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働き者の手



 伐採を終えた頃には日が暮れかけていた為、最終的に皆は従人が出した追従の獣に乗って城へと帰った。

 最終的に、だ。

 途中人間も移動させる事が可能なんだからワープ出来ないかと犬穴の穴を利用したものの、どうやら現状ではそこまでの遠距離移動は無理のようで、いまいち効果が無かったのだ。

 その結果、追従の獣の背に乗る、という事となった。

 尚体刀は下半身を馬に変化させてケンタウルス状態で心声と憶水を乗せて走り、飛天は翼で飛び、群光は翼を生やした群の兵に抱えられて移動した。

 既に丸太の移動用にと出した追従の獣で従人はTPを使い果たしていた為、二十二人の移動には数が足りず、どうにか考えた結果である。

 夜まで掛かっても良いなら策もあっただろうが、夜に出歩くのは止めた方が良いという事で急いだのだ。

 そうして帰って来た頃にはくたくたになり、どうにか風呂と食事を済ませて寝て、朝が来た。





 話を聞き、ふむ、と絆愛は頷く。



「つまり丸太を木材にする為、その依頼を受けてくれそうな冒険者を集えば良いというわけだな」


「ああ」



 騎士イチョウが肯定した。



「現在、この町には大工が一人しか居ない」


「うっわ」



 思わずといったような声が聞こえたので振り向けば、犬穴が悪い悪いと手を挙げていた。

 恐らくは会議室なのだろう大きな机がある空間を勉強部屋として用い、本日の午前の勉強が終わった直後、騎士イチョウが話がある、と絆愛に言った。

 そこからのこの会話なので、聞き耳を立てずとも聞こえるのは当然だろう。


 ……うん、それに誰かが一緒に居てくれるというのは良いからな。


 説明下手な自覚のある自分としては後で報告する手間も省けるし、よくわからない時は助言が貰えるのでこうして誰かと一緒の時に説明してもらえるというのはありがたい。



「騎士イチョウ、大工が一人しか居ない、というのは?」


「…………」



 騎士イチョウは物凄く言い難そうに渋い顔をした。


 ……ふむ。


 老年でありながらも男らしさが強く出ている顔つきの騎士イチョウがそうやって表情をころころ変化させるというのは、見ていて胸がときめくものだ。

 変わりそうにない表情が様々な変化を見せるというのはキュンと来る。



「……雨漏りや隙間風などを直す気力が無く放置する者が多い。直すとしても自分でやる。金が無いので新しい家を建てるよりも中古で家を買う方が多い。そもそも木材の調達が出来ない。なにより金が無い人間が多くて大工に仕事を頼まない為大工の仕事が無い」



 指折り数えながら騎士イチョウは言った。



「そういった色々が重なり、大工は一人になったんだ。十年か二十年か前であればまだ他にも居たんだが、病気や寿命で亡くなったり、食っていけないからと離れたり、そもそも大工になろうとする人間が居なかったりでな……」



 騎士イチョウは溜め息を漏らす。



「丸太を木材に、というのはその大工がやる。他にやる人材も居ないからな。実力はしっかりしてるから信頼出来るが……一人しか居ないせいで仕事が遅いんだ。だが、アイツは一応教えたりも出来はするから」


