過去 旅の終焉
浄化の旅が終わり、王都に戻る日がやってきた。
清良には眠り姫というあだ名がついていた。
浄化で力を使い果たし、寝て魔力を回復する生活を続けていたからね。
なぜか私には恐怖のオカンというあだ名がついていた。
17歳、花の乙女に向かってオカンとは失礼な!と文句を言ったら、歩兵のおっさんたちがゲラゲラ笑った。
隊長がやってきて「どうした?」と聞くのであだ名の件について話したら、ツボにはまったようで笑い転げていた。
美人の婚約者がいる隊長には、私なんて女に見えてないのだろう。
それにしてもデリカシー皆無ではないか。
笑い転げる隊長を見ていると無性に腹が立ったので蹴ってやった。
足が痛くなっただけだった。
ぐぬぬ、無駄に筋肉を鍛えてやがる!と睨み付けたら、ニヤリと笑い返すので
足をぐりぐりと踏みつけてやった。全く効果がないのでいじけた。
筋肉痛に効く湿布薬を貼って、いじけたまま寝る事にした。
湿布薬臭い私を見て、清良が呆れた顔をした。
2人でハンモックに寝転んでこれからの事を話し合った。
一番大事な事は、元の世界に帰れるかという事。
清良は帰りたいと言った。
元の世界、あの瞬間に戻してほしいと言う。
幼馴染と付き合い始めたばかりだったのだ。
私も帰りたい。
親やお姉ちゃんに会いたい。友達にも会いたい。
誰も頼れる人がいない世界で、1人で生きていく事なんてできない。
そうなったら私の心は壊れてしまうに違いない。
元の世界に戻った後に、あの人よりも好きになれる人に出会えるだろうか。




