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リデル・ロイヤーの冒険日記  作者: 溶融 太郎
1/1

ミノタウロス討伐編

西暦2245年、地底より魔王軍が襲来した。魔王軍の力は強力で、各国は手を取り合い連合軍としてこれに対抗した。永きに渡る戦争は拮抗を保っていたが、次第に連合軍が圧され始めた。各国は高い賃金を支払い志願兵を募った。リデル・ロイヤーもまた、志願した傭兵の一人である。


ここはライダル王国の田舎町アルデンハイド。剣士リデルはいつもの様に、仕事に向かっていた。

「あー何かいい事ないかなー。」

とトラックの荷台で欠伸をするのは、傭兵仲間のシーフ。名はカインである。カインは男性で、知り合って2ヶ月になる。

「なあ、リデル、そろそろこの生活に飽きてこないか?どうせ、今日も見回りだよ。」

そう言って、また欠伸をした。1年契約で複数に渡り、賃金をもらって生活する。リデルはもうこの傭兵生活を何年もしていた。もちろん命懸けの仕事なので相応の待遇であり、仕事が無くなる心配は、先ず無い。生まれた時から魔王軍との戦争は日常であり、皆、戦争に役立つジョブに就くか、武器防具道具屋になるか、王国の騎士になるか、大体そんな選択肢だ。

「着いたぞ。」

リデルとカインは荷台から降り。整列した。

「今日はここいら一帯で、モンスターを掃討するからな。皆、ケガのない様に。」

隊長である白髪の老騎士が点呼を取り解散させる。リデルとカインも点呼を終えた。

「やれやれ、じゃ、おっ始めますかね。」

カインは背筋を伸ばして見回りを始めた。リデルもそれに続く。野良モンスターは駆除しておかないと、ケガをしてしまう人が出てしまう。見回りもまた、傭兵の仕事だった。

「おいリデル、いたぞ。」

カインがゴブリンを見つけた。

「お先!」

カインは真っ先にゴブリンを斬り付けた。シーフは素早い攻撃が得意だ。ひるんだ隙にリデルがトドメを刺す。

「ガアアア・・・」

ゴブリンを倒した。この攻撃の流れが今の2人の必勝パターンだ。

「大した物だな・・・」

隊長である老騎士は2人に話かけてきた。

「2人ともこの辺の戦闘には、大分慣れてきた様だな。どうだ?王都への兵に志願してみんか?前線はいつも人手不足だ。紹介状を出そう。」

隊長は2人の力を認めてくれた様だ。

「やります!!」

リデルが考える前にカインが即答してしまった。が、リデルはどちらでも良かった。

「そうか!では、明日の警備を最後に、王都に向かってくれ!やはり、若いもんは王都にいた方が良かろうて!」

隊長は少し嬉しそうだ。

「それとな。もう一人、王都に志願する者がいる。女戦士だ。共に王都に向かってくれ。明日紹介する。では・・・」

隊長は基地へと戻った。

「おい!リデル!聞いたか!」

リデルはカインを見て頷いた。

「女戦士だぞ!!」

えっ!そっち!?リデルは不意をつかれた。

「今時の女戦士と言えば、露出高くて肌とか柔らかそうでキリッとしてて・・・・こうしちゃおれん!リデル!俺は今から防具屋へ行って一張羅を仕立ててくる!」

そう言うとカインはピュンと消え去った。リデルはポカンと口を開けていた・・・・


翌日。

「よぅ!!」

と、颯爽と風を切って登場したのは、カインだった。黄金に輝く全身タイプの鎧を着こんでいた。

見合いでもするつもりか?というか、こいつ、シーフだよな?リデルは目を疑った。無理やりにでも装備しているのだろう、カインの足はガクガクと悲鳴を上げていた。そこへ、隊長がやって来た。

「おっ!カイン!気合い入ってるな!」

と元気よく挨拶を交わす。しかし、隊長の隣にいるのは、お孫さんだろうか?小さな女の子がいた。

なぜ、隊長は見回りにお孫さんを連れて来たのだろうか?リデルが不思議に思っていると、

「昨日話した、王都への志願兵だ。」

なんて事を言い出した。リデルは隊長が酔っぱらっているのかと、顔色を確認した。

「コレェ!?コレェ!?」

カインは2回言った。

「コレとは失礼なのです。ミディは立派な、お戦士なのです。」

ミディは少し、プンとした。

そのお戦士は、可愛らしい花柄の鉄の槌を背中に携え、フリフリの戦闘服を装備していた。プクッとしたホッペが印象的な、内股の女の子だ。リデルもカインも絶句した。


ミディを加えて、見回りが始まる。隊長とミディは、先頭を歩いていた。どう見ても、お爺さんとその孫だ。カインは、やる気を無くしたのか、いつもの装備に戻っていた。この状況は、アレか?最近、巷で流行っている、ドッキリさんこんにちは。というやつか?リデルはカメラを探したが、どこにも無かった。

「あのガキ、ゼッテー許さねえ。あの金色の鎧、いくらしたと思ってんだ・・・」

カインは、明らかな逆恨みをミディに向けた。その時だった。

「おテキさん。発見なのです。」

ミディは、花柄の槌をヒョイと振り降ろした。

「ドォガアアアアン!!!」

地響きを上げて、地面が深く陥没した。そこには、ゴブリン3匹が粉々になっていた。

ミディはニコリと笑顔になり、リデルに走り寄った。

「ヒイイイイイッ!!!」

カインは明らかに恐怖し、リデルの後ろに隠れた。

「これからよろしくなのです!」

ミディは嬉しそうに言った。リデルもカインも、また絶句した。



旅立ちの朝、隊長や仲間達に見送られ、3人は王都を目指した。空は眩しく包み込み、草木は一行に手を振っている。草原は清々しく、風が吹き抜けた。

「いやあ、王都へ行くのは初めてなんだよ。俺!」

カインは意気揚々と歩いている。リデルも王都は遠巻きに見ている位のものだった。

「ミディは、昔、王都に住んでたよ!」

ミディは元気よく答えた。

「昔~?ミディ、お前、今何歳なんだ?」

とカインは尋ねた。リデルも気になる所だった。

「ミディは今、24歳なの。」

「ええええええっ!!」

何とミディは2人よりも年上だった。2人とも愕然とした。リデルとカインは、22歳である。

「カインなんか、ミディに比べたらケツの青いボーヤなの。」

ミディは、ふふんと笑った。

「はああああん?何言ってやがんだこのお子様は。乳離れは出来てんのかぁ?」

カインはカインで大人気ない。

「ンムムムムムムッ!フン!」

ミディとカインはある意味、仲が良さそうだ。

一行が足を進めると、そこに洞窟が現れた。中は割と広そうだ。人工的な手入れも行き届いている。

「隊長が言っていた洞窟だな。洞窟の先に、リノベという街がある。今日はそこで宿を取ろう。」

カインはそう言って洞窟の中を見回した。洞窟の内部はひんやりとしていて静かに佇んでいた。

洞窟というよりは人工的なトンネルで、一本に真っすぐ続く道筋は、旅人の為に整備されていた。

「向こうに扉があるな、よし行こう。」

その扉は開かなかった。扉の前には仕掛けがあり、一行の行く手を阻む。その仕掛けの石板には、

「天空の神を崇めてならへ。汝等の標に祝福を。」

と、記してある。8枚のパネルのブロックをそれぞれ押す事のできる仕組みだ。

「ここは、このカイン様の出番だな。」

カインは何やら考え込んでいる。シーフとは、謎解き、罠の解除、古代文字の解読、簡単な鍵の開錠、人が入り込めない場所への到達、未開の遺跡の調査、文化財や希少動物の保護など、その能力は多岐に渡る。

