犬のトナカイのサンタクロースの行進中にチンピラに絡まれるが、国定忠治と浅太郎に助けられる。
国定忠治と浅太郎のコンビはさすがに強いです。相手を叩きのめしましたね。
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さていよいよ当日である、[あんたたち用意に抜かりはないよね。][大丈夫だジョー。]お天気は快晴である。タエは1班であるので4匹の犬と猿回しのおじさんと2匹の子猿とともに乗り込んだ。
子猿はゴン太とユリと一緒なので他の犬からのちょっかいが無しである。3台のバスは予定の犬と引率者を乗せて福丸デパートに着いた。
すでに鼓笛隊の面々は到着していて準備ができているようだ。駅側の福丸デパート北口広場に集まり、犬は紙のトナカイのツノを着けている。
ゴン太など4匹も漬け終わったが早くも子ザルがゴン太とユリの背中に乗って遊んでいる。
[皆さんいよいよ始まります。予定の列に並んでください。]タエは自分も列に入ったが、鼓笛隊もOKのようだ。先導は鼓笛隊である。[それでは出発です~はじめ~~。]
音楽が鳴り、福丸デパートを左回り行進である。敷地はかなり広いのでゆっくり行けばかなりの時間を費やす。
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サンタ姿の2匹の小猿を乗せてゴン太にユリ、それにダイとウメが犬隊の先導をしているが報道関係も多数出ていて賑やかである。やっぱりクリスマスにはジングルベルの音楽があっている。
それに100匹以上の紙のツノを着けた犬のトナカイである。子供連れの家族や女性たちに大受けのようだ。
露天商も人出が多く、てんてこまいで威勢のいい掛け声が飛び交っている。犬のオーナーもみんなに注目されて、自慢げに歩いている。
これは年末の恒例行事になりそうで企画者に主催者が注目されることになりそうで、取り仕切る新門一家としても鼻高々である。鼓笛隊の親たちも晴れ姿に喜んでいる。
いい感じで進んでいるようだ、とその時、鎖が外れた大きな秋田犬が飛び出してきて犬隊に吠え出した。すかさずダイとウメが応戦するが紙のツノを着けているので締まりがない。
このままでは危険なので、責任者のタエはどうしたものかと困っていた。
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周囲も人だかりで注目されている。このシマ内を仕切っている飯岡助五郎が子分を連れてやってきたが、獰猛な秋田犬で手が出せない。これはお手上げ状態かなと思ったが急にバタッと秋田犬が倒れた。
王様と警護のサスケとすずが来ていて、サスケが合気武道の気を送り倒したのである。サスケは武道の達人である。[タエ、心配ないぞ続けなさい。][はい、王様ありがとうございます。]飯岡助五郎がやってきた。
[王様、みっともないところをお見せしまして、申し訳もございません。][いいや、いろんなことがあるもんだ。犬は警察に引き渡し関節が外れているだけで、入れれば元に戻ると伝えなさい。][へい、承知しました。]
王様の見事な対応に拍手が起こった。ジングルベルの音楽に引き寄せられて、観衆がますます増えてきた福丸デパートの社長以下役員一同も充分に満足のようである。[これはこれは王様いらしていたのですか。]
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[どうだクリスマスセールは好調かな?][はい、おかげさまでお客様の来店が多く順調です。28日のコンサートもチケットが完売でたいへん助かっています。]
[犬のトナカイは好評なので毎年やったらどうかな。][はい、他の役員もそのように思っております。]
福丸デパート周りの行進は大盛況で終了し、いよいよ門前駅前から第2班と合流してスタートである。[寒いから早くやるジョー。][あんたたち、お菓子はどんどんと配りなさい。
残して自分で持って帰るなんて思っていたら承知しないよ。][ボクお腹がすいちゃったんで少し食べていいかな。][ボクもだジョー。]
[サンタの衣装を着て食べていたら、みっともないでしょう。]頭をポコポコと殴られた。
[はい、それではスタートします。鼓笛隊は始めてください。][ピッピッピー。]ジングルベルの音楽がなりだした。1,300袋のお菓子を配るのは大変である。
2匹の親ざるは面白がって配っているが、子供たちに人気である。
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ター坊とよっちゃんも大忙しである。今回の隊列はお菓子を配るために行進の途中でも、たびたび停止しなくてはならないのでなかなか苦労をしているようである、15m進んで止まる感じである。
行進中に配るのは危険が伴うのでやめている。
近所の子供たちがみんな出てきているのか大賑わいである。門前町駅から江戸歴史地区になるので街並みを江戸風にし住民も着物を着ている。
ここらへんの一番大きな店は二越呉服店だがなかなか主人が商売熱心で、今日も1日限定の福袋が人気を呼んでいる。[はい止めて~、お菓子を配ってください。]
年末は酔っ払いが多いので注意をしていたが、ター坊のところでトラブルがあったようだ。
[こら小僧、俺にもよこせ。]ガタイのいい労務者風の5人連れが騒いでいる。[ダメだジョー、これは子供用だジョー。][うるせ~こわっぱ。]と頭をボコンと一発殴られた。
5人組は3袋ずつ手にして持っていこうとしたが、新門の若い衆2人が飛んできた。
