セリーナ達の力3
「じゃあ、ナーラにしましょうか」
「私ですか?私も特にこれといって何かあるわけではないのですが...」
ナーラはそういうけど、私からしたらすごい力だと思うけどな...。
「ナーラはレイアと同じで貴族だけれど、それほどまで裕福とはいえない家の出よ。でも、ナーラの母親が私の母と仲がいいこともあって侍女として採用されたわ、ナーラは動物を使役できるの」
「動物を?どうりで、ゼイバルの馬車を引いてた奴らと仲良くなるの早いはずですね」
グイードさんが納得したように言った。
「それに、ナーラ自身動物好きだものね」
「はい、ずっと見ていられます」
「そんなに好きなんだな」
「えぇ、それに動物にも好かれるから相思相愛ね。ナーラを奥さんに迎えるなら、心の広い人でないと嫉妬で大変よ?」
「ベル様!それは余計です」
「あら、そう?」
ベル様の言葉に半分納得する部分はあるが、半分はまぁ旦那様になる人の努力次第だと思う。
ベル様の言葉に、真面目なナーラは顔を少し赤らめて文句を言っている。そんなところもかわいいから、ベル様によくからかわれているのだ。
「一つ質問をしても?」
「どうぞ、ヴァイスさん」
「使役、ということは動物たちと意思の疎通ができるということですか?」
「そうよ、余程の緊急事態でない限りわね」
「それは...緊急事態の時は意思疎通なしでも、動物たちを操れるということか?」
「えぇ、でもナーラは絶対にそれはしたくないと思っているわ。それは、動物たちの心を殺すことと同じだからと」
「そうですか」
ヴァイスさんは、深刻な顔をしていたがそれを聞いて安心したようだった。
ナーラの性格的にも、例えベル様の命令でもそれだけは絶対にしないだろう。ナーラは、一度決めたことは絶対に曲げないからなぁ~。
「サンマリーにいた時も、なにか育ててたんですか?」
「はい、サンマリーの城にはよく子リスが来ていたんですがその子たちの世話を任されていました」
「子リスですか」
「もう本当にかわいい子たちだったんですよ、たまにいたずらもしてましたけどそんなところもかわいかったんですー!」
「ナーラそこまでにしておきましょう」
大好きな動物の話で、少し興奮ぎみになってきたところでレイアに宥められていた。
ルークくんの質問一つでこんなにテンションが上がるぐらい、ナーラは動物が好きなのよね。
「さて、最後はルルね。ルルは、サンマリーの国境を守ってくれている辺境伯の娘で私の七歳の誕生日パーティーの時に襲われそうになった私を守ってくれたのが縁で、父が私の護衛兼侍女として城に仕えさせるように辺境伯に頼んでくれてね。辺境伯が、ルルが幼い頃から武術を仕込んでいてそのかいあってかルルは、辺境伯の子供たちの中でも一番武術で強くなっていたの」
「私のいえでは、自分の身は自分で守ることっていうのが家訓ですから...」
ルルがぼそっと言うと、ヴァイスさんたちは感心しているようだった。
「ゼイバルでは絶対にそんなこと言いませんけどね、女の人は大切に宝物のように扱えと言い聞かせられますから」
「それも大変そうですよね...」
ゼイバルの男の人たちも苦労してるんだろうなぁ。
「というわけで、ルルはこの中でも武闘派なんですよ。うちの騎士たちも、ルルには敵いませんから」
「それは凄い」
「いえいえ、そんなことは...」
「さて、こんなものかしら?あとは、まだ内緒ですわ」
「全部教えてくれてもいいですよ?」
ルークくんの言葉に、ベル様はくすくすと笑っているが話す気はないんだろうな。
私は時間を確認して、ベル様に声をかける。
「ベル様そろそろお開きにいたしましょうか」
「あら、もうこんな時間なのね。グル様、お付き合いいただきありがとうございました」
「いや、実に楽しい時間だった。また機会があれば招待してくれ」
「はい、ではお見送りいたします」
グル王を部屋の外まで見送り、部屋に戻った私たちは今日の講義を復習するというベル様にまたおかわりのお茶を淹れ、ベル様の邪魔にならないように私たちも仕事の続きを始めた。
タイトルを少し変更しました。
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