基本的には盗賊ではない。シーフもまた、パーティーには欠かせない重要なジョブの1つだ。

「判った。これで良し。」

「ズゴゴゴゴゴ」

扉が音を立てて開いた。

「天空の神とは、お日さんの事だ。東から西へポンポンとな。ま、知能の無いモンスター除けの仕掛けといった所だな。」

カインには朝飯前、といった所だろう。

「カイン凄いね!ミディには分かんなかった!」

ミディは目をキラキラさせた。

「ハハハーン?お戦士様の知能はモンスター並みなのかなー??こりゃ、ミディはこんな序盤でゲームオーバーってやつだ!」

カインは高らかに鼻を鳴らした。

「なっ!カインのバカ!非力男!」

ミディはプンプンした。

「ンムムムムムムッ!フンッ!」

リデルは鼻でため息をついた。



洞窟を抜けると、眩しい光が目を突いた。目が慣れると街が見えた。リノベだ。一行はリノベに足を踏み入れた。子供たちが走り回る平和な街だ。街の中央には公園もあり、いろんな店や宿屋、酒場もある。

生活するには一通り不便もなさそうだ。

「こんにちは。リノベの街にようこそ!」

この門番も傭兵だろうか?少し太って平和ボケしてそうだが、悪い事ではない。一行は挨拶を済ませ宿屋へと向かった。

「いらっしゃいませー。3名様で30チルになります。」

30チルを支払い荷物を置く。ミディは疲れたのだろう、すぐに休むと言った。

「俺たちは酒場へ行くか。」

2人は酒場へと向かった。

「カランカラン」

久しぶりに聞く酒場の扉を開く音に、2人はやっと緊張が解けた。

「いらっしゃい。なんにする?」

2人はマスターにビールとウイスキーを注文した。

「なあ、マスター、ここからライダリア王都へは、遠いのかい?」

カインはウイスキーをカランと鳴らしながら聞いた。

「王都?王都へは、ズール山を越えないと行けないよ。ズール山は北の方角だ。」

マスターは快く答えてくれた。

「山越えか・・・」

2人は宿屋へ戻り、旅の疲れを癒した。


翌朝、朝食を済ませ、3人は北へと向かう。眼前にはズール山が広がる。険しそうだ。

「この山を越えれば、王都だ」

カインは、ハイキング気取りで登っていく。鼻歌混じりだ。山の頂上辺りで草陰から物音がした。

モンスター達が現れた!ゴブリン、ウルフ、バイパーの3匹だ!

「毎度!」

カインは、バイパーを攻撃した!

「ハッ!」

リデルは、ウルフを攻撃した!

「ヤアアアア!」

ミディは、力をため、全体攻撃を放った!鉄の槌が辺りを踏み潰す!


モンスター達をやっつけた!


「私たちのチームワークは完璧なの!」

ミディがピョンと跳ねた。

「いや!ちょっと待ってくれ!」

カインが足を抑えている。どうやら今の戦闘で、バイパーに足を咬まれ、毒を受けたらしい。カインは、道具袋を拡げた。

「・・・・無い・・・・無いぞ!毒消しが無い!」

カインの顔が真っ青になった。

「ミディ!今朝、道具屋にお使い頼んだよな?なんで毒消し草が無いんだ!」

カインが焦り始めた。

「だって、毒消し草、不味いんだもん!」

ミディはあっけらかんと答えた。

「やばいやばいやばい・・・こんな頂上で・・・・ミディ!俺の足の毒を吸い出してくれ!」

毒が回り始めたのか、カインは立っていられない様だ。

「ヤなの!カインの足、臭そうなの!」

ミディはプンとした。これは流石にマズイと思い、リデルはカインの足に顔を近づけた。

「やめろ!リデル!男に口づけされるなど、死んだ方がマシだ!!」

カインは激しく拒絶した。

「あ・・・あ・・・俺には、まだやらねばならん事が山程・・・・TUYATUYAにHなディスクをまだ返して

無いし、他には・・・他には・・・・・」

他には無い様だ。

「あ・・・・」

カインの目が白くなり始めた。その時、ふわりと良い香りがした。

「大丈夫ですか?」

突然現れたその女性は、カインの足に手をかざした。右手でカインの足から黒い物を引きずり出し、左手で輝いた物をカインの体の中に入れた。

「これでもう大丈夫です。毒は抜いておきました。回復もしておきました。私はヒーラーです。」

カインの顔が生気を取り戻した。

「山道は危険です。これをどうぞ・・・・」

その女性は、毒消し草を3つ分けてくれた。長い髪は美しく、凛とした小さな顔立ちに、ヒーラー特有の白い衣が上品さを漂わせていた。

「では、私はこれで・・・・」

「待ってくれ!!」

立ち上がったカインが女性を呼び止めた。

「この・・・このお礼は・・・・体で払うしかー!!!」

事もあろうにカインはその女性に飛びかかろうとした。その瞬間、カインのすぐ横を光の束が突き抜けた。

カインの防具は消し飛んだ。

「私、攻撃魔法も使えるの♡」

その女性は、優しく微笑んだ。

「あ・・・・・う」

カインは、どっちにしても気絶した・・・・



一行は王都へと向かっていた。

「まったく!カインは変態なの!鎖で繋いでおかないといけないの!」

一方的にカインを悪者にするミディは、花柄の槌でカインの頭をコツコツと叩いていた。

「よーリデルよー。さっきの女、良い女だったなー。王都の方に向かったんだよな?また、会えるかなー?」

ミディの槌の音が、ゴンゴンと音を変えた。

「いてーんだよ!この腐れ戦士!お子様が一丁前にやきもちかぁ!?」

「変態変態変態!!」

ミディとカインは顔を近づけていがみ合う。

「はっ!まさか!ミディの事も、やらしい目で・・・」

ミディは後ずさりした。

「んなわけねーだろ!!誰がミディをそんな目で見るんだよ!!」

カインは大声を出した。

「ヤ!ヤなの!あの目、キモイの!」

ミディは胸を隠した。

いつの間にか王都に近づくにつれ、周りに人が増え始めた。そこには、小さな少女と大声で痴話げんかをするカインの姿があった。カインの大声により、足を止めた人々が、周囲に人だかりを作ってしまった。

