セリーナ達の力1
投稿ズレました。すみません。
「さて、犯人は捕まったが肝心の君たちの力についてまだ俺たちが知らないことがあるらしいが...」
「あら、またそのお話に戻りますか?」
「一応、ベルの夫になるわけだしな君が信頼している者たちのことは知っておきたいしな」
「なるほど、それもそうですわね。では、本当は実際に見ていただきたいのですがそれは叶わないようですので、口頭で説明いたしますね。ですがその前に、お茶を淹れなおしてくれるかしら?」
「かしこまりました」
私達は、さっきまでのことがまるでなかったかのように各自行動し始めた。
ナーラはお茶を淹れなおしに行き、他は軽い食べ物を用意することにした。さっき何も食べられなかったから、ベル様はそのことにも腹が立ってるんだろうなぁ。
それからすべての準備が終わったのは、だいたい四十分ぐらい経っていた。
「さて、じゃあヴァイスさんたちもお座りになってください。長くなりますからね」
「ですが」
「セリーナ達にも、準備が終わり次第座ってもらいますから。さ、どうぞ」
「はぁ」
ヴァイスさんたちは渋々席に着いている。私達も初耳だけど、座らないときっと座るまであの笑顔を向けられるんだろうな、それもそれで大変だしね。
準備が終わり、席に着くとさそっくベル様が話し始めた。
「サンマリー国の人たちは全て、大なり小なり何かしら力を持って産まれてくるのです。それは、髪の色であったり瞳の色に現れます。そして、サンマリーの城で働く者は一定の基準に満たなければ採用になりません。また、力が強ければ貴賤を問わないのも特徴です」
「貴賤を問わない?ならば、礼儀作法はどうなるんだ?」
「サンマリーは、全ての国民が最低限の知識を身に着けられるように城に上がる試験の前は学び舎へ通ってもらうようにしています。そこでは、力の強さによってクラスをわけその個人の力に合った指導をしています」
「それは、凄いですね」
「実際にセリーナは、幼い頃は孤児院で育っていますからね」
急に私のことを話さなくてもいいのに、ゼイバルの人たちは目を見開いていたりルークくんは”えーー!?”と声を上げて驚いている。
「では、このままセリーナのことから話しましょうか。セリーナは私がお父様と一緒に行った孤児院訪問で見つけたのです。その時は、私たちはまだ五歳だったかしら?」
「はい、そして力が強かったことと外見がベル様に似ていたこともあり、国王様より城で住み込みベル様の学友として、また、侍女として雇っていただきました」
「そう、それからセリーナにはもう一つ役目があるのです」
「もう一つ?」
ゼイバルの人たちは、不思議そうな顔をしていたがやがて何か思いついたのかまた目を見開いていた。
「まさか...」
「え?ヴァイス分かったのか?」
さすがヴァイスさん、それにグル国王もなんとなく察しているようだが眉間にシワを寄せ厳しい顔をしている。
「さすが、グル様とヴァイスさん。他の方は分からないかしら?セリーナは、その外見を生かしてもしもの時は私の身代わりになるために、父が孤児院から引き取りました」
「な!そんなの」
「もちろん、このことは孤児院から引き取られる際に父からセリーナに説明してるわ。それでも、セリーナは一緒に城に来てくれました。私がそれを知ったのは、社交界にデビューした日でしたその時に私はセリーナと姉妹の誓いを立てました」
「姉妹の、誓い」
「姉妹の誓いを立て、決して無茶なことはさせないししないというのを誓わせました。じゃないとセリーナはきっと無茶をするから」
「ベル様ほどではありません」
「そうかしら?」
そう、最初に国王様から話を聞いた時命にかけてもこの方を守ると誓っていた。もし、私が死んでもこの方さえ生きていたらいいと。
でも、泣きながらベル様から姉妹になってほしいと言われた時どんなに嬉しかったか...。そして、姉妹になったのだから命を絶対に粗末にするなと。
「あの時のベル様の迫力は凄かったですよ」
「もう忘れてちょうだい!」
「はぁ、でもまさかセリーナさんが貴族じゃなかったのがびっくりしましたよ」
「そうですか?」
私が不思議そうに言うと、”そうですよ”と返された。
「ですが、セリーナ様を身代わりにしなければいけないほど狙われていたんですか?」
まぁ、王族の中でもベル様は特別力が強かったからな。
「私は力が強かったから、狙われることが多かったんです」
「なるほど」
ゼイバルの人たちはそれで納得したようで良かった。
「じゃ、セリーナについてはここまでね」