プラス1人増えての移動
マイケルのことは、王子たちは認めないと言った態度だったけれども受け入れてくれて本当に良かった。馬車では、マイケルは御者の隣に腰かけての移動になった。
一緒についてくることにはなったものの、王子たちからしてみれば聖女と言う存在についてきてほしくはない存在なのだろう。
マイケルを仲間に加えて、私たちは次の街へと向かっている。馬車に揺られての移動の中で、私は王子たちと会話を交わしながらもマイケルのことを考えていた。
なぜか知っているような感覚を感じる不思議な男。
どうしてそんな感覚になるのか。何故、聖女についていくことを望んだのか。そのあたりを知ることが出来れば何か分かる気がするから。
「――あの男はやはり怪しいよ、聖女」
「そうかもしれません。でもそうだったとしても、私はあの方の瘴気をどうにしたいという気持ちを尊重したいのです」
私はそう言いながらも、心の中では彼のことを怪しいとは思っている。
それにしても私は結局のところ、王子たちのことを信用することなど出来ない。信用など一切せずに、自分のことを知る機会を探している。
どうしてここまで私は彼らのことを信頼出来ないのか。これだけ疑っているのか。そのあたりも私のことを知っていくことが出来れば把握していくことが出来るのだろうか。
マイケルとも機会を見つけて二人でしゃべってみたいと思う。王子たちとはまた違った目線で聖女のことを見ているように思えるから。
「――そういえば、あの気になったことを聞いてもいいですか?」
騎士団長は隣国の噂を否定した。彼らは隣国のことを一同に悪く言った。行ったこともない隣国のことを私は逆に気になっている。
「隣国って、そんなに悪いところなのですか?」
きっと悪い、と彼らは肯定するだろうと確信しながら聞いた言葉だった。事実、王子たちは何が楽しいのか、隣国に関することをペラペラとしゃべった。
曰く、悪魔に魂を売った国だと。
曰く、この国にとって害にしかならないと。
ただ、悔しそうに戦争に負けたらしいといった事が感じられることを言っていたので、ただ単に戦争で勝つことが出来なかったために悔し紛れにそういう悪いことを言っているのかもしれないと思った。
結局のところ、正義とか悪とか、そういうのは見方によって変わってくるのだ。今は停戦をしているらしいが、戦争をしていたというのならば隣国にとってはこの王国が悪に見えるかもしれない。
戦争のきっかけも、どういういきさつがあったかも私は知らないから何とも言えないが。
それにしても戦争で分が悪いということになり、和平交渉をしたようなので、こちらの国が下に出なければならないと思うのだが……、王族などが此処まで隣国を悪く言うなんてまた戦争が始まった時に勝てる自信でも彼らにはあるのだろうか。
それとも単に馬鹿で、考えなしにそんな言葉を口にしているのだろうか。戦争をするにしても私のことを巻き込まないでほしいと思う。ただ、私が聖女という立場でこの国に居るのならば否応なしに巻き込まれるだろう。やはり、何処かのタイミングでこの国から離れたいと思った。
王子達が隣国を悪いように私に語るのは、きっと隣国のことを嫌ってほしいと望んでいるのだろう。そこまでして私と言う聖女に隣国を好きになってもらいたくないということは、もしかしたら何か理由があるのだろうか。
情報が足らな過ぎて、結論が出せない。
何も理由がなくて、王子たちがただたんに隣国のことを嫌いだって可能性もあるけれど……。
どっちなんだろうか。
話を聞く中で、少しずつ情報を整理していっているけれどまだまだ私が一人で飛び出すには情報が足りなすぎる。
やはり、鍵はマイケルだろうか。
出来ればもっと違う考えを持つ人を仲間に引き入れたいと思っている。でも、流石に何人も人を増やそうとするのは王子達が許さないだろう。私たちより多い人数の加入者がいればそれだけ統制は取れなくなるし、流石に聖女のお願いとはいえ、認められないと思う。
マイケルは何処出身なのかも語っていない。
隣国に行ったことがあるというのならば隣国のことも教えてもらいたい。王子達は隣国を悪くしか言わないが、彼は何というだろうか。
隣国で浄化が行われたと街で語っていた人がいたが、そのことに対してもどう思っているのか。
そのあたりも、王子達以外の人間に、もっと客観的に見てくれる人間に問いかけたかった。
王子たちは結局のところ、国の利害のために動いている。同じ考えを持った同じ集団だ。だからこそ、別の視点が必要だ。
どうにかして、マイケルと二人で話すのが今後の目標になりそうだと私は考えた。
だけど、移動中の間ずっと考えてもどうやってマイケルと二人きりになればいいのか分からなかった。
そうしているうちに次の目的地にたどり着いた。