「最初の方の仕事の進みを捨てて、人手を集め、使えるようにすれば最終的に諸々が向上する、と」


「ああ」



 意図はちゃんと読み取れていたらしく、肯定の頷きが来た。





 イチョウとしては、大きい孤児院を建て直すとなればこのままだと数年は掛かりかねないな、と思っていた。

 そしてこれから色々と改善していくなら、大工一人というのは手が足りない。


 ……ツガのヤツも後継者やら弟子やらを欲しがってたしな。


 あれだけ冒険者も居たのだから、何人かそのまま大工になるヤツも居るだろう。多分。居て欲しい。





 心声は騎士のイチョウが何かを念じている事を読み取ったが、まあ職人が増えるのは良い事だよねんとスルーした。





 絆愛としては断る理由も無かったので、頷きを返す。



「わかった、ギルドに行って聞いてみよう」


「頼む。ついでにツガ……大工にもギルドに行くよう言っておくから、話し合いやらで纏めてくれ。図面もな」


「ああ、そうか、図面も必要になるのか」



 ……言われてみればそうだな。


 ハッキリとは考えていなかったが、大事な部分だ。

 とりあえず寝室の広さとリビングの広さを確保するのは絶対として、後はどうするか。

 正直これという要望も無いので、ギルドで色んな意見を聞くとしよう。

 冒険者が沢山居るはずなので意見の多様さには期待出来る。


 ……キッチンは恐らく天恵が使うだろうから、天恵に任せるか。


 利便性やらこういうのが欲しい云々については日常的にそこを使う人間に任せた方が良いものだ。

 自分も作れはするが自分の為には作らないし、基本的に誰かの手料理を好むせいか結局手伝い止まりになる為、そっちの方が良い。



「了解した。ところで、今日は騎士イチョウが共に来てくれるのか?」


「……いや、私は鍛冶師の方へ行く」



 騎士イチョウは目を逸らした。



「勇者達の武器類が不要だとしても冒険者が丸太を木材にする作業に協力するという事はそれ用の道具が必要で、つまり鉄を加工する必要があり、必然的に鍛冶師に依頼する事になるからな……先に話を通しておいた方が楽だ」


「だが、そう簡単に作れる物でも無いだろ?」


「在庫はあるから売り物を買えば即戦力。ただし使い込めば駄目になる可能性もある。勿論そんなやわな作りでは無いが、一応な」


「成る程」



 確かに突然、親父これ一丁!と注文するのは相手も困るだろう。

 ならばあらかじめあり得そうな仕事についてを通達しておくのは良いかもしれない。



「……よし、ではとりあえず私は、というか私が冒険者に交渉に行くとして」



 愛の能力からしても、自分が行く方が早いだろう。多分だが。



「他、一緒に行くのは?」


「いやいや、そこは普通に全員で行きますよー?」


「そうなのか?情陶」


「はい。絆愛は心配ですからね」


「……ソレ、私に何かあるかという心配では無く、私自身が何か心配事を起こすんじゃないかという意味に聞こえるんだが」


「そうですよ」


「そうなのか……」



 さらりと肯定されてしまった。


 ……いやでも、私はただ口説くだけだから、そんな心配されるような事は無いと思うがな……。


 しかし色々と世話になっているのは事実なので、本人達がそれで良いならそれで良いか、とも思う。

 己は寂しがり屋でもあるので、同行者が多いのは嬉しい事だ。



「皆もそれで良いのか?」


「僕は構わないよ!」


「同じく」



 従人と掃潔が頷いた。



「私と天恵は孤児院組ですから、図面の為にも当然同行になりますよね」


「そうね。キッチンとか出来るだけ詰めておきたいし」



 不崩と天恵の言葉はごもっとも。

 図面の為に同行を、というのは当然だった。



「僕が居ればスマホが使えるわけだし、こっちの基準がどの時代のレベルかわからないけれど、一応大工作業や建物の作り方についても検索しておこうか。情陶にそれをパラパラ読みで良いから見て貰えば、情報としてホログラムで出せるしね」


「あー、私は文字苦手だからすぐに寝ちゃいますけど、それなら寝ずに済みますし、不備も少なくなりそうで良いですねー」



 優信と情陶に至っては既にアドバイス側の視点に立っている。

 確かに耐震構造やら何やら色々心配なので、そういう知識を提供するというのは良い事だろう。

 こちらの世界の方が技術が進んでいる可能性もあるが、もしそうでは無い場合、技術向上に協力出来るのだから。



「あー、でもそうなるとギルドには俺らだけで行くって事か?」


「どうしましょう。道を完全に忘れています」


「同じく」


「や、まあ、憶水と群光はいつもの事だから良いとして」



 獣生が言う。



「俺は山ん中で迷うとマジでヤバいから道は覚えられる方だけど、それでも明るい時間帯と暗い時間帯じゃ見え方も違うからな。そうなると体刀達、ギルドに乗り込んだ組に案内して貰った方が」


