旅立ち3
さっそくブクマ、評価ありがとうございます。
とても嬉しいです。
そしてやはり、その夜事件は起こった。
それは、ベッドに入りだんだんと夢の世界へと行こうかと意識がふわふわしている時だった。
「セリーナ...」
「やっぱり来るよね」
私たちはそれぞれ、二人一組で部屋を取ってもらっていて私はレイアと一緒の部屋にしてもらっていた。
そして今、私たちの部屋には私たち二人の他にも人がいる。夜這いならばまだかわいいが、命がかかってくるとそうもいかない。
武器も持っているんだろう、さっきからカシャカシャなっている。殺し屋であるのなら、明らかに素人だろう。このまま、寝たふりを続けよう。
レイアと視線だけで決めて、目をつぶる。
侵入者は、だんだんとベッドの方へこちらを伺いながらゆっくりと歩いてくる。
二人かな?レイアの方からも足音が聞こえるしな。
「不用心すぎるぜ、嬢ちゃんたち」
「ほんとだよな、どっかの金持ちのお嬢なんだろう。女が少なくなってる今、ゼイバルの近くにくるんなら夜もちゃんと警護してもらいなよ、次はな」
と言って、下品な笑い声を出しながら近付く。
「さて、じっくり楽しませてもらおう」
男が真横に来た気配がする、そしてこちらに手を伸ばしてきているのを気配で感じる。
もう少し、もう少しで私の守備範囲だ。
もう少し、もう少し...。来た!
私は素早く飛び起き、男の腕を掴む。
「なっ!?起きていたのか!」
「残念でしたね」
「ふん!だが、所詮女だ力では到底かなわないはずだ!」
「どうかしら、ね!」
男が無理やり私の腕を振りほどこうとしているが、私たちには全然効かないのだ。
チラッとレイアの方も見ると、レイアも男を捕まえていた。そして、その男も抵抗しているようだがレイアは涼しい顔で、むしろ微笑みながら男をみていた。
「どっからこんな力が!?」
「びくともしねぇ!?」
「さて、どうするの?セリーナ」
「ずっとこうしとくのも疲れるしね、とりあえずナーラに”連絡”しようか」
私は、ナーラに私たちの”連絡手段”で連絡をとった。
(ナーラ、こっち男が侵入してきてるけどそっちはどう?)
(こちらもです。そちらも二人ですか?)
(そうなの、やっぱりヴァイスさんたちに伝達行けそう?)
(大丈夫ですよ、私が男二人見てますからルルに行かせますね)
(お願いね)
ナーラとの連絡を終えて、レイアにも伝えしばらくするとヴァイスさんとアレンさんが来た。
「大丈夫、そうですね」
「はい、私たちのところの侵入者はこの二人だけですよ」
「...お二人とも怪我は?」
ヴァイスさんが、遠慮がちに聞いてきた。
「この者たちはこちらで預かりますね」
そういって、アレンさんがその二人に縄をかけはじめた。
その後、ヴァイスさんたちがこちらに来るまでに連絡したのか今回グル王について来ている以外の、近衛騎士の人たちが来て侵入者たちをまとめて連れて行った。
「みんな、怪我はないわね」
「はいベル様、怪我はなく皆無事です」
「ならいいわ」
「待ってくれ、少々聞きたいことがあるのだが」
「グル様、もう真夜中です。お話は明日、ゼイバル国へ向かいながらというのはいかがですか?どうしても長くなってしまいますから」
「...分かった、皆もう休もう。ベル姫たちも、ゆっくり休んでくれ」
グル王のこの言葉で私たちは、それぞれの部屋へ戻りゆっくり眠ることができた。