異世界の足跡
奇妙な場所(とこ)
彼女、相坂悠里(あいさかゆうり)が意識を覚ました時に思った事である。
小さなロウソクの灯りが所々に置かれているだけのこの薄暗い世界の中で、目の前に広がるのはどこまであるのかすらわからないほどに続いている無数の本棚であった。
その本棚の全てに隙間一つなく綺麗に並べられている本達。
そのどれもが全て一目見ればわかるほどに古く埃かぶっている。
もう随分と触れられていないのだろう。
しかしそのどれもが汚れ一つなく、傷一つなく、綻(ほころ)び一つない。
まるで作られてから一度も開いた事どころか触れた事すらないような異様な雰囲気の本が永遠と続いているのであった。
悠里はこのような場所は見たこともなく来た覚えもない。
ならば、なぜこんな場所に自分がいるのか?
悠里に恐怖はなかった…
普通ならば恐怖し、混乱して身を震わせて叫ぶかも知れないであろう。
しかし彼女はそれをしなかった。
いや
出来なかった。
彼女は知っているから
自分の動かす身体はもう無く
自分の意思を伝える声も無い
相坂悠里は知っている。
すでに自身が死んでいる事を。
彼女、相坂悠里(あいさかゆうり)が意識を覚ました時に思った事である。
小さなロウソクの灯りが所々に置かれているだけのこの薄暗い世界の中で、目の前に広がるのはどこまであるのかすらわからないほどに続いている無数の本棚であった。
その本棚の全てに隙間一つなく綺麗に並べられている本達。
そのどれもが全て一目見ればわかるほどに古く埃かぶっている。
もう随分と触れられていないのだろう。
しかしそのどれもが汚れ一つなく、傷一つなく、綻(ほころ)び一つない。
まるで作られてから一度も開いた事どころか触れた事すらないような異様な雰囲気の本が永遠と続いているのであった。
悠里はこのような場所は見たこともなく来た覚えもない。
ならば、なぜこんな場所に自分がいるのか?
悠里に恐怖はなかった…
普通ならば恐怖し、混乱して身を震わせて叫ぶかも知れないであろう。
しかし彼女はそれをしなかった。
いや
出来なかった。
彼女は知っているから
自分の動かす身体はもう無く
自分の意思を伝える声も無い
相坂悠里は知っている。
すでに自身が死んでいる事を。