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異世界にて  作者: プリン
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田中家の裏事情

異世界から単身帰還した清良は、真理の家を訪問していた。

いつも忘れるけど、真理ってお嬢だったのよねえ…と思う。

本人の中身が残念すぎて想像もつかないけど、昔からの地主の本家のお嬢様。


清良がたどり着いたのは、異世界に召喚された日の3日後。

元の場所から1区画離れた場所だった。

召喚された場所は、現在立ち入り禁止となっていた。

あの日、召喚された日に通り魔が出て、大騒ぎだったらしい。

怪我人多数、ただ最初に襲われたはずの2人の少女は、目撃情報があるのに騒動の後に消えていた。

その日警察に通報された、自宅に帰ってこない少女は私と真理。

召喚されていなければ消えていた命であったのかもしれない。

「ふざけんな!ばかやろう」

毒を吐かずにはいられない。行き場のない怒りがこみ上げる。


今から真理の両親に、真理と一緒に異世界に召喚された事を話すつもりだ。

頭がおかしいと思われるかもしれないけど、真理の親だって心配しているはずだ。

黙っているよりは、私の知っている真実を伝えたい。

真理の両親に会って異世界に召喚されたという話を伝える

全ての話を聞いた後に、「真理はこちらに帰還できないでしょうね」

と真理の父親が冷静な口調で言った。


100年前、田中家の先祖が異世界に聖女として召喚され浄化の旅に出た。

ちなみに浄化方法は爆発系だったようだ。ああ、彼女の先祖だったのか

旅の中で彼女は異世界の青年と恋に落ちた。

異世界の青年は、こちらの世界に来ることは出来ない。

しかし、彼女は一人っ子で家を継ぐ必要があった。

彼女は泣く泣く帰還、帰還後に妊娠が発覚したらしい。


「あの、異世界の人間がこちらに来れないのなら、お腹の中の子供は…」

「タイミングの問題だろうな」と真理の父親がはっきり言い切った。

一族の者が異世界に召喚されたら帰って来られないだろう、

決して召喚されないようにと言い伝えが残ってはいるが、

予防しようがないものをどうすりゃいいんだ。

娘が生まれたら聖女になれない残念系に育てるしか無いよね~

という認識で田中家はやってきたらしい。


「真理なら大丈夫だろう。とても頑丈な子だ。異世界でもやっていけるよ」と真理の父が言う

「一族で一番図太い性格の子に育ちましたものねえ」と真理の母。


異世界の聖女召喚に巻き込まれて、異世界人の血を引く真理が異世界に帰還した。

田中真理の家族はそう考えているのだ。

清良は一歩先に進める気がした。


田中家の人々はうっかり者でもあったので、肝心な事を忘れていた。

真理に言い伝えの事を教え忘れていたのだ。

残念に育つ娘を見て、この子なら聖女には絶対ならない!と安心しきっていた上での怠慢であった。

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