「君、ちょっと話を・・・・」

騒ぎと通報を聞きつけた王都の近衛兵が武器を携えてやって来てしまった。

「こ・・・これは・・・」

さらに悪い事に、カインは先程の戦闘と毒の出血、吹き飛ばされた防具で、極めて怪しい人物に見えた。

カインは手を挙げた。というか、頭を抱えた・・・・リデルは、事情を説明するのに夜更けまで掛かった。




「まったく!自業自得なの!」

カインの首に鎖を繋いだミディは、その鎖でカインをペチペチしていた。

もはや、ミディに手も足も出ないカインは深くうなだれていた。3人はまだ王都へは着いていない。

道中の近衛兵宿舎で足止めを喰らっていた。

「明日は、先ずは王都でカインの装備を整えよう。それから傭兵の登録に行こう。」

リデルは皆にそう伝えた。その夜は、宿舎で過ごした。


「チチチ・・・」

小鳥のさえずりと共に3人は朝を迎えた。いつの間にか近衛兵達と、ミディが仲良くなった為か、朝食まで用意してくれた。

「ププププ・・・もう来るなよ・・・」

失笑する近衛兵に

「兵隊さん、ありがとう!」

と、ミディは手を振った。

「け、何がありがとうだよ・・・」

カインはブツブツ言っていた。カインの首とミディの手は鎖で繋がれたままだ。通行人は鎖を見ているが、カインはもう何が起きても平気になったのかもしれない。逆だと、とんでもない事になるが。

一行は、王都の巨大な正門の前に着いた。

「待たれよ。」

2人の門番に、傭兵の身分証を差し出す。

「フム。傭兵が2人と、・・・・その犬?」

「そうなの!」

「そうなのじゃねーよ!俺だって傭兵だよ!ミディ!この鎖、いい加減外せよー!!」

ミディは少し面白く無さそうに鎖を外した。

「良し、通ってもいいぞ。」

王都の正門をくぐると、そこは楽園の様な景色だった。高くそびえ立つ美しい城と、城の足元から流れ落ちる滝、城の周囲には整った木々が緑を彩り、城下町にはオレンジ色に統一された建物の屋根達。道筋には、馬車や音楽隊が見るものを楽しませた。

「・・・・すげえ・・・・すげえ!!!!」

カインは目を輝かせてあちこちを見ていた。

「あらあら、カインはイモねー。」

さすがに王都に住んでいた事があるミディだ。ミディはその辺のベンチに腰掛けて足を組んだ。まるで貴婦人の様だ。

「カインー、防具屋に行きますわよー。」

貴婦人気取りのミディはカインの手を引き防具屋へ案内する。カインは手を引かれながらも、まだあちこち見ていた。一行は防具屋へとたどり着いた。防具屋の入り口は輝く様な装飾が施され、ミディ抜きには入れない様な雰囲気があった。

「ここは・・・王族の別荘か!?」

入り口で固まっているカインの手を引き、ミディが店に入る。

「お登りさんご案内~なの。」

店の中に入ると、眩いばかりに展示された、鎧や兜が一行を迎えた。

「ここは・・・博物館か!?」

いちいち驚くカインに飽きてきたのか、

「もう!カイン早くして欲しいの!」

ミディは買い物を催促した。

「あ、ああ。待ってくれ。手を・・・手を清めないと!」

カインはトイレに駆け込んだ。

「もー、カインったら・・・恥ずかしくて隣、歩けないの!」

歳相応の発言をするミディ。

「・・・・お待たせ。」

カインが戻って来た。

「カイン!どうしたの!?頭と顔がビショビショなの!」

「ああ・・・これは夢じゃないかと・・・」

カインはどうやら混乱している様だ。

「もーカイン。はい、顔フキフキして。」

カインの顔をフキフキしているミディは、今度はお母さんの様だ。

「あら、カインこれいいわよ。この新聞紙、体に装備したら似合いますわよ。」

流暢な貴婦人語で面白がるミディ。

「あ、ああ・・そうだな・・・賢さが上がるかもしれない・・・」

カインは目を回している。

リデルは、この辺でミディのおふざけを止め、買い物を済ませた。カインは、鉄製の胸当てを装備した。



「いやー、一時は足元が見えなかったぜ!」

ようやく落ち着きを取り戻したカインは、新しい装備にご満悦。一行は兵舎に着いた。

「失礼します!紹介を頂き参りました!」

ここは何となく見慣れた空気の為、カインはホッとした。

「話は聞いているぞ。入りたまえ。」

ここの兵長だろう。一人だけ異なる、立派な鎧を着た兵が通してくれた。

「よく志願してくれた。これより王国は、グレゴル奪還作戦を遂行する。」

兵長は地図を拡げた。

「このライダリア王国の北に、モンスターに占領された街がある。グレゴルという街だ。我々はグレゴルを開放し、奪還する。北に行くほどモンスターは強くなる。心されよ。」

兵舎の空気が張り詰めた。

「西側は関所があり通行出来ない。行っても仕方ないぞ。明日、朝10時に作戦は遂行される。王国軍は9時から進軍を開始するが、君たち傭兵部隊は現地に集まってくれ。王国の北側に裏門がある。そこから戦場に向かうと良い。期待しているぞ。」

兵長は地図をしまった。その時だった。

「失礼します。」

長い髪の女性が入って来た。

「あ!」

「あら。」

そこにいたのは、ズール山でカインを助けてくれた、白い衣のヒーラーだった。

「あの時は助かったの!本当にありがとうなの。」

「ふふ・・どういたしまして。」

女性は笑顔を返した。

「何だ君達、面識があるのか?彼女は昨日、登録したばかりのヒーラーだ。明日の作戦にも参加するぞ。

では、私はこれで。」

兵長は立ち去った。

「初めまして・・・かな?私は、ルディアといいます。明日はどうぞよろしく。」

ルディアの笑顔が光る。

「よろしくなの!私はミディ、こっちがリデル、こっちが・・・」

カインがミディを遮った。

「またお会いできて光栄です・・・僕はカイン・・・ルディア、美しい貴方に戦場は似合わない・・・僕が貴方のナイトになってお守りします。このナイト、男、カインが貴方の盾になる・・・」

カインはキメ顔をルディアに向けたが、ミディがゲシゲシとカインの足を踏みつけた。

「ありがとう。でも、行動には気を付けてね?」

ルディアは笑顔だったが、「キィィィィン」と、その右手に光の魔力を集めてカインを牽制した。

「・・・・・・」

カインは沈黙した。

「では、また明日。」

ルディアは立ち去った。




「よーリデルー。あの女、堅物だぜー?ありゃ、無理だなー。」

カインは残念そうだ。

「フラレ虫ー。」

ミディは嬉しそうだ。

「まっ、しゃーないか・・・明日の戦、どうする?道を間違えても困るしな。戦場付近でテントでも張るか?」

カインが提案する。

「わーい!キャンプだー!」

ミディが飛び跳ねる。リデルはその提案に頷いた。

一行は買い物を済ませた。道具袋も確認した。太陽もまだ頂きにある。兵長が言った様に北の裏門へ向かった。そこにはポツンとイスに座っている門番がいた。

「戦場付近でキャンプを張りたい。通して欲しい。」

門番は立ち上がった。

「何だあ?ど田舎の傭兵の集まりかあ?ダメだな、足を引っ張るだけだ!カギはここにあるが、開けてほしけりゃ献上物でも持ってくるんだな!!おっと!俺はもう交代の時間だ。ガッハッハ!」

その門番は腰からカギをぶら下げている。

「な!何言ってるの!こんな時は協力しないといけないの!」

ミディは憤る。

「お前ら傭兵の出る幕なんざねーんだよ!王都の兵だけで充分なのによ!目障りなんだよ!」

イチベツをくれて、門番は立ち去った。

「何あれ!許せないの!!」

ミディは足をジタバタした。

「くくく・・」

カインが笑い始めた。リデルとミディはカインを見た。

「くくく・・・これだからシーフはやめられねえ!」

なんとカインはあの門番が腰からぶら下げていたカギをかすめ取っていた!カインは裏門を開け、カギを投げ捨てた!

