旅立ち
ベル様、本当に何をしたんだろう...。
なぜか馬車から出て来ようとしないゼイバル国王を、あちらのお付きの人が説得してたけど全然ダメだったのに。本当に何したんだか...。
「ねえ、ベル様いったい何をしたんだと思う?」
「そういうのは考えないようにしてる」
「確かに、それがいいわね」
そんな会話をレイアとしていると、あちらのお付きの一人が近付いてきた。
「そろそろ出発しようと思うのですが...」
「はい、大丈夫ですよ」
「であれば行きましょうか、では...」
「いい子だね~君たち~」
声の聞こえた方を見ると、あちらの馬車みたいなのを引いていた生き物をナーラが物凄く愛でていた。
「あら~...」
「そうなりますよね...。ナーラ、もう出発するみたいよ」
「あ、すみません!ついつい...」
「大好きだもんね、ああいう生き物」
謝りながらこちらにナーラが来た。
ナーラは生き物、ほとんどの動物が大好きでよくサンマリーの城でも猫やら犬やら馬やらの世話を手伝ったりしていたぐらいだ。
「あっちでも許可さえもらえばできるんじゃない?」
「たぶんそこらへんは、うち緩いんで簡単に許可は出ると思いますよ。それにしても、あんなに可愛がってくれると嬉しいっすねえ」
「えっと...。それはなぜでしょうか?」
「あ、ヴァイルも俺らもまだ名のってなかったですよね?俺、ルークといいます。今、来てるなかじゃ一番若いです。向こうでは、あいつらの世話は俺の管轄なんですよ」
「そうでしたか。私はナーラといいます、動物が好きでしてついつい」
「ルークの言う通り、自己紹介がまだでしたね。俺はヴァイル、近衛騎士団の団長です」
「同じ近衛騎士団の副団長をしています、アレンといいます」
「先ほどはお見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ありませんでした。グイードと申します」
それぞれやっぱり個性があるな...。
ヴァイルさんは、騎士団長ということもありけっこういかついが大きな包容力みたいなのがあるんだと思う。
アレンさんは、飄々としてはいるけど副団長ということもありヴァイルさんの右腕らしく剣の腕はすごいらしい。
グイードさんは、苦労してるんだろうな。さっきのあちらの王様、グル様とのやり取りを見ただけだけどそんな感じがする。
ルークさんも、グル様と同じようにふざけだしてグイードさんに怒られるって感じなんだろうな。
「セリーナといいます。ベル様の筆頭女官をしております」
「レイアといいます。ベル様の女官を勤めています」
「同じく女官のルルといいます。よろしくお願いします」
「じゃ、自己紹介も終わったところで出発しましょうか。ナーラさんは、よければあれに乗ってみますか?」
「いいんですか!?」
ナーラすごく嬉しそうだな。ルークさんに言われたナーラは、目をキラキラさせていてルークさんに向けていた目線を私の方に向けて来た。
「ベル様、いかがしますか?」
「私は別に構わないわ、グル様よろしいでしょうか?」
「あ、ああ、構わない。ルーク、安全面には十分注意するように」
「はい!では行きましょうか」
「はい!」
ルークさんにエスコートされながら、ナーラはあの動物の方へ行った。
「皆さんは、中に行きましょうか」
そんなこんなでちゃんと出発出来てよかった。