「私が覚えていると思うか」


「体刀に同意な。俺そういうのは今まで地狐に完全任せてたからよ」



 犬穴の言葉に、地狐が胡乱げな目を向けた。



「……前から思っていたのだけど、犬穴、あなたって中学で僕とコンビを組むまでどうしてたの?」


「適当にその辺の店のコロッケの匂いとか花の匂いとかで覚えてたぜ。餡子の匂いがするならこの道でこの時間だな、みたいな」


「犬かな?」


「実際名前に犬が入ってるしね」



 笑っている心声の言葉に、時平が苦笑しながらそう続く。



「ああいや、案内ならストケシアをつけるぞ」


「ストケシア?」



 騎士イチョウの言葉に幽良が首を傾げたが、



「ああ、メイドのストケシアか」



 自分には覚えがあった。

 前に厨房で会った、孤児院出身のメイドだろう。



「その通り」



 合っていたらしく、騎士イチョウが頷く。



「ストケシア!」


「た、ただいまであります!」



 騎士イチョウが呼べば、近くに控えていたらしいストケシアが控えめな足音で駆けて来た。



「メイドのストケシア!ただいま参上したでありますよ!」


「やあ、久しぶりだな、ストケシア」



 立ち上がって近付きながら声を掛けると、はわ、という反応をされた。



「あ、愛の勇者様!こ、こうして顔を合わせるのはお久しぶりでありますね!」


「ああ。ストケシアは相も変わらず愛らしくてなによりだ。夜に会った時も素敵だったが、昼にこうして顔を合わせると光の違いによりまた違う雰囲気に見えるな」


「ひょえ……」



 ……違う雰囲気に見えるというより、違う雰囲気に感じる、というものだろうか。


 しかし、


 ……それもまた愛おしい。


 昼の猫も夜の猫もどちらも素敵、みたいなものだ。

 こちらの方が好みだとかそういったものはなく、ただ純粋にその存在が愛おしいというアレに近い。


 ……ん。


 そう思い、ふとスカートの前で組まれているストケシアの手が荒れている事に気付いた。



「……ああ、けれど私達の寝間着などを洗濯してくれているからか、前に見た時よりも少し手が荒れてしまっているな」



 人数が多いので申し訳ない。



「これも傷薬でどうにかなるのであればこれから魔物退治の度に薬草を採取するつもりだから是非使って欲しいところだが……」



 ……ハンドクリームの方が良いだろうか。


 幸い、外に出る際は乾燥防止用にとハンドクリームをポケットに入れる事にしている。

 外では無く城内だが、ポケットに入れておいて良かった。



「ストケシアはイランイランの香りは大丈夫か?」


「へ!?よ、よく知りませんが多分大丈夫だと思うであります、よ?」


「そうか、良かった。ちなみにその手を取っても?」


「私は構わないでありますが、その、荒れているのであまり触っても気持ちの良いものでは……」


「まさか」



 手を取れば、確かに荒れている。

 皮膚がガサついていて、確かに少しザラリとするが、それは働いた者の手だ。


 ……この手は、私達の為に掃除や洗濯をしてくれているのだと伝えてくれている。


 手というのは、その人の事を教えてくれる雄弁な語り手だと絆愛は思う。手だけに。

 そして絆愛としてはその人の内面を知った上で愛したいので、こうして語ってくれる手は素敵な仲介者だ。



「では、失礼して」



 ストケシアの両手を取ったままポケットからハンドクリームを出し、ストケシアの手に塗る。

 あとはハンドクリームをポケットに戻して、己の両手でストケシアの両手にそのハンドクリームを塗り込めば良い。


 ……べたつかないタイプだから持続性は無いが、それでも無いよりは良いだろう。


 正直トリップしたせいでこのハンドクリームは今持っている分しか無いが、まあ素敵な少女の手をしっとりさせる為に使われるのであれば問題あるまい。