「カインすごーい!」

ミディはキラキラとカインを見た。

「だろ?俺様の弱点はカワイ子ちゃんだけよ。」

一行はさらに北上を続ける。遠くに街が見えた。グレゴルの街だ。モンスターに占領されたと聞いたせいか、異様な雰囲気を醸し出していた。

「良し、この辺にテントを張ろう。」

リデル達はテントを張った。さらに、結界を展開した。モンスターからはリデル達の姿は見えなくなった。

「こういう時はカレーを作るの!」

3人はカレーを作り始めた。本当に楽しかった。皆で過ごす時がこれで最後にならない様にと、3人共思っていたが、誰も口には出さなかった。・・・・太陽は隠れ、月が夜を照らしていた。

「ミディの奴は、もう寝たぞ。」

カインはリデルにそう伝えた。

「少し、話さないか?」

リデルは頷いた。




パチパチと煙を上げる焚き火を見ながら、リデルとカインは語っていた。結界の外ではモンスターがウロウロしている。

「あのモンスター達も、色々考えたりするのかな・・・」

そう言いながらカインは焚き火に木を入れる。

「なあ、リデル。お前はこれから、どうしようと思っているんだ?このままずっと傭兵を続けるのか?」

リデルは静かに聞いている。

「俺は最近よく思うんだよ。いつかどこかで変わるのかなって・・・確かに、傭兵をやっていれば、喰うに困る事も無いし仕事が無くなる事も無い。もちろん傭兵稼業が悪いなんて少しも思ってない。ただ・・・俺にも守るものが欲しいというか、自分の立場とか?さっき、裏口の門番が言っていただろ?傭兵は目障りだって・・・正直、分からないでもないんだよな。傭兵なんて、どこへ行ってもよそ者だからな。・・・

ああ、何て言うんだろうな・・・仕事なんて、金だけ貰ってれば良いというわけじゃないっていうか・・」

リデルは数回、小さく頷く。

「俺は最近、自分の考えがよく分からないだ。これがしたいっていうのも無い。俺って変なのかな・・・

リデルは、どういう風に考えているんだ?・・・」

カインはリデルを見つめた。

「俺が考えているのは・・・・・・・・・」

リデルはカインに自分の考えを伝えた。

「・・・・そうか。・・・色んな考え方があるんだな・・・・」

今度はリデルがカインを見ていた。

「フィー・・・話して良かったわー。スッとしたって奴よ。」

カインは立ち上がった。

「さあ、明日は大事な決戦だ。体力を満タンにしておこうぜ。」

焚き火を消し、2人は眠りに着いた。結界だけが、小さく灯りをともしていた・・・




翌朝、3人は朝食を済ませ、テントを片付けた。モンスター達は皆グレゴルに帰ったのだろう。

辺りは閑散としていた。やがて、出陣した兵士達、傭兵部隊が現れて整列し始めた。時刻は10時となった。

「皆!準備は良いか!」

兵長が指揮を執る。

「これより王国軍は、グレゴルを奪還する!敵のリーダーは、グレートオークだ!グレートオークを討ち取り、さらに、モンスター達を一匹残らず殲滅せよ!」

兵達の士気が高まり始めた。ヒリヒリと熱気が伝わる。

「王国の旗に栄光を!!!」

兵長が右手の剣を天にかざした。

「オオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」

全軍が一体となり地鳴りの様に叫んで轟く

「おー!!」

ミディも声を上げる。兵長がグレゴルの方へ踵を返し、左手を挙げた。

「全軍!!!!!突撃ィ!!!!!」

「オオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」

地響きを上げて総攻撃が始まった。あちこちから剣戟の音が鳴る。リデル、カイン、ミディの3人も突撃した!モンスター達が襲いかかる!


カインは雷光の稲妻となりて、隼の如く斬り抜けた!!


リデルは十字に刃を切り裂き、斬空の衝撃を撃ち放った!!


ミディは周囲を薙ぎ払い、破壊の竜巻を巻き上げた!!


「怯むな!!前進!!!」

兵長が後ろから兵を押し上げる。モンスター達は倒れていくが、兵も傷付いていく。

「衛生部隊!前へ!!」

後方支援の衛生部隊が傷付いた兵達を回復する。その中にはルディアの姿もあった。

「女神に祝福されし光の精霊達よ!その息吹を分け与え、悪しき傷を討ち払え!!」

ルディアは一気に傷付いた兵達を回復させる。兵達は立ち上がり、また前進を始める。

にわかに均衡が傾き始めた。王国軍がモンスター達を圧し始めたのだ。

「戦況はどうだ?」

ライダリア王国の王が近衛兵を従えてやって来た。

「はっ!現在、王国軍が圧しております!グレゴル陥落も時間の問題です!」

兵長は膝を着いて王を迎えた。

「・・・うむ。このまま何事も起きねば良いが・・・・」

王は戦況を見据えていた。

「全軍!!グレートオークを探せ!!その首を討ち取れ!!!」

兵長と近衛兵達がグレゴルに目を奪われている瞬間だった。

「ギギギギギ!!!」

後ろの草陰から現れた、骸骨のモンスターが王の首に刃をかざした。

「全軍止まれ!!!!!!全軍止まれ!!!!!」

王が人質に取られてしまったのだ。兵達は何事かと振り返り真っ青になった。

「なんという事だ・・・・」

兵長はこの失態を嘆き、固まっていた。

「グフグフグフ・・・油断したな・・・・」

そこに、グレートオークが現れた。すでに顔は勝ち誇り、兵達を愚弄している。

「その人間の王をこちらによこせ。」

そのグレートオークは、ある程度知能があるのだろう、人の言葉を喋っている。

「グフグフグフ・・・・グフグフグフ!!!!」

厭な笑い声が戦場に響いた。グレートオークは王を人質にし、刃を王の首に光らせる。

「皆すまぬ!こんな王など捨て置けば良い!王などまた次を決めれば良い!モンスターなどに遅れをとるでない!」

王は叫ぶが兵は動かない。

「王様!それはできませぬ!王とは国民が決めるもの!私とて国民なのです!!」

兵長は武器を捨てた。兵達も武器を捨てた。

「グフグフグフ・・・・人間とは弱きものよ・・・・さて、どうしてくれようか・・・・一人ずつ火あぶりにでもグフアッ!!!」

・・・・・何が起きたか分からなかった・・・・グレートオークの頭に矢が貫いていた。

リデルは矢が飛んで来た方向を見上げた。

「このパーティーのリーダーは、このカイン様だぜ?」

いつの間のか高台へと移動していたカインは、遥か遠い距離から矢を射抜き、見事にグレートオークの眉間を捉えたのだ。

「グフグ・・・・・」

グレートオークは天を仰いで力尽きた。グレートオークを倒した!

