到着
まさか、あんな力があるなんてな。
「見かけによらないもんだな、サンマリーの国の女性達はゼイバルの女たちよりひ弱に見えたのにな」
「確かに、美しく強いとは...世の女性達が憧れる訳ですね」
ルークの言う通り、理想の女性とはサンマリー国の女性のような人たちだろうな。
「さて...」
俺は、マリーベル姫たちを侍女達に任せてグルの執務室に向かった。
執務室にはもうグルと、アレン達がいた。
「これから、結婚の準備とか忙しくなるな」
「でもさ、あの姫さんたち結構強いから警備の面では大丈夫みたいでそれがなくなっただけでもいいことじゃない?」
「確かに、帰ってきたらそれを考えなければいけないと思っていたが...」
「嬉しい誤算だったな」
あんな力があると知っているのは今のところ迎えに行った俺たちのみ、それを知らない若い奴らが何か仕掛けてもセリーナ嬢たちなら返り討ちだろう。
今から、襲いに行くやつらが気の毒だ。
「明日から覚悟してくださいね、グル様。マリーベル姫との婚姻からは逃れられないですからね」
「分かってるよ、マリーベル姫にも言われたしな」
あの二人で話した時に何を話していたのかは、まったく教えてくれずに”何も聞くな”としか言わないため、いまだに分かっていない。
何を言われたのか...。
「明日は、式で着るお召し物を決めなければなりません」
「明日からか...。マリーベル姫は大丈夫なのか?着いたばかりだろ?」
「マリーベル姫からは承諾を頂いております」
「なっ!?」
さすが、グイールだな。ぬかりないな。
「では、マリーベル姫たちには今日はゆっくり休んでいただいて明日から、忙しくなることを伝えてきましょうか」
「頼めるかアレン」
「えぇ、では行ってきますね」
アレンは、マリーベル姫たちがいる部屋に向かったのだろう。執務室から出て行った。
マリーベル姫たちは、今は客間にいるが正式にグル様と婚約をすればマリーベル姫はグル様の部屋の隣の部屋に移ることになるだろう。
それから、俺たちが迎えに行っている間の引継ぎをしていない間にたまっていた仕事を片付けていたら、あっという間に時間が過ぎて行った。
「グル様、ヴァイル、そろそろお食事ですよー」
「もうそんな時間か?マリーベル姫は?」
「さっきここに来る前に声かけたんで、先に行ってるはずですよ」
「そうか、なら待たせてはいけないな。行こう」
ちょうど仕事も一区切りついたところで、グル様と呼びに来たルークと一緒に食堂へと向かう。
俺たちが食堂に着くと、すでにマリーベル姫たちがいた。それに、アレンやグイールも。
「すみません、お待たせしましたか?」
「全然大丈夫ですわ。お仕事が溜まってらしたんでしょ?」
「まぁ、そうですね。ありがとうございます」
そう言って、グルも席に着いた。今は、グルとマリーベル姫が席に着いていて他の俺たちやセリーナ嬢たち、仕える者たちは俺たちは壁際に立っていてセリーナ嬢たちは給仕をしていた。
もう給仕ができるまでに馴染んでいるのか?
「もう給仕をされてるんですね」
「はい。ベル様が、他の方だと落ち着かないと言うので」
「なるほど、それはありますね」
「グル王様より、セリーナ達が自由に動けるようにしていただいたからこそですわ」
確か、そんな許可を着いてそうそうにマリーベル姫がとっていたな。
「さ、お食事にしましょうか。準備ができましたよ」
「食べよう、マリーベル姫。食事が終われば、今日はもう早めに休んでくれ」
「はい、ありがとうございます」
なごやかに食事は進み、そのまま時間はすぎていった。