表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後列のファンタジスタ~禁断の移籍を敢行した日本人キーパーは、神秘のヴァルセロナ美少女との邂逅で超越する~  作者: 雪銀かいと@「演/媛もたけなわ!」コミックシーモア等で連載中
第二章 神白樹の飛躍

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/71

9話

       九


 ゲームはそのまま終わった。会心の勝利により、ヴァルサは首位キープに成功した。

 試合の後、神白はチームドクターに診てもらった。結果は一過性の脳震とうで、二日ほどは要観察というものだった。

 診断が終了し、神白は仲間の元に戻った。フベニールAのメンバーは、ゴドイの前に円形に集っている。

 神白はその端に加わった。すぐに、「イツキ! 頭は問題ないのか?」とゴドイが気づかわしげに問うてきた。

「軽い脳震とうです。大丈夫だと思いますが、しばらく様子を見ます」神白は落ち着いて答えた。

「イツキ! 今日は素晴らしかったじゃないか! 見違えたよ!」弾んだ声がして、ゴドイの背後から一人の男性が現れた。短く整えた髪は真っ白で、元気ではあるが老人という表現がしっくりくる風体だった。にこやかな笑みには心の底からの喜びが見て取れる。

「ロレンソさん。いらしてたんですね」神白はにこりと笑いかけて答えた。

 老人の名はオリバー・ロレンソ。現在、六十六歳で、ヴァルサのOBだった。ポジションはキーパーで、一九六〇年代のヴァルサの堅守を支えた伝説の選手だった。

「君の成長が本当に嬉しい。私は誰よりも、君に目を掛け、君の力となってきた。これからも弛むことなく精進を続けなさい」

 愛のあるロレンソの言葉に、「はい」と、神白は満ち足りた気持ちで答えた。

 ロレンソはしばしば、下部組織の練習に顔を出していた。神白もよく教えを受けていて、サッカーにおける悩みの相談にも乗ってもらっていた。ロレンソは、神白にとってかけがえのない恩師だった。

 ゴドイがゆっくりと歩み寄ってきた。パワフルな笑みとともに大きく両手を開くと、神白の背中に回した。

「今日はよくやってくれた! 目の覚めるようなビッグセーブに、後方からのスムーズな組み立て。得点に繋がった、二度の高速カウンターの口火を切りさえした! 君はユースケと並ぶ、今日の試合の殊勲者だ! 誇っていい! 皆、拍手!」

 ゴドイはハグをしたまま、勇壮な調子で神白を讃えた。

「ありがとうございます」神白は盛大な拍手を耳にしつつ、大きな充足感を得ていた。

 しばらくして拍手は止んだ。ゴドイは身体を離し、神白の両腕をがしりと両手で掴んだ。

「だが無理はするなよ。君の行く末は明るいんだ。下部組織で、選手寿命をすり減らすような愚行は避けなくてはいけない。自分の限界を押し広げるのは大事だが、良く戦うには休息も必要だ」

 ゴドイは慈愛に満ちた視線で、神白を見据えた。「はい」と、神白は光栄な思いを抱きつつ答えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