表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/71

1話

エピローグ


 クァンプ・ナウは超満員だった。そびえ立つスタンドからは、引っ切りなしに声援が飛んできている。

 二〇一〇年十月二日、神白たちヴァルサのスタメンは、コートの中で円陣を組んでいた。

 二〇〇六年のフベニールAでのルアレの決戦の後、神白は順調に上位カテゴリーへと上がっていった。トップへの昇格は一ヶ月前であり、ようやくの初出場が今日だった。

「監督の言ったとおり、オルフィノのマークはきっちりやろう。ルアレの豪華攻撃陣の中でも、何をしてくるか読めなくて一番怖い」

 腕にキャプテン・マークを付けたレオンが、真面目な調子で力説した。正キャプテンが怪我で欠場しているため、この試合に限ってはレオンがキャプテンだった。

「それから今日は、イツキとユースケのデビュー戦だ。俺も鮮明に覚えているけど、やはり初めてのトップの試合に臨む緊張感は強い。だからしっかり声を出して、二人をもり立てていこう」

 レオンの口調は力感が溢れているが、同時に暖かみもあった。神白は面映い心持ちで「ありがとう」と返す。

「サンキューっすレオン! 俺の目標である十代の内のトップデビューは叶わなかった! 同世代の天才たちからは一歩出遅れた感は否めないっす! だけどオレはこれからだ! 樹センパイと二人でびっちりばっちりトップ定着してやるんで、乞うご期待っす!」

 二十歳になったばかりの天馬が、しかし子供丸出しな声色で叫んだ。

(なんかこいつは、一生こういう腕白キャラな予感がするよな。それが天馬の良いところなんだけどさ)

 神白は一人、微笑ましい思いを胸に抱いていた。

 レオンが「行くぞ(vamos)!」と轟く声で叫んだ。神白らは「おう(si)!」と声を張り上げる。

 円陣を終えて、神白はゴールへとダッシュしていった。到着して振り返ると、皆、すでに配置に就いていた。神白は両足ジャンプをしつつ、集中を高めていく。

「樹ー! 頑張ってねー! 初のトップ試合で初のクリーンシート(無失点試合)! 君なら絶対にできるんだからさー!」

 スタンドから溌剌とした声が飛んできた。エレナだった。復活してすぐに加入した、ヴァルセロナSC・フェメニの練習着を身につけている。

 神白はエレナに顔を向け、右手で力強くガッツポーズした。

(君のおかげで、俺はここまで来れたよ。後はどこまでも上っていくだけだ。バロンドールの高みまで)

 万感の思いを込めて、神白は心中でエレナに語りかけた。すぐに、ピーッ! ホイッスルが鳴り、ルアレの7番がボールを蹴った。


ブックマークや評価をぜひお願いします。

ブックマークはページ下部の「ブックマークに追加」をクリック、評価は「ブックマークに追加」のすぐ下の【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