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6話

       六


 ファールの反則により、ヴィライアのフリーキックになった。場所はゴール正面、ペナルティーエリアのわずか外だった。

「アリウム! もっと右だ! 隙間を作るな!」神白は中腰で構えつつ、守備陣に指示を飛ばす。視線の先ではヴァルサの壁を中心に、両チームの面々が動き回っている。

 蹴るのは暁だ。ボールを一度、額の高さまで持っていき、しばらくしてから置いた。

 暁は、大股で後ろへと歩いていった。立ち止まると、すうっと綺麗な仁王立ちの姿勢になる。集中を高めるためのルーティーンだった。

 ホイッスルが鳴り響き、暁は動き始めた。やがて、ドンッ! 鈍い音とともにボールが飛んでくる。

 神白は目を凝らし、(ブレ球!)即断して右上に跳んだ。

 ボールがゴール右隅を襲う。触れられそうなコースだ。神白は確信する。

 しかし、ボールは不自然に落ちた。無回転シュートだった。

 指は掠ったが勢いは止められない。ボールは神白の後方に行き、ネットを揺らした。

 次の瞬間、暁が咆哮した。ヴィライアのメンバーは、歓喜の表情で次々と暁に駆け寄っていく。

(くそっ! 読めたのに防げなかった!)神白が悔やんでいると、「イツキ! 項垂れるな! 良い反応だったぞ!」とベンチのゴドイから大声が飛んできた。

 神白はゴドイのいるベンチに視線を向けた。皆、面持ちは重いが、諦めた風な者は当然いない。

 ふうっと息を吐き、神白は再び集中を高め始めた。試合はまだ一時間以上あり、逆転の望みを捨てるにはあまりにも早かった。


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