「今だ全軍!!!武器を手に取り敵を殲滅せよ!!!」

統率を失ったモンスター達は最早、烏合の衆だった。グレゴルは、あっさりと陥落した。

「皆よくやった!!我々の勝利だ!!!!」

「オオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」

王国の旗がグレゴルにはためいた!

「王国の旗に栄光を!!!!」

「王国の旗に栄光をォォォォォ!!!ウオオオオオオオ!!!!!」

グレゴルの街に勝利の雄叫びが轟いた。皆、抱き合って歓喜し、涙して神に感謝した。

「良くやってくれた!!大手柄だ!!!」

「いやあ!いつもの事ですよー!!」

謙遜しているのか、そうでは無いのか、カインもご機嫌だ。いずれ、グレゴルの街にも人が住み始めるだろう。皆、意気揚々と王都に凱旋した!




王都に戻ると皆、拍手で迎えられた。グレゴル奪還の知らせは早くも届いているのだろう。リデル、カイン、ミディの3人は王の間へと招集された。

「今回の働き、真に立派であった!」

功績が認められた3人は、王の御前にまで登る事が許された。3人は礼節を弁え、膝を着いている。

「して、わしの方からも貴君等に頼みがあるのだ。」

王が語り始めた。

「王都の西に関所がある。情けない事だが、関所を越えるとモンスターの強さは格段に上がり、もう王都の兵力ではどうにもできんのだ。関所を越え、南に行けば、レグナントという街がある。王都からレグナントに手練れを送り込んでいるのだが、防衛しているだけで手一杯でな。この国には、ミノタウロスという大敵がおる。関所を越えて北側に拠点を構えておるのだが、どうやらその拠点からモンスター共を召喚している様なのだ。ミノタウロスを撃破出来れば戦況は大分、楽になるのだが・・・・どうじゃ?報酬は存分に出す。ミノタウロス討伐に乗り出してはくれまいか?」

3人は首を縦に振った。

「そうか!!やってくれるか!!!良し!今回の功績といい、褒美を出す!!何なりと申すが良い!」

「何なりと!?ではこの城の若い女をさし出げうッ!!!」

ミディはカインの急所を突いた!カインは気絶した!

「王様!お願いがあるの!このパーティーにヒーラーが欲しいの!ルディアが欲しいの!」

「・・・ではそうしよう。兵長、手続きを頼む。」

「は!失礼します!」

兵長は手続きの為、退出した。

「他に望むものは?申されよ。」

「無いの!」

「・・・・・いや、それではこちらの気が済まぬ・・・見たところ貴君等の装備は先の戦いでボロボロだ・・・この金で装備を整えるが良い。それくらいはさせてくれ・・・・」

リデル達は100万チルを受け取った。

「絶対に、死ぬるなよ・・・・」

リデル達は王の激励を受けた後、兵舎に行きルディアをパーティーに迎えた。

「来てくれてありがとうなの!」

「うふふ・・・呼んでくれてありがとう。」

一行は、装備を整えた。

リデルは、英雄の剣、獣神の鎧を装備した!

カインは、瞬光の小太刀、大鷲の黒衣を装備した!

ルディアは、大賢者の僧杖、煌めきの羽衣を装備した!

ミディは、爆撃の大金槌(子供用)堅壁の重鎧{ケンヘキのジュウカイ}(女の子用、メルヘン仕様)を装備した!


「私まで、いいのかしら?・・・・」

ルディアは遠慮がちに答えた。

「いいの!いいの!王様は太っ腹だから!しかし、俺たちの装備スゲーな!これなら何処へ行っても恥ずかしくないぜ!」

「カインは存在自体が恥ずかしいの!」

「それを言うなよー。」

「ハハハハハハ!!」

一行の一体感は最高潮だ!一行は関所に向かう為、王都の裏口へと向かった。そこにはまた、あの嫌味な門番がいた。

「あっ、へへ・・・どうぞどうぞ・・・・」

一行の活躍と立派な装備に臆したのか、裏口の門番はアッサリ道を譲った。

「おーう!ごくろう!」

「ズが高いの!」

「・・・・・」

「???」

一行は裏口を抜け、関所へ向かう。

「新しい装備には星柄のシールをはるの!でも・・・花柄のハンマーも大事なの・・・そうだ!こうしてこうして・・・できた!二槌流なの!!」

「二槌流!?クッソ!なんかいいな・・・俺もこうして・・・できたぞ!俺も二刀流だぜ!・・・あっ!こら!ミディ!片方返せ!!」

「うふふ・・・あの2人、仲いいわね・・・」

ルディアは、カインとミディを微笑ましく見ていた。

「関所を抜けた先にあるレグナントで私は育ったの。先生、元気にしてるかなー?私の魔法の師匠なの。関所が出来てから、レグナントには行けなくなって・・・久しぶりに会えるのが楽しみだわ。」

リデルとルディアは並んで歩く。しばらくすると、関所が見えてきた。関所には2人の門番が立っていた。

「話は聞いてます。扉を開けるとすぐに閉鎖します。これから先は、くれぐれもご無理の無き様に。」

門番の神妙な面持ちに一行は、先程の軽やかな足取りが嘘の様に沈み始めた。3重に固められた厳重な門扉を潜り抜け、一行は関所を抜けた。背中にはガシャンと、こちらの世界を遮断する音がした。

眼前は別世界だった。淀んだ空気が草木の命を奪い取っていた。ミノタウロスの拠点である北側には、瘴気が渦巻き、空には赤や紫などの不吉なコントラストが地獄への道筋に見えた。

「・・・余計な事は考え無い様にしよう。先ずはレグナントに行くんだ・・・」

一行は左向きである南側へと歩を進めた。しばらく歩くと、トンネルが見えた。トンネルを入ると道は3つに分かれており、目の前には見た事も無い様な文字で書かれた石板が設置されていた。

「カイン、読めますか?」

「あ、ああ・・・ええと・・・」

「何て書いてあるの?」

ミディが顔を覗かせて石板を見つめる。

「ええと・・・女はそのいやらしい淫らな脚を披露し、男を誘惑した・・・か。こっちだ。」

実際には石板にそんな事が書かれている訳がないのだが、カインは日常的にそんな事を言うので、ルディアはまた、カインを白い眼で睨みつける。カインは損な性格だ。3つに分かれた左側を一行は行く。

トンネルを抜けると街が見えた。レグナントだ。レグナントにたどり着き辺りを見回すと、街は意外に活気があり、一行はホッとした。

「懐かしい!変わってないわね!」

ルディアはレグナントの変化の無さを喜んでいた。故郷というのはそんなものなのだろう。

「先ずは訓練施設に行ってもいいかしら?」

特に行く当てもない一行は、ルディアの案内で訓練施設に足を運んだ。

「先生!」

「ん?おお!!ルディアか!?元気にしておったか!?何ぞ立派になりおって・・・・」

「私は変わっておりませんわ。先生も元気そうで何よりです。」

「ああ!今、関所の向こうはどうなっておるのだ?」

「王都は、グレゴルを奪還しました。」

「おお!グレゴルを!王国もまだまだ負けてはおらぬな!皆、聞いたか!?圧し返しておるぞ!」

ルディアの師は、白髪交じりの初老の男性だった。師の周りには生徒であろう、10歳位から20歳位の若い弟子達に囲まれていた。まだ幼い弟子達はルディアを囲み「先輩、先輩」と慕う。この施設は、王国が設立した教育機関で、モンスターに両親を殺された者、有志の者など、訳ありの人材を未来の兵力として、衣食住付きで招き入れる施設だ。

