ゼイバルの日々
「やっぱり、今夜中には仕掛けそうですよ」
「やはりか...」
「なんの話ですか?」
俺とアレンの会話に不思議そうに言ってきたのは、グイードだ。アレンには、セレーナ嬢たちを送っていくついでにその周囲も気を付けて見てきてほしいと言っていたのだ。
「セレーナ嬢たちの部屋に誰かしら仕掛けに行くはずだ、今日中にはな」
「確実だろうな、さっき送って行っただけでも何人かが張ってたしな」
「部屋の前か」
「あぁ、たぶんセレーナ嬢たちも気付いてるはずだけどなあれだけ殺気立ってればな。とっくに気付いてるはずだよ」
そんなにあいつらが切羽詰まってるとはな...。さて、どうするか...。
「さぁ、どうする」
「そんなの、決まってますよね」
「ルーク...」
「お姫様を守るのは、いつだって騎士の役目ですよ」
「そこは王子じゃないのか?」
「俺たちは騎士なんだから、騎士でいいんですよ」
「なるほどな」
うまく言い換えたな。
確かに、姫を守るのは騎士の役目だな。
「それじゃ、夜は姫の警護をしようか」
「そうこなくちゃ!!」
「あまり張り切りすぎるなよ、余計な仕事を増やしたら全部お前にやらせるからな」
「分かってますよ」
ルークはグイールの言葉に調子よく頷いていた。
「じゃあ、作戦会議といこうか」
アレンの一言で今夜の作戦会議が始まった。
時間は過ぎて...。
「さてさて、どこから来るかな?」
「楽しそうだな、アレン」
「まぁね、ルークがいい感じのことを言ってたからな」
「姫を守るのが、騎士の役目ってやつか?」
「そういうの、やる気も出てくるだろ?」
「そうか?」
ま、そういうもんなんだろうか?
今、俺たちは二人ずつに分かれてセリーナ嬢たちの部屋を守っている。が...。
「...ずいぶん甘いな」
「また訓練し直すか?」
「そうだな、明日から倍だな」
「そうしよう」
「忙しいな」
こんなに殺気駄々洩れのやつがゼイバルの騎士を名乗っているのは、まだまだ甘いやつか訓練不足なのかだ。しかし、訓練は厳しいと自負している。実際、騎士見習いになっても三日で辞めるやつもいるぐらいだしな。
それにしても、対象を見張っている時にこの殺気ではまったくなっていない。明日からの訓練メニューも考えておかなければ...。
「ヴァイル、訓練のこともいいけどこっちにも集中してくれるか?」
「分かっている」
「さぁ~、いつ動くかな?」
真夜中ということもあり、辺りは真っ暗で静まり返っている。
この部屋の周りにいるのは、5~6人か。皆、張り込みをなんだと思っているのか...。全く明日は説教からだな。
ルークたちの方もこんな感じだろうか?
「お、動きだしたよ。俺たちも行こうか」
「あぁ」
セリーナ嬢たちの部屋のドアのところには、その奴らが集まりカギを開けようとガチャガチャやっている。
そんなことを、実際にやるとやられるぞ。
「はぁ~...」
「ヴァイル」