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最後列のファンタジスタ~禁断の移籍を敢行した日本人キーパーは、神秘のヴァルセロナ美少女との邂逅で超越する~  作者: 雪銀かいと@「演/媛もたけなわ!」電子コミックサイトで商業連載中
第四章 伝統の一戦と少女の真相

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11話

       十一


 オルフィノのスーパー・プレーによる衝撃は大きかった。だが、ヴァルサは少しずつ調子を取り戻した。アリウムもより徹底してオルフィノをマークするようになり、不安定ながらも追加失点は免れていた。

 前半三十分過ぎ、敵の5番が零れ球を拾った。バックスイングし、大きく蹴り出そうとする。

「させないっす!」右にいた天馬が急加速。スライディングで割り込んだ。

 チッ! 天馬の足先が掠り、キックのコースがわずかに変わった。だが勢いは減じておらず、高速でヴァルサ陣地へと飛来する。

 最後列の暁が腿でトラップ。敵9番が迫り来るが、左で転がして抜き去った。

 暁は猛進を続ける。刹那、神白の頭に閃きが生じた。ゴール前を離れて前進し、暁が上がった穴を埋める。

「神白君?」ベンチのエレナから不思議そうな声がした。今や平行の位置にいるアリウムも、怪訝な面持ちをしている。

 ドリブルし続ける暁に、ルアレ5番が寄せた。暁、小さく蹴り真似を入れると、右方のレオンにパスをした。

 首振りで周囲を確認し、レオンは右のライン際の5番に落とした。5番、小さくバックスイングし、低いクロスをゴール前に入れる。

「これで同点!」力強く喚いた天馬が疾走。頭から飛び込み、ヘディング・シュートを撃ちに行く。

 ボールは天馬の額に触れた。だが直後、モンドラゴンの出した左足に当たり、大きくクリアされた。勢いよく飛んで、守備陣と平行の位置にいる神白へと向かってくる。

「イツキ、どうしてそんな前に──」レオンの驚いた声が耳に届くが、神白は不思議な直感に従い胸トラップした。大きく足を引き、力いっぱい蹴り込む。

 ドライブ(縦回転)の掛かったボールが敵ゴールを襲う。距離はおよそ四十m、紛れもないロングシュートだった。

 ルアレのキーパーはバックステップしていく。その間にもボールは進む。

 キーパーは跳躍した。指先に触れた。神白のシュートは軌道を変え、ゴールの上側に外れた。ヴァルサのコーナー・キックである。

 キッカーの天馬がボールを拾いに行った。神白は全力疾走で、ヴァルサ守備陣の後方へと移動していく。

(なんだろう、この感じ)神白の思考はいまだふわふわと纏まらなかったが、同時に強い全能感も覚えていた。



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