「ルディアさん、僕達はもうすぐ卒業間近です。戦場で足を引っ張らぬ様に精進します。」

20歳位の男子生徒は、すでに立派な風格を得ていた。

「うふふ・・・共に頑張りましょう。」

未来を担う若者達の立派なやり取りの後ろでカインは鼻をほじっていた。一行は施設の中に通され、客人としてもてなされた。ルディアの師はまだまだ話足りないようだ。卒業間近の生徒に指導を任せ、応接室に通された。

「これからどうするのだ?関所を越えて来たということは・・・」

「はい。ミノタウロス討伐に向かいます。」

「そうか・・・苦難多き道のりだと思うが、決して無理はするでないぞ。いつでもここに引き返して養生すれば良い。」

「ありがとうございます。助かります。」

「うむ・・・このレグナントより北に行くと、クレイラという街があってな。花と緑が美しい街だったのだが・・・ミノタウロスが全てを破壊したのだ・・・クレイラはミノタウロスの拠点に程近い街だ。日が落ちてからクレイラには決して留まるんじゃないぞ。本来の力を得たモンスター共が、我が物顔で闊歩しておる。」

4人はあの瘴気渦巻く景色を思い出していた。

「このレグナントも、ミノタウロスの拠点から召喚されるモンスター共から防衛しているだけで精一杯だ。

ここを落とされると王国に未来は無い。歯がゆいが、わしらもここを離れるわけにはいかん・・・。

何もしてやれぬが、未来を頼んだぞ・・・」

4人は勝利を誓い施設を後にした。

「いや・・・これはかなり厳しいな・・・」

カインもらしく無く暗い顔を見せた。そろそろ日が傾き始め、一行は宿をとった。リデルはベッドに横たわり物思いにふけっていた。今でも世界中は魔王軍と戦っている。皆、どんな気持ちで戦っているのだろうか?傭兵稼業は仕事とはいえ、危険が付き物だ。これまでの様な警備担当とは訳が違う。守るものの為に戦いたいと言っていたカインの言葉がリデルの心情を揺さぶっていた。その時、ドアをノックする音がした。

「起きていますか?ルディアです。」

扉を開けると、そこには寝る前の少しラフな姿をしたルディアがいた。始めて見るルディアのリラックスした姿は、また違う美しさを保っていた。

「何だか眠れなくて・・・一緒に酒場にでも行きませんか?」

ルディアにも考えてしまう所があるのだろう。リデルは頷いた。

Barに着いた2人は、カウンターの席に落ち着いた。しっとりと落ち着いた雰囲気を提供する店には、大声を出す者はいない。

「また、レグナントに来れて良かった・・・」

僅かに灯る照明に包まれるルディアの横顔は、とても美しい。

「私・・・両親をモンスターに殺されたの・・・その時、まだ幼い私は戦う事を選んだわ・・・その後、ここの施設に入って修行に励んだの。でも、先生は私に笑って生きる事を許してくれたの。私はこのレグナントで恋愛もしたし、色んな経験もした。レグナントは絶対に傷つけたくないの。」

「守るもの」、か・・・リデルはグラスを傾けた。

「私はリデルと一緒に戦えて、本当に良かったと思ってる。ヒーラーは、いつも後方支援で、最前線で戦える人が羨ましかった。だから、私を誘ってくれた時、本当に嬉しかった。・・・・私は、リデルには絶対に傷付いて欲しくないの・・・」

ルディアはリデルの膝に手を置いた。

「お願い・・・絶対に死なないで・・・私は、あなたの為にこの力を使いたい・・・」

見つめ合う2人の顔の距離は、瞳に互いの姿が映る程に近い・・・だが、これからの事を思うと踏み込めぬ何かが、2人を遮った。

「一緒にいてくれてありがとう・・・じゃあ、また明日・・・」

宿に戻った2人は、眠れぬ夜を過ごした・・・・




翌朝、皆、朝食の為に宿の食堂に集まった。が、ミディの姿が無い。

「アイツ、まだ寝てやがんな。しゃーねー。起こしてくらあ。」

カインは席を立った。ミディの部屋に着きノックする。・・・返事が無い。

「開けるぞ?ミディ?」

カインが扉を開けると、ベッドにまだ寝ぼけて座っているミディがいた。フリフリのパジャマ姿だ。

「うーん・・・ハッ!!カイン!?襲いに来たの!?変態変態!!!」

「はあ?何を・・・」

「ヤ!ヤダア!こんな・・・こんな姿を見られるなんて!!」

「いやいや・・・あの、ミディな・・・」

「ミディはもうお嫁に行けません!!カイン!!ミディとケッコンして頂きます!!!」

「はあー!?!?お前、普段と変わんねえじゃねーかあ!!」

「責任重大です!!出て行って!!!」

部屋を閉め出されたカインは渋々、食堂に向かった。食堂に来たミディは、ルディアに泣きついていた。

「カインが・・・カインが・・・」

ルディアの膝にすり寄って泣くミディを、ルディアはよしよしと頭を撫で、カインを睨みつけた。

「何だよー何だよこれー。リデルー。ミディが・・・ミディが・・・」

カインはリデルにすり寄ったが、リデルは無視してコーヒーをすすっていた。




一行はルディアの先生と施設の生徒達に出発を伝えレグナントを出た。北へ向かうと右手に関所が見えた。

一行はさらに北上。空は不吉な色合いで待ち構え、一行の足を沈み込めようとした。足が前に進まず、呼吸も苦しくさえ感じ始める。真っ黒な瘴気に肌を撫でられ、なぜ、今自分達がここにいるのか?4人共、その言葉だけは表に出してはいけないと、口を閉じていた。

「あったぞ・・・クレイラだ・・・」

クレイラに着いた4人は、心を杭で打ち込まれた。街中に墓がいくつも存在し、人が生活していたであろう建物は遺跡の様に放置され、吹き荒ぶ黒い風が、街であった事を否定した。それは、これから自分達に降りかかるであろう惨劇を、否応なしに飲み込ませた現実であった。4人はその場に立ち尽くし、最早、足を上げる事すら困難な状況に陥った。・・・・一行は、呪いをその身に受けた様に固まっていた・・・

「お兄ちゃん達・・・・誰?・・・」

その時、後ろに小さな小さな女の子が現れた。痩せ細り、目に光を失い、痛々しい姿だった。その少女は手に花とスコップを持っていた。この少女が墓を作っているのだろうか?いや、間違いない。

「お兄ちゃん達・・・・ヘータイさん?・・・」

「いや・・・俺たちは傭兵だが・・・子供から見たら似たようなもんか・・・」

カインがそう答えると、少女は墓に花を手向けた。まだ出来たばかりの墓もある・・・

「私・・・皆がここにいるから・・・ここを離れたくないの・・・パパもママもお友達もここにいるの・・・夜は危ないからずっと隠れてるの。食べる物もレグナントの人が持って来てくれるし・・・パパ、ママ、はい、お花・・・」

少女は墓に花を手向けていく。

「ヨーヘイさんは、どうしてここにいるの?」

少女は、弱々しい眼差しをこちらに向けた。

「俺は・・・俺達は!必ずミノタウロスを倒す!必ずだ!待っていてくれ!」

背中を向けたカインは、目を拭っているのが、背中越しにも見て取れた。

「ほんと?あのお化けをやっつけてくれるの?クレイラが元通りになったらいいな・・・」

少女は微かに微笑んで、墓の手入れを始めた。

「リデル・・・俺は・・・俺は怒りが収まらねぇぜ・・・モンスターにも都合ってもんがあるのかも知れねぇが・・・こんな小さい女の子にこんな事させやがって!守るもんならここにあるじゃねーか!くそ!