 ……うん、こうしてしっかりと触れ合えるというのは、良いな。


 誰かと触れ合うのは大好きだ。

 それ故に、特に問題視される事も無く触れ合う事が出来る手の触れ合いはとても好ましい。


 ……やはり母さんは凄い。


 ハンドクリームはいついかなる時でも持ち歩くように、というのは母の言だ。

 うっかり出し過ぎたから貰って欲しい、とか言えば相手の手に触って体温を感じる事が出来るし、なによりあちらも喜んでくれるから、と。

 確かに誰だって、手が荒れたままというのは嫌だろう。


 ……手が荒れると痛いしな!


 ちなみにイランイランの香りというのも母チョイスだ。

 キャバクラという仕事の為、お店の雰囲気に合うヤツを選ぶとこうなるらしい。


 ……私としては特に強い好みも無いから、母さんが気に入っているハンドクリーム、というだけで選ぶには充分な理由だ。


 クラスメイトのハンドクリームと同じ物を、というのも考えたが、基本的に一緒に居るのでそっちを使いたい時は借りれば良いという結論に至った。

 実際ちょくちょく貸し借りをしているので、それぞれ違う物を持っている方が時々気分転換出来て良い。



「あ、ああああの、愛の勇者様……!?」


「ん?」



 母の事を思い出しながらストケシアの手の感触や伝わる体温を楽しんでいたら、ストケシアの顔が物凄く真っ赤になっていた。





 ストケシアとしては、ちょっと驚き、どころではなかった。


 ……私こういう系耐性皆無なんでありますよー!


 孤児院では明日の為の食糧確保やら弟妹達の世話やらで忙しくそんな暇は無かったし、城でメイドとして働く事になったら自分しかメイドが居なくて物凄く大変。

 普通お城なら沢山のメイドが仕事を分担するのだが、メイドになってくれる人材も居ない為、一人でそれらをこなしている。

 つまりドキドキとかの余裕も無い。


 ……正直言って、年齢層かなり高いでありますし。


 まずブナ王は王なので無い。騎士であるイチョウも、執事であるセリも、当然ながら御者であるサラセニアも、だ。

 スターチスはそこまで年を取っているわけでは無いが、そういう雰囲気にもならない。

 庭師であるカランコエはあの口調でかなり大らかだが、それはそれとして口調がやっぱり怖いし時々からかってくるので無い。

 買い出しで町に出る事もあるが、どうしても現代は血を残すよりも今日を生きる方を優先しなくてはならない為、結婚などをするような余裕が無いのもまた事実。


 ……結婚しても子供を育てる余裕が無い、とかもザラであります。


 自分が正にソレだ。

 育てるお金が無く、このまま一家で飢えるよりはと捨てられた。

 捨てられたというか、孤児院に引き渡された、と言うのだろうか。


 ……少なくとも売られたりしないだけ良心的でありました。


 普通に禁止されている事だが、人身売買が一部で行われているのは事実だ。

 いざという時の囮だとか、人手だとか、まあそういう色々である。

 そう思うと、孤児院にというのは本当に良心的と言えよう。


 ……まあ、その孤児院は外から来た放火魔に燃やされてしまったのでありますがね。


 思い出すと悲しい、となるのがいつもなのだが、今は愛の勇者に手を握られ、あまつさえ手ずからハンドクリームを塗られている。

 こちらの世界にも通販の勇者のお陰でハンドクリームは存在するのだが、あれは傷薬の軟膏バージョンと言った方が良いだろう。

 香りについては花や蜜などでどうにか出来るから良いのだが、今は少々森に出歩くにも危険という事で薬草が不足しており、つまり作られていない為在庫が無い。

 一部では作られているようだがそう数も作れない為、非常に少数かつ高級状態なのだ。

 しかし異世界から来たのであれば愛の勇者の持っているハンドクリームだって有限だろうに、まったく気にした様子も無い。


 ……というかこの、こう、胸の奥が物凄く熱くなるのは何なんでありますか!?


