セリーナ達の力2
私はそんなに大層な者じゃないんだけどな...。
「それ以外にもあるけど、そんなに一気に教えてはあげないわ」
「それは気になるが、まぁ楽しみにとっておこう」
「次は、レイアにしましょうか。レイアは、サンマリー国でも力のある侯爵令嬢で知り合ったのはセリーナを引き取って一年経った頃かしら。学友は多い方がいいと父の紹介でね、力もセリーナや私には及ばないけれど強かったから、あと孤児院出身でまだまだ侮られやすかったセリーナのために侯爵位の令嬢がいれば大丈夫だと思ったの」
「でも、そのころにはセリーナは十分作法をマスターしていたし、なにより力強かったからそこまででもなかったですよ?」
「そうなの?」
聞かれた私は、思い返してみる。
まぁ、確かに働き始めた時は孤児院出身なのを物凄く言われてたみたいだけど、いたずらもされたしね。でもそれ...。
「セリーナ、いたずらされてたみたいだけどなぜかセリーナにいたずらするといたずらを仕掛けた人になぜかそれが返ってたとか...」
「やり返してたの?」
「やり返してたっていうか、あまりにも多かったんで自分に何か仕掛けたらそれがそのままその本人に戻るように自分に術をかけてただけです」
「さすがね、セリーナ」
そうなんだよね、あんまりにも多くて仕事を早く覚えたかったのにそれで仕事できないって言われたら腹立つし、だからといって真正面から言うと大変なことになるし...。で、結局そんなことをしないと仕事にならないっていうことで、術返しを調べてやったら予想以上にできたから今もそのまんまなんだよな。
「セリーナ嬢は、天才なんですね」
「そんなことはないですよ、ただ身を守ることに必死だっただけで」
「俺たちに魔術のことは分からんが、凄い術なのでは?」
「えぇ、術返しはだいたい中級なですし出来る人と出来ない人がいるくらいですし、相当な力を使いますからね」
「凄いんですねぇ」
「いえ、ただ力が人よりも多いから出来るっていうだけで...て、いつの間にか私のことになってるのですが」
「あぁ、そうだったわ。それから、ほとんどの毒の耐性を持ってるからさっきのように何か毒が入っていればすぐに分かるわ」
レイア以外の私を含めた三人も、毒の耐性は持っていてもレイアには全く適わないからな。
「あの」
「なんでしょうか?グイードさん」
「それって、レイア嬢たちの体には害はないんですか?」
グイードさんは、心配そうな顔でこちらを伺いながら聞いてきた。
それに、レイアが一口お茶を飲んで応えた。
「そうですねぇ、毒の量が致死量だったりそれなりに多いとめまいだったり熱が出たりする感じですけど」
「たぶん、私が飲んだら寝込むよね?」
「そうね」
ほんと凄いなぁ。寝込みもしないなんて。
案の定、ヴァイスさんたちは驚いた顔で固まってるしでもグル王はなぜか笑ってるし。
「っくく、あぁ、面白いなお前たち。退屈はしなさそうだし、心強い」
「そうでしょう、さ、レイアもこれぐらいにしておきましょうか。さて、次は...」
話が脱線してるけど、このままで本当に今日中に終わるのかな?
少し不安を抱えつつ、お茶のおかわりをそれぞれに注いでいった。