本来の力2
「彼女たちも焦ってるんでしょ、より良い結婚相手を見つけるられるようにそれぞれの家から言われてるだろうし」
「確かに、レイアの言う通りそれはあるでしょうけど...。そんな卑怯な嫌がらせをするような人たちなら、望みは薄いわね」
そんな性格の人と結婚しようとする人はあまりいないだろうしね。
ゼイバルの出生率の低さは、このことも少なからず関係しているらしい。最近は、女性の性格がきつくなってきたこともあり、それをコントロールできる男性が少なくなっていることそして男性側の好みの問題もあるだろう。
「でもそれは、ゼイバルの男性側にも問題があるのでは?」
「ナーラさんの言う通りです。男性側が、女性に尽くしすぎているのも問題ですよね?」
「えぇ、でも今の状況でそれを分かっているのはあまりいないでしょうね」
「さて、そろそろちゃんと見てないとさすがにグル王様に分かってしまうのでは?」
そう、さっきから話に夢中で全くグル王様たちを見ていなかったのだ。それに気がついて、いつ言うか迷ってたんだけどやっと言えた。
「ま、いつかはあちらに話をしないといけないことだし、どうせなら実際に見てもらった方がいいのだけどね」
そう私たちの力については口で説明するより実際に見てもらった方が分かりやすい。
そこからはちゃんと訓練の様子を見て過ごした、その途中で何回かさっきの人達みたいな扉越しでの対応をしたりとけっこう楽しかった。
「マリーベル姫様、お迎えに来ました」
ヴァイスさんの声がして、一番扉に近かったルルが扉を開けた。
「退屈ではなかっただろうか?」
扉から一番に中に入って来たのはグル王様だった。
「あら、全然退屈なんてしませんでしたわ。私も国では、護身術として少しの間騎士たちに交じって訓練をしたりしてましたから」
「そうだったのか、それは驚いたな。今度、見せてくれ」
「お見せできるようなものでもありませんが、その時はお手柔らかにお願いしますね」
「あぁ、それとこのあとなんだが何か予定はあるか?」
グル王様の言葉を聞いて、私はベル様の今日の予定をざっと思い出す。
「午後からは王妃教育があります。だいたい二時間ほどですが」
「では、そのあとは何もないな」
「はい」
「分かった、ではその時間をもらおうか。ベル、午後のティータイムを一緒にどうだろう?」
「ぜひ、ではお茶の準備などはこちらでいたしますわね」
「あぁ、頼む。では、部屋まで送ろう」
「ありがとうございます、グル様」
そして、私たちはベル様の部屋まできっちりガードされつつ戻った。
部屋に戻ったあと、ベル様の昼食が終わったあとベル様を勉強が行われる部屋へ連れて行き、その場にルルを残して三人でティータイムの用意をすることにした。
「お茶は、こちらから持って来た物にしましょうか」
「そうね、それにお菓子もこちらの物とあと軽食も準備しておきましょうか?確か、グル王様は今もすでに執務に入られていて、あまり食事が出来ていないでしょうから」
「ベル様も仕事の鬼だと思っていたけど、グル王様もそうとうですね」
こちらに帰って来てから、グル王様は溜まった仕事の片付けに翻弄され忙殺されているとか。
夜遅くまでグル王様の執務室の明かりがついているのをたまに見かけるが、まさかこっちに帰って来てからずっとだったのだろうか?
「じゃあ、何かサンドイッチとかスコーンとかがいいですね。今から仕込み始めて、間に合いますか?」
「この前作った分の残りを置いてあるから大丈夫よ、間に合わなければ先にフルーツとかをお出ししておきましょう」
「じゃ、厨房へ行きましょうか」
私たちはお菓子を作るため、厨房に移動した。