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[困りますよ、元に戻してください。]といったとたん5人組に蹴とばされ殴られている。何しろ大柄で体力自慢の奴らである。かわいそうなぐらいにボコボコにされている。
タエも心配してやってきた。[ちょっとおじさん達何やってんの、ここは新門のシマ内だたいへんなことになるよ。]
[なんだ小娘が、お母ちゃんのオッパイでもしゃぶってろ。]とげんこつを振り上げた瞬間[よさねえか。]
2人連れである。労務者は5人組なので数量的に絶対優位と思いなめきっていたが、2人組は5人組に戦いを挑み逆にコテンパンにのしてしまった。強いのなんのケンカのプロである。
新門の若い衆が紐で縛り上げている、おそらく事務所でヤキを入れるのであろう。よっちゃんはうずくまっていたが、どうやら持ち直したようだ。
[あっ、国定のおじさんに板割りの浅太郎さん。][へぇ、タエお嬢さんしばらくぶりです。][忠治か、ありがとうよ。後で親分の家に来てくんな、おれが取りなしてやるわかったな。]
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[へぃありがとうございます。]若頭の大前田英五郎は国定忠治の肩をポンと一つ叩いて行ってしまった。忠治と朝太郎は暴力沙汰でたびたび問題を起こし出入りを禁じられていたのである。
一行は進みだして大通りを渡り、いよいよ参道に入ってきた。本日のクライマックスである。お菓子はだいぶ減ってきたがまだある。一行を待っていた子供達もたくさんいるので、今まで以上の人だかりである。
うわさを聞きつけてきゃら市の市長がやってきてしきりに頷ずいて、[辰五郎親方の娘さんよくやっているな、たいしたもんだぞ。][へい、ありがとうございます。]
[部下と担当部署にも相談しないといけないが、きゃら市としても後援をして毎年の恒例行事にしたいがどうだろうか。]
[へい、ありがたい話ですが、なにぶんほとんどは娘がやっていますんで何とも言えませんが、毎年の行事にするというのは賛成だと思います。]
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[まあ、終わってゆっくりしたら、娘さんと話し合いの場を設定してくれるかな。][へぃ、よくわかりました。]職人町の子供たちが大勢でター坊の軽トラにやってきた。
ドーベルマンも2匹連れている。[なんだ、なんだジョー。]と身構えるター坊とよっちゃん。
[お前らのこの前の犬、調べたらDOGOと四国犬のMixだけどDOGOというのは対マンでピューマに勝っちゃうそうだな、それにゴルドバ犬という死ぬまで戦う犬の血が入っている。
それに賢く猪猟に最適な四国犬の血がMixしていれば手ごわいわけだ。それとDOGOそのものは平均45kgだけれどMixはパワーアップして50kgになり、王宮のDOGOMixの番犬は200kgの猪をかみ殺したようだな。
ドーベルマンとの戦いはいい試合だった。それを伝えにきただけさ、みんなにお菓子をやってくれ。]
いよいよラストの山門広場まで100mになった。ター坊とよっちゃんは、[お菓子はもうすぐなくなるよ、早くとりに来て。]
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と叫んでいる。鼓笛隊ももうすぐ終了なので力強くなってきた。沿道の建物の2階から紙吹雪が舞っている。ついに山門広場に到着した。鼓笛隊はそこで反対向きになり5分間演奏することになっている。
その間にタエがマイクで[犬トナカイの参加の皆様、おかげで大成功です。来年もまたご参加をどうぞよろしくお願いします。良いお年をお迎えください。どうもありがとうございました。]
と述べると、やんやの拍手喝采である。
[鼓笛隊の皆さん、自分の分を持って行って~、ちゃんと用意してあるジョー。][さぁ~みんな帰るよ、ケーキが用意してあるからね~。猿回しのおじさんには日当を用意してありますし、
お猿さんにもバナナとリンゴが用意されています。それと2人分のケーキも切りますんで持って行ってください。][タエちゃんありがとうね、とにかくサンタの衣装を脱がなくちゃあ。]猿4匹の衣装も全部脱がした。
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辰五郎の前で国定忠治と浅太郎、それに若頭の大前田英五郎もかしこまっている。
[忠治に浅太郎、タエの助太刀をありがとな英五郎のとりなしなので今回は許すが、もう少し抑えることもしなけりゃあいけねえ、それで2人の仕事だが大事な依頼を王様から受けているのを任せようと思う。
王様の警備会社に幹部候補生として入って1・2年修行して仕事を覚えろ。新門の仕事としてこれから警備もやることにした。きちっと仕事を覚えれば全面的に会社の主導的立場になる。
おまえらがダメならそれでお終いだ、どうだできるか。]
[へぃ、警備なら自信があります。朝太郎と2人、命を懸けて頑張ります。決して親分の顔をつぶすようなことは致しません。][よし決まった。詳しいことは後で英五郎から聞くように。]
子供4人と犬4匹がケーキを食べている。[あっおヨシちゃん、私たちのお菓子を取っておくのを忘れた。][そ~ね、人にあげるのに忙しくて自分のことを忘れていたわ。]
国定忠治のコンビは大前田栄五郎のとりなしで帰参が叶いましたが、腕力が強いので今後の露死阿戦で活躍しそうですよ。