到着2
「いい人たちばかりで良かったですね」
「本当にね、しかも人狼の女の人たちがあんなに強いなんて驚きでしたね」
この城に着いてからすぐに、ベル様に早く馴染たかったため今日の夕食から給仕をしたいと言ったら、グル王に言ってくれて許可がおりた。
その後、この城でのことを教えてくれたのはこの城で働く数少ない女の人だった。その人が凄くエネルギッシュな人で、とても頼もしい人だった。
女性が少なくなっているって言われてたから、てっきり女性そのものが弱ってきているとばかり思っていた。
「でも、本当に頼もしいですよね」
「そうね、男性が多いのはしょうがないけど...。あんなに視線を感じると仕事がやりにくいですね」
確かに、行くとこ行くとこ男性ばかりでその度に視線を感じながらとなると、やりにくいのは当たり前だ。
「でもまぁ、そう長くは続かないでしょうけど」
「レイアの言うとおりね、今夜か明日か分からないけれどそう長くは続かないわ」
レイアと私の言葉に、ナーラとルルも静かに頷いた。
私たちが普通の何の力もない女だったら、私たちにも警備が付いたはずだが私たちには付いていない。
これは、私たちのあの力を知ったグル王の指示だろう。誰も付いていなければ、襲いほうだいだろうから何も知らない人狼たちは襲いにくるだろうしね、遅かれ早かれ。
「その時は迎え撃つしかないわね」
「私たちは何も言われてはいないから、何をしても問題はないしね」
レイアの言う通り、私たちはグル王から何も言われてないし禁止もされていないからなにをしてもグル王は問題にはしないだろう。問題にしたとしても、あまり相手にされないだろうからね。
「さてと、私はヴァイルさんたちのとこに行ってくる。明日の打ち合わせがあるし」
「なら私も行くわ、いくらなんでも一人で行動するのは不用心だわ」
「じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「気をつけてくださいね」
ナーラとルルに見送られ、部屋から出た。
ヴァイルさんはグル王の執務室にいるということで、そちらに行くと部屋に入れてもらった。
「私たち入って良かったんですか?」
「大丈夫ですよ、あなた方が卑怯なことをしないことはここに来るまでの道のりで分かってますからね」
「まぁ、それは嬉しいですね」
「では、あまり遅くなってもいけませんからすぐに済ませましょうか」
少し失礼にならないようにグル王の机を見たけど、書類が凄く積み上げられていてこれから徹夜をするだろうことは容易に予測できた。
「明日は、朝一でグル様の父君である前国王と母君である前王妃にご挨拶していただきます。その後、朝食の後に式の時に着るお召し物を作ることになっております。お忙しくなりますが、よろしくお願いいたします」
「かしこまりました。ではベル様にもそうお伝えいたします。お仕事中に失礼いたしました」
「いえいえ、なんのおもてなしもできませんで」
「いえ、ではまた明日。失礼いたします」
「お部屋までお送りいたします」
「ありがとうございます、アレンさん」
アレンさんに送ってもらい、安全に部屋に帰ったあとベル様に報告をして明日の朝の準備をしたあと私たちも眠りについた。
そしてその夜、私たちが襲われることはなかった。