この弱虫の足!サッサと前に進みやがれ!!」

カインの激高は皆に勇気を与えた。皆、カインと同じ気持ちだった。この怒りの前に最早、恐怖など何の足枷にもならなかった。瘴気を打ち払い、前へ。ミノタウロスの拠点は目前だ。一行は少女に勝利を誓い、さらに北上した。真っ黒く口を開ける洞窟が、不気味な闇を吐き出していた。そこにある命など、全て吸い込んでしまう様な佇まいを鎮座して、風の音が悲鳴に聞こえる。4人はクレイラの少女を瞳に残し、洞窟の入り口へと辿り着いた。洞窟を覗くと、人の屍に腰かけて眠っているミノタウロスがいた。4人は互いに頷き一直線にミノタウロスへと走り出した!モンスター達が現れ行く手を阻む!

「ガギン!!」

誰かがモンスター達の盾になり、4人の道を作る。

「久しぶりじゃな!お前たちがここまで来るとは、わしも鼻が高いぞい!!」

アルデンハイドの老騎士隊長だ!

「さあ!先へいけ!!モンスター共よ!この老骨の首など、いくらでもくれてやる!かかってこんかい!」

「よう!傭兵の意地、見せてやってくれ!!」

さらに傭兵仲間も剣を振る。リデルは頷き、先へ行く。またモンスター達が現れた!

「カァン!!」

今度は王都正門前の近衛兵団だ!

「あの時は捕まえたりして悪かったな!先へ行ってくれ!!ミディ、また俺達と遊んでくれよな!!」

「ありがとう兵隊さん!!」

ミディは礼を言い先へ行く。今度は上からモンスターが降ってきた!

「ゴオオォッ!!」

モンスター達が炎に包まれる!!

「かわいい教え子に手出しはさせん!!ルディア!この国の未来、任せたぞ!!」

レグナントのルディアの師匠だ!!

「先輩!先へ行って下さい!!ここは僕達が!!」

施設の生徒達も応援に駆け付けた!

「ありがとう!!助かります!!」

ルディアは礼を言い先へ行く。ミノタウロスまでもうすぐだ!またモンスター達が現れた!

「ハアァッ!!」

今度は王都の兵長が盾になり道を作る!

「お前達だけに任せきりなど、恥ずかしくて王国に顔向けできん!!」

「おう!傭兵ってイカシてんな!俺は心を入れ替えたぜ!!」

王都の裏口の門番も盾になる!

「皆、心は一つだ!!行ってくれ!!」

「すまん!!助かる!!」

カインは礼を言い先へ行く。ミノタウロスまで辿り着いた!!

「グウオオオッッ!!!」

鳴り響く剣戟の音に目を覚ましたミノタウロスは立ち上がり叫んでいる!その巨体は鋼の様な筋肉で覆われ、牛の頭をした鋭い眼光が4人を睨みつける!

「睨まれても、もうビビんねえよ!こちとら怒り心頭だ!皆、このまま行くぜ!!」

4人は一斉に攻撃した!

「ガッ!!」

ミノタウロスの鋼の肉体には剣も魔法も通用しない!

「ガアアアァァッッ!!」

ミノタウロスの大斧が4人を吹き飛ばす!

「くそ!どこかに!どこかに弱点があるはずだ!!それぞれ攻撃するんだ!!」

ミノタウロスの頭、腕、脚、腹、攻撃するが全て弾き返す!

「ウガアアアッッ!!」

ミノタウロスの大斧が4人を襲う!ルディアも必死に回復する。4人は勢いを失った。背中の仲間達もモンスター達との戦闘で息が上がっている。洞窟の奥深くに拠点を構えたミノタウロスは、暗闇の力を得て本来の力を増幅している。

「くそ!せめて太陽の光があれば・・・光?そうか!!」

カインは何かを思いついた様だ。

「ルディア!俺達の武器に光の力を与えてくれ!!」

「わかったわ!!行くわよ!!」

ルディアは、大賢者の僧杖を振りかざした!

「眩き光の女神よ!詠唱者の魔力を糧とし、その憑代に輝きの加護を!!」

4人の武器が眩しく輝き始めた!その光がミノタウロスを照らす!!

「グギャアアアアッッッ!!!」

ミノタウロスは苦しんでいる!カインはミノタウロスの弱点を暴き出した!

「後は・・・お願い・・・」

神自体を召喚したルディアは、魔力を使い果たし、気を失った。

「上出来だ!!行くぜ皆!4人の合体超必殺攻撃ってやつだ!!」


カインは二刀流に構え、稲妻を呼び寄せた!全ての攻撃が光りの速さになった!


ミディは二槌流に構え、破壊の神を降臨させた!仲間の力が幾重にも膨れ上がる!


リデルは英雄の剣を高々と掲げ、勇者の覚悟をその体に宿した!歴戦の英雄達が奇跡の勝利を約束する!


背中の仲間達も同時に叫んだ!