 多分これがダイレクトに好意を伝えて来るという愛の能力。

 好意の純度が高過ぎて、熱として来るのだろう。

 胸の奥のかまどにガンガン薪を突っ込まれているような状態の為胸の奥がごうごうと燃え盛っているとか、そういう感覚。

 初恋もまだなので完全に言い切る事は出来ないが、多分恋では無いと思う。多分だが。





 心声はメイドの心の声を聞いて、うわー既に口説き済みかー……、と思った。


 ……ま、これがいつもの絆愛のテンションなんだよねん。


 だからこそ普段の自分達は止めるのだが、何だかいまいちタイミングが無くてどうしたものか。

 というか絆愛からの好意が純度高いのにダイレクトに剛速球過ぎて物凄い効果を発揮しているのがわかる。


 ……このままだと手を握ったまま色々聞きつつ口説きコースに入りかねないし、そうなると時間潰れて図面とか考える時間が減っちゃうから、早めに止めた方が良いと思うんだけどー……。


 こうして心を読むと、絆愛の方に意図が無いから恐ろしい。

 意図というか、口説こうとして口説いているというよりも、相手が素敵過ぎて口説かざるを得ない、みたいな感じなのだ。

 あと相手の手に触れて体温を感じたい、という感情でメイドの手を握っているが、子供が手を繋ぎたがるような感情があるだけであって下心が無いのが驚きである。

 まあ、絆愛としてはそれが下心みたいな感じのようだが、ガチの下心に比べれば可愛らしいものだ。


 ……というかマジでどう止めよう。


 心声がそう思っていると、パン、という乾いた音が室内に響いた。





 優信はとりあえず、視線をこちらへと向ける為に手を叩いた。



「絆愛、とりあえずハンドクリームは塗れただろうから、そこまで。色々と説明してもらう必要もあるし、一旦手を解放してあげてくれるかな?」


「おっと、そうだな」



 口説くという行為に関しては本能に近いものなのか、そこに関してだけはしつこい時もあるが、基本的に聞きわけが良い絆愛なのであっさりと頷いてくれた。



「では、これで。私達の為にと働いてくれているのがわかる、素敵な手だった。そしてその手に触れる事でストケシアが手荒れを嫌がるよりも私達の為にと、そして仕事を全うしようとして働いてくれるのがわかる。キミという人は真面目で思い遣りがあるのだと知れて、私は嬉しい」


「ひゃえ!?」


「ふふ、そんなにも顔を真っ赤にさせたら愛らしくて、何よりも甘そうで美味そうで、困ってしまうな。私としてはそんなキミを見れた事も嬉しいが、人には見せない方が良いだろう。うっかり見惚れてしまうだろうから」



 そう言って絆愛は離れたが、顔を真っ赤にさせて硬直したまま何も言わないメイドの少女を見て、こてりと首を傾げる。

 その顔は明らかに、自分の言動がクリティカルヒットした事に気付いていない。


 ……いや、気付いていないというよりも、自分の口説きがそこまでクリティカルヒットすると思っていないだけかな……。


 こちらの人間は色々と荒んでいるからこそ純度の高い好意に弱いという事を忘れてしまっているのかもしれない。



「……どうした?」



 実際、不思議そうな顔で絆愛はそう言った。



「……………………」



 対するメイドは片手で口元を押さえながらその真っ赤な顔を逸らし、もう片方の手の平を絆愛に向ける。



「……ちょ、ちょっと、待って欲しいであります……!」



 まあそうなるよね。



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