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天啓の雲   作者: 古寂湧水 こじゃく ゆうすい
33/359

骨董品や抹茶茶碗ファンにはたまらく魅力的な展開です。

抹茶茶碗だけで一人のお客さんに3億8千5百万円の売り上げというのはすごいですね。

301

[今日帰って、また明日くるのかな。][はい、そのつもりです。私どもには復活した小堀遠州さんも一緒に仕事をしていますので遠州好みの一点物や普及品もございます。][はっはっはっ、それは面白いな。]


[私の井戸茶碗をご希望でしたら、明日お持ちいたしますよ。売らないでいたものが一点だけございます。][それは楽しみだな、それではあなたの感覚でいいと思ったものを、


井戸のほかに5点を選んできてくれるかな。][はい承知しました。ありがとうございます。]


話を聞いていたすず、[王様すごいですね、数億円ですよ。でもどこのだれで本当に明日来るかもわかりません。][な~にどっちみち原価はただみたいなものだ、別にこなけりゃあそれまでの話だよ。


はっはっはっ。][4時になったんで終了です。かたずけてください。インタビューの方どうぞ。][すみません、オープンのときのものです。さきほどの老人はこの辺では有名な方ですが、


どんなものを注文されたんですか。]


302

[それは守秘義務がありますので言えません。対馬の件でしたねどうぞ。][はい、今後対馬の仏像はどうなるんですか。][遅くとも6ヵ月後には戻ります。][K国の国宝の仏像は。]


[それは全くわかりません。償いのために、100年間そこの場所にいると言っていますので。


すみませんが帰りの準備をしなければなりませんので、このへんで失礼します。][みんな帰るぞ、ゴン太とユリは車に乗って、サスケさん準備ができたら夏見に戻ります。]


サスケ[忘れ物はないかな。]ワンワンワン、志野、[ゴンちゃんがが引き上げの点検をしてきたようですね。帰りましょう。]


2秒後に夏見に帰還です。[はいお疲れさんです。サスケにすずさんは、明日の準備をお願いします。私は大口が入りましたのでそちらにかかります。]


すず[王様、井戸の取り置きはありませんが、今から作るのですか。][そういうことです。遠州さんにも1個選んでもらわなくては。]


303

[遠州さん、自分好みの一点物で5,000万円のものを1個選んでいただけますか。5,000万円のものがなければいくらのものでもいいです。私はこれから1億円の喜左衛門井戸を1個、


5,000万円の熊川を1個、5,000万円の三島を1個、5,000万円の青井戸を1個、5,000万円の粉引きを1個を作ります。遠州さんが選んだものは自分で箱書きをお願いします。


それで明日は本身をここに置いて分身して私たちと一緒に来ていただきます。]


[それは結構ですが、随分と豪気なお話で、面白そうなのでお供しますよ。早速、一点作ります。]先日、四越デパートの展示会で買われたお茶の師匠の、知人らしいから同じレベルで同じ値段にした。


だけれども似てはいないこんな感じかな。さ~てどうなることやら。


[遠州さんできました。見ていただけますか。][なるほど・・喜左衛門井戸の1・8倍はあります。ほかのも5,000万円の価値はありますよ。私のはこれです。]お気に入りの堅手である。


304

[これもいいですね。きっと喜んでいただけると思います。相手は年配の方で京都では有名な方だと新聞社の方が言っていました。][それは楽しみですね。]


[確認するのを忘れていましたが堅手も5,000万円でよろしいんですよね。][もちろんです。それでお願いします。]


10:00からのスタートだけれども忙しいので9:30に会場に到着した。主催者からの事前の連絡で今日は大阪と神戸の料飲組合からも来るということである。


[遠州さんは後ろの席で見ていて接客はしなくて結構ですが、話を聞いていてください。大物客が来たら一緒にお願いします。][わかりました。]


早いお客様は並べてあるものの品定めを始めている。調理場の仕事着で来ている方もいらっしゃる。今日は夏見で使用しているカゴを持ってきたので大量に買うには便利だと思う。


[さあ、時間です。販売を開始します。]サスケとすずが買い物かごに入った大量の食器をどんどんさばいている。


305

やっぱり大阪の人が多く混じりだしてきた感じである。こちらの好みは京焼も入るが、伊万里に九谷、唐津の普及品も売れて出している。


購入者の顔に笑みがこぼれているが、このような雰囲気を感じるのはとても心地よく、商売人冥利に尽きる。


スタートの騒々しさが落ち着いたころに昨日の老人が秘書を伴ってやってきた。[いらっしゃいませ、お越しいただきましてありがとうございます。][どうですかな、お持ちになりましたか。]


[はい、どうぞこれをご覧ください。それとこちらは小堀遠州さんです。一椀選んで持参していただきました。]


[それはそれは面白くなりました。拝見させていただけますか。][こちらが井戸で1億円です。ほかは遠州さんのも入れて各5,000万円です。][ふ~む、いいものを持っていただきました。


5点は自分ので遠州さんのは骨董ですね。これは重要文化財の長崎に似ています。ちょっと感じが違いますけれどね。でもとても結構なものですよ。]