「いっけえええええええええ!!!!!!」


「ガガガガガガガガガガ!!!!!!!!」


「ガギャアアアアアアアッッッ!!!!!!!」



ミノタウロスの断末魔が洞窟を振動させた。ミノタウロスは立ったまま絶命した。モンスター達も召喚の主を失い、消え去った。


無音の時が、辺りを支配した。

「やった・・・のか?」

次第に歓喜の声が漏れ始めた。皆が勝利を確信した時、立ったまま絶命したミノタウロスの大斧がミディの頭に振り下ろされた。

「ミディ!危ねえっ!!」

「ドガァァァン!!!」

辺りは砂煙で何も見えなかった・・・徐々に砂煙は消えていく・・・・

「カイン!?カインッッ!!!」

カインは血を吐いて倒れていた。

「カイン!!カイン何してるの!!シーフが戦士をかばうとか聞いた事ないの!!」

ミディはカインを揺さぶる。

「へへ・・・それも・・・そうだな・・・ヤキが回って来たってやつよ・・・」

ミディは震えている。ルディアはまだ気絶したままだ。

「カイン!一緒に王都に帰るの!!こんな所で・・・」

ぽたぽたとカインの体に雫が落ちる・・・

「ゴハッ・・・ゴハッ・・・」

カインが激しく血を吐き始めた。

「ヤなの!カイン死んだらダメなの!!カインはミディとケッコンするの!!一緒に王都に帰るの!!」

「・・・・・・」

カインは返事をしなくなった・・・・

「うわあああああああああっっっ!!!!」

ミディが泣き叫ぶ・・・・


「くくく・・・」

「??」

ミディが顔を上げた。

「くくく・・・」

顔を上げたミディの前で、カインは血のり袋をプラプラしていた。

「ドッキリさんこんにちは!!」

どうやらミノタウロスの大斧はカインをかすめていた様だ。

「ミシミシミシミシッッ!!!!」

「ンギャアアアアアア!!!!」

お戦士の本気の握力をカインは顔で味わっていた。自業自得もここまで来れば微笑ましいものだ・・・・


一行はルディアを起こし洞窟の外へ出た。仲間達が拍手と歓声で出迎えた。

「うおおおおおおん!!うおおおおおおん!!」

裏口の門番が泣いて4人の無事を喜んだ。そして、クレイラの少女がそこにいた。

「ありがとう・・・これ・・・お花・・・」

少女はカインに小さな花を手渡した。カインは少女を抱きしめた。ミディもルディアも泣いていた。

カインは瞳の光るものを拭い立ち上がった。いつの間にか、空は澄んで、暖かな風が皆を包んで祝福した。

カインは空を見上げて、一際、大きな声を出した。

「さあ!!英雄様のご帰還だ!!!」




一行は王都に帰ると、すぐさま城に通された。

「よくやった!!!よくやってくれた!!!」

そう叫ぶ王に連れられ、城下町を一望できるテラスに案内された。そこには、この国の人々が詰めかけ、リデル達を待っていたのだ。王がマイクに叫ぶ。

「皆よ!!この者達が、大敵ミノタウロスを討ち滅ぼしてくれた!!!」

「ワアアアアアアアアアアアアアア!!」

豆粒の様に見える人々の歓喜の声が、王都に響く。

「さあ!皆、貴君らの声をまっておるぞ!」

王はリデル達に、演説を求める。

「いやいやいや!!俺達は演説だなんて、そんな・・・」

カインは恐縮し、かぶりを振る。その時、ミディがマイクの前に立った。

「私たちは、これまで、多くの仲間を失い、傷付いて来ました・・・しかし・・・これからも、皆で、手を取り合い、この世界の未来を紡いでいかなければなりません・・・それは、困難でも、諦めずに、立ち上がり、この勝利の日を、子孫に、伝えていかなければなりません・・・」

王は泣き声を殺して、指先で目を拭う。リデルもカインもポカンと口を開けていた。ルディアは笑顔で小さく拍手していた。そして、ミディはニカッと笑った。

「王国の旗に栄光なの!!」

「ワアアアアアアアアアアアアアア!!!」

王都がまた、歓喜で揺れた。ミディの発言は王都の歴史に残るだろう。

「ミディ!お前、何かズルいぞ!」

カインは笑ってミディに詰め寄る。

「女は色んな顔を持つものなの!」

ミディは得意げだ。一行は城の祝勝パーティーに主役として招かれた。大々的に持ち上げられた後、やっと自由になれた。ミディは近衛兵達に囲まれ何やら盛り上がっている。カインは沢山の女性たちから黄色い声を浴びせられていたが、目の前の料理を貪っていた。リデルはテラスに出て、一人、夜風に当たっていた。

夜の城のテラスからの眺めは、王都の人の息吹を感じる事が出来た。

「あの戦いが、嘘みたい・・・」

リデルの隣に来たのは、ルディアだった。

「またこうして・・・リデルと一緒にいられるなんて・・・」

ドレスアップしたルディアの姿は、まさしく女神の様だった。

「リデルは、もうこれから先の事を考えているの?・・・ふふ・・・きっとそうよね・・・」

リデルは何も答えず、ただ、街並みを眺めていた。

「私には、貴方を留める権利なんて、どこにも無い・・・でも・・・貴方を・・・リデルの事を、本気で想っていた女がいた事を、忘れないで欲しい・・・お願い・・・一晩だけでいい・・・一晩だけ、優しさが欲しい・・・・・・私を・・・・」

ルディアは、リデルにその身を預けた。二人の探り合う唇が触れ合い、熱く、想いを燃やした。

情熱は絡み合い、揺らめき、激しく吐息を交錯させる。うつつの陽炎が幻をまどろみ、蜃気楼の様に二人をいざなった・・・二人は、一晩だけ、時を同じくした・・・・・






「もう・・・行くのか?」

ここはレグナントの船着き場だ。大きな荷物を抱えたリデルは首を縦に振る。あれから数日は王都で過ごした。今日は仲間達が見送りに来てくれた。カインとミディは手を繋いでいる。男女とは分からぬものだ。

ルディアは、吹っ切れた様な顔をしている。

「リデル、俺は王都の入隊の話、受けたぜ。俺はこの国の人間だからな。」

リデル、カインは功績が認められて、王の護衛役にまでスカウトされた。しかし、リデルは今、ここにいる。ルディアはレグナントに戻り、指導者になるらしい。

「あー・・・もったいねーなー・・・リデルー・・・考え直せよー・・・」

カインは少し駄々をこねるが、リデルは笑って首を振る。

「そうか・・・だな!俺はどこまでやれるか分からないが、やるだけやってみるさ。・・・・・・・お!

あそこにいい女が・・・いだだ!こら!ミディ!俺の手を握り潰そうとするのはやめろ!!」

カインには、もう自由は無い様だ。

「リデル!今までありがとうなの!元気でね!」

ミディは元気よく笑って見送る。

「リデル・・・本当に・・・色々ありがとう・・・」

ルディアは悲しいのか、既に思い出に浸っているのかよく分からない表情だ。分かっている事は、ルディアにも、ここでの未来があるという事だ。

「ボオオオー!」

「そろそろだな・・・」

船の汽笛の音が、リデルの代わりに別れを告げる。リデルは船に乗り込み、仲間に別れの手を振る。船は

船着き場を離れ、徐々に仲間達が小さくなった。

「頑張れよー!また会おうなー!」

「また絶対会おうなのー!」

「色々ありがとうー!」

仲間達の表情が分からない程、船は離れた。カインとミディは何やら笑って話していたが、ルディアは、リデルが見えなくなるまで、その姿を追っていた。

「ボオオー!ボオオー!」

また、船の汽笛が別れを告げてくれた。ずっと着いてくるカモメの声が、リデルの寂しさを和らげてくれた。リデルはこの度の冒険を日記にしたためた。日記を書き終わった後、リデルは船首へと移動した。

潮風がまた、新たな冒険を予感させる。これからどこへ向かうのか、それはリデル自身分からない。だが

今、世界中で魔王軍との戦争が起こっている。そして、リデルは前へと進み続ける。


この仕事が無くなる事は・・・・・・・無い。


                                          続く


皆、おつかすー。連載物始めました。いや、今回は自分の中では力作で、私の全てを込めました。

クレイラの少女には、泣きながら書きました。私、RPGをもう20年以上やっているので、こいつやりこんどるなと思っていただけたら幸いです。読者の方には、ゲームをプレイしてるような感じで読んでもらえたらうれしいです。今日も徹夜で書きました。では寝ます。おやすみなさい。

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