕎麦の出前を頼んできてくれるかな。]


[は~い喜んで行ってきます。][よ~し食べて運気をあげるぞ。ゴン太にユリはクラッカーだ。]すず、[ここの天ぷら大きくておいしいですね。ダシもいいですよ。]


食事中に大物感漂う2家族がやってきた。100万円が掛かっているので食べているものをそのままにして、飛び出して行って。雰囲気的にはとてもいいようだ。食器を詳細に点検している。別の家族も値段がちょっとなとかいい感じである。


サスケのほうは値引きの話をしている。さすがは華僑の多い土地柄である。お金にはとても執着心があるようだ。2組とも8億と高額なので、とことん値切りにかけている。


クラッカーを食べていた2匹はヨレヨレの調理の仕事服を着た老人を見てすぐに駆け付けた。老人はハチマキ姿の2匹を見て、[はっはっはっ、なんだこの犬。]


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と言いながら8億円の食器セットを30秒程確認して、犬がワンワンと吠えながら先導するのでその通りに王様のところにやってきた。[いらっしゃいませ、お気に入りのものがございましたか。]と丁重に挨拶をした。


[あなたが西太后の食器を作ったのかな。][はい、その通りです。][なかなかよくできていて、そのうえずいぶんお買い得の設定にしたな。]


[価値を認めていただきまして、ありがとうございます。]サスケの客は指値で7億5千万円なら買うとの交渉がまとまったようで、王様のほうに行こうとしたら、すずのほうもまとまったようですずが走り出している。


王様の前の老人はおもむろに内ポケットより銀行渡りの小切手額面8億8千万円を出して、[買うよ。]と言った。サスケとすずは大声でまとまったことを言おうとしたが、小切手の額面を見て無言になった。


両方の商談は8億円以下だったのである。[ご覧の通り購入された。]両者ともうなだれて、お客様に断りに行った。


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ゴン太にユリは遠吠えをあげて勝ちどきをあげている。[展示会が明後日までですので、終了しましたらお届けに上がります。]老人はひょうひょうと帰っていった。


王様はこの事が記事になり宣伝されると販売に好都合ということを考え、各メディアに記者会見する旨を伝えた。もちろんゴン太にユリも一緒である。


”現代の忠犬、西太后使用食器の再現品セット8億円を売る。”こんな感じで一客入魂のハチマキをキリリと締めた写真をポーズを決めて撮らせた。


この狙いは翌日の新聞に犬の写真入りでデカデカと出た。[王様、狙い通りに大きな記事になっています。][これで来場者が増えるな、はっはっはっ。]


来場者の購入単価は低いが普及品の食器がよく売れている。もちろん犬と写真を撮りに遊びに来た客も多い。[まあ、8億円が売れたので多少の遊びはよしにしましょう。]


すず、[あ~、100万円もう少しだったのに。]二人は並んで、冷めた食べかけの天ぷらそばを無念そうに流し込んでいる。


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予想した通りに山手の金持ちが手頃なお茶碗を探しに来た。小堀遠州好み骨董の赤膚焼き250万円に古曾部焼き300万円が売れた。やっぱり遠州ファンは根強いものがある。


横浜と川崎の料飲組合合同食器販売会は目標より少し上の売り上げで終了したが、なんといっても8億円セットの売り上げが柱になった。


王宮の会議室にスタッフと子供3人組がそろっている。[夏見の現地は頑張って売り上げをあげています。こちらも売れそうないいアイデア商品を出していこうと思います。


なにか考えがありますか。]サスケ、[まだ究極の宗教グッズがあります。それは復活したお釈迦様、龍樹菩薩に弥勒菩薩のグッズです。


ただこれをやるとやりすぎの感じもしますがどうでしょうか。]すず、[そこまでいかない方がいいと思います。]


王様、[とりあえず外しておこうか。]志野、[宗教グッズではありませんが、北斎さんや広重さんがおられるのですから、浮世絵に力を入れるべきです。]


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王様、[そうだな、そのとおりだが、どんなものができているか確認をしてきてくれるかな。タエちゃんが親しいから一緒に行くといい。]


[浮世絵のことは私も一緒に同行します。別件ですが達磨大師がいるのですからそのグッズも作るべきです。やっぱり達磨です。]


[そのとおりだな。ただありきたりでは面白くないんで、どうだろ写楽が画いた達磨大師っていうのは面白いと思うが。]


すず、[どうでしょうか、面白すぎるということもあります。]サスケ、[併せればいいんですよ。写楽のダルマに大師の書いた般若心経を背中に入れる。これを分身すればいいんです。]


志野、[写楽はちょっと砕けすぎだと思います。普通のダルマに大師が書いた般若心経を印刷して、大師直筆の名を入れればと思います。


それで大師が入魂式をしている写真を掲げておけばいいのです。本家のダルマとして売り出せば人気が出ると思います本家か総本家かしれませんけども。]


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王様、[そんな感じがいいな。これはター坊とよっちゃんの両親が売ることになるので、タエちゃんがリーダーでそれぞれの両親の売りやすい商品の意見を聞いてまとめるようにしてください。][はいわかりました。]


王様、[達磨の本家の売りは面白いかもしれんな。]サスケ、[もしかしたら化けるかもです。]すず、[私もそう思います。]


王様の夏見の作業室で小堀遠州と相談中である。20個の茶碗と10個の水差しに10個の茶入れも並んでいる。


[遠州さんが復活して陶磁の遠州七窯の骨董や、高麗李朝の朝鮮陶器を見たてて使用されていますが、復活してから独自の茶道具はなかったのでこのように銘石で作ってみました。


薄造りですが特別に強化していますので、割れにくくなっています。木椀に漆を塗った茶碗はありますが、天然石のお茶碗は聞いたことがありません。


一点物の販売と普及品の販売を考えています。遠州さんの復活のシンボルとしての意味づけもあります。



天然石の抹茶茶碗なんて売れるんですかね。それから達磨大師が般若心経を達磨に書いたアイデアは面白いですね。

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