結婚式
ルドとの結婚式を行うことにした。……付き合い出してすぐに結婚式とかはやくね? と思うが、ルドが私とはやく結婚したいと言ってくれたのだ。私もルドのものになりたい、ってそんな気持ちがあったから頷いた。
「……こ、こんなドレス恥ずかしいんだが。結婚式っていっても騎士服とかでいいんだけど」
「こういう時ぐらい、女らしい服装しろ」
……結婚式っていっても正直言ってひらひらしたドレスとか恥ずかしいし、私とルドの結婚式だから騎士服でいいんじゃないかって思ったけどルドにそう言われた。二人っきりの時に、「ドレス来たトーカを見たい」って言われたから恥ずかしいけど、ドレスを着ることにした。
聖女の恰好をさせられた時も恥ずかしかったが、ドレスもドレスで柄じゃなくて恥ずかしい。まぁ、私も女だからいざ、試着とかすると楽しくなったりしたけど。
……同僚たちにはからかわれるかもしれないけれど、まぁ、それでもルドが喜んでくれるならいいかなって思った。私はこの世界の人間ではないから、地球の両親にも友達にも結婚式を見せられないことは残念だけど、それでもこの世界での第二の母のような師匠や頼もしい仲間たちが見守ってくれる結婚式が出来る子とは良いことかもしれないと思った。
そんなことを考えながら、結婚式の準備にあけくれた。
バタバタしたけれど、こういう幸せな忙しさは良いことだと思う。
で、いざ、結婚式の日。
私は白いウエディングドレス――どこか地球のものと似ているのは、聖女がこの世界に召喚されることのあるかららしい――を着ている。とはいえ、動きやすい方がいいって我儘いって、機動性も持ち合わせたドレスになったけれどさ。
「……綺麗だ」
「……っ」
いつも素直にならないルドが、私のドレス姿を見てそう言ってくれた。私はそのことが嬉しかった。というか、ルドがこんな風に素直に言ってくれることってなかなかないし。恥ずかしいけど、こう嬉しいというか……。むず痒い気持ちになる。
思わず下を向いて、何を言っていいか分からなくなる。
「照れてんのか?」
「……悪いかよ!!」
「悪くねぇよ。……本当、可愛いな、お前」
「なっ……ルド、急になんだよ。いつもそんなこと言わないくせにっ」
「いつも思ってんだよ。……今日は結婚式だからな」
「……お、お前もかっこいいし!! いつも私も思ってるし!!」
言われっぱなしも何だか嫌だと、私も言い返したけれど本当恥ずかしいとしか言いようがない。なんだろう、周りの温かい目が、こっぱずかしい。
ルドとそんな会話をしたあと、神父のところにいって誓いの言葉を言い合った。
私とルドは騎士だから、
「――この剣にかけて、俺はトーカの傍に居続けることを誓う」
「――この剣にかけて、私はルドバードの傍に居続けることを誓う」
互いに自分の剣を出して、誓い合った。
うん、流石異世界というべきか、結婚式ではそれぞれによって何に誓いをかけるか違うのだ。大体が神様に誓うことが多いんだけど、騎士とか戦う職業だと職業に関連するものに誓ったりする。
教会に武器持ってきていいのかって日本人感覚だと思うかもだけど、普通に剣も持ち込みしている。同僚たちも武器も持ってるしな。
それで剣を持って誓い合った。
他の誓い方も考えたけどさ、やっぱり私とルドだとこれだろ? としか思えなかったから。
結婚式が終わったあとは、簡単に立食パーティーをした。教会の近くの建物を借りてやったそれでは、私もルドも囲まれた。
皆におめでとう、と口にされるのは嬉しかった。
――地球にいる両親や友達に、私は幸せに過ごしていると心の中でつぶやく。きっと行方不明になった私のことを心配しているだろう。
だけど、私の事は何も心配しなくていいよ。ちゃんと異世界で幸せになっているから。ちゃんと、生きているから。伝えられたらいいのに、そう思うけれどそれは出来ないから心の中で私は告げるのだった。
「――どうした、トーカ」
「なんでもないよ」
私にはルドがいる。そして師匠がいる。仲間もいる。
――だから、私は幸せだ。