306

遠州、[はい、よくご存じで兄弟のような感じですかね。][井戸もあなたから買われた千家の師匠のものとレベルは変わりません。これはこれで充分に楽しめる銘椀です。


今これだけのものを焼けるのはあなたしかいません。名は売れていなくてもわかる人にはわかります。ほかの5椀も全部いただきます。価格はおいくらですか。]


[消費税込みで、38,500万円になります。][支払いはこの場で携帯から振り込みます。ネットバンク口座を教えていただけますか。][はい、すずさんネットバンクの口座と名義を教えてください。]


[はい、こちらです。]携帯ですぐに表示した。秘書に、[この金額を振り込んでください。]


すず、[振り込みを確認しました。][どうもありがとうございました。][遠州さんの茶碗もいいですよ。今度のお茶会に使うつもりです。またご縁がありましたらよろしく。じゃあ、失礼しますね。]


6椀を風呂敷に包んで、秘書が大事そうに抱えていった。


307

すず、[王様、すごいですね。最近さえていますよ。][これでC国の500億円が決まると面白いんだがね。そろそろ稟議決裁がおりるころだな。]


[すみません、茶道を勉強中なんですが遠州好みの普及品があると聞きました。][はい、25,000円で種類はたくさんありますよ。]


[これはすごいな、本物と変わらんじゃん。][はい、高台裏の印以外はすべて本物と変わりません。][これ上野ですか。][上野の実力者が作ったものです。][じゃあこれください。]


小堀遠州も面白がってにやにやしながら聞いている。


志野のところには相変わらずに京焼の卸希望がひっきりなしに来ている。今の京焼は高いだけ高くてろくな作家がいないので、大御所の普及品はものすごい人気になっている。


潁川・仁阿弥・木米は明朝の写しが多いのだが、日本風の独自の解釈を入れて、それが京焼となって人気になっていると思われる。


[サスケさん京都のお土産のお菓子はなにがいいかな。みんなに持っていってあげようと思ってね]


308

[八つ橋の生ですかね。]すず、[京都は和菓子の店が多いので、その辺でいろいろ買ってもいいんじゃあないんですか。][和菓子でもいいけど、八つ橋をまだ食べたことのない人も多いので多めに買っていこう。]


[すみません、小堀さんは昔京都にいらしたと思うのですが、八つ橋はお食べになったことありますか。][聞いたことがあるような感じはしますけれども、よくわかりません。]


[それでは帰りに買っていきましょう。サスケさん帰りに寄ってください。][はい、わかりました。][今日は昨日以上の人出でよく売れました。ごくろうさん。さあ、帰りますよ。


ゴン太とユリには明日の夕方に冷凍してある猪の肉を茹でてやるからな。]ワンワンワン。


[さあ、着いたぞ。私は5,000万円の奥高麗と三島礼賓の2点の茶碗を明日に向けてセットします。サスケとすずさんは明日の用意をお願いします。遠州さんはお疲れさまでした。


お土産の八ツ橋は配ってください。調理室にも忘れないようにでは解散。]


309

志野、[王様、奥高麗と三島礼賓は初めてですね。][奥高麗は真熊川と胎土が違うだけでよく似ている。礼賓は今回一番に緻密な文言の蜜陽長興庫を見込みに入れようと思う。]


[礼賓は緻密すぎて日本では写しも見たことがないですが、礼賓特有の上品さがありますね。][そういうことです。他にはあまりないので、好きな人には興味を持ってくれると思うよ。


ただ5,000万円だからどうかね。]


10:00の開店なのに9:30に着いたらすでに一列に10組ぐらいが並んでいた。[すみませんいま並べますんで、少々お待ちください。]4人でテキパキと並べ、予定時間を繰り上げてスタートすることにした。


本日がラスト日というので今まで都合が悪くて来れなかった方々が待ち構えていた感じである。おもしろいのは今回魯山人の普及品は持ってこなかったのだけども、


例外に織部釉の俎板皿を持ってきたら、お寿司屋さんに人気があり結構な数量が売れた。


310

しかし数量の多いのは圧倒的に京焼の普及品である。飲食組合からかなりの人気なので、毎年やってくれないかとの要望をいただいている。さ~て、ぼちぼち昼飯かなと思っていたら、


昨日高額茶碗を買っていただいた紳士と同じ年頃で品の良い2人連れがお見えになった。


[私のお茶仲間が昨日こちらで買ったということで、もしかしたらいいものがないかなと立ち寄りました。何か面白いものがありますか。]


[ありがとうございます。こちらに私が焼いた2点がございます。どうぞ、ごらんになってください。]


[では拝見いたします。][ふ~む、奥高麗に三島礼賓ですね。礼賓は珍しい、しかも仕上がりがよく品がある。これは逸品ですね。奥高麗は逆にゆったりと気宇の大きな感じでこれも上手ですよ。


価格はおいくらですか。][各5,000万円+消費税です。][私はこちらにしたいが、あなたはよろしいですか。][私は奥高麗のほうが好みなのでどうぞ。]

奥高麗に三島礼賓も売れました。現代の陶芸家では王様が第一人者です。


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