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異世界にて  作者: プリン
13/24

ジャージ また逢う日まで

「明日、仕立て屋に行こう」と夕食の席でアレックスが言った。

朝、何か言いたげにジロジロ見ていたのは洋服の事だったのか。


異世界に来てから、私はジャージと運動靴をこの上なく愛用している。


神官さん達は、悪い人たちでは無いけど、一般社会から隔絶した男子の集団。

女の子の服までは気が回らなかった。

謁見のための王宮入りで、女性の世話係がついた時に下着だけは用意してもらった。


召喚された日が週末で、洗濯の為にジャージと運動靴を持っていた日で良かった。

浄化の旅では四六時中ジャージを着ていた。背中のゼッケンは外した。

マメに浄化しているので綺麗だが色気は皆無だ。


結婚した時に、アレックスがこの世界の服をいくらか用意してくれたけど、

今でも仕事中は動きやすいジャージを愛用している。

おなか周りが余裕がなくなって来たかな~と思っていた。

これからも愛用する為にジャージには少しお休みしてもらおう。


というわけで、仕立て屋にやってきた。

職場にはアレックスが前日の時点で午前休みの連絡をしていた。

結婚当初に用意した外出着はすべてお腹が閊えた為…本日もジャージである。

セーラー服なら入るのだが…アレックスがダメだというのでやめた。


胸周りとおなか周りに余裕のあるデザインで作る。

仕事用のパンツスタイルと、外出着を数点。

織物職人がジャージを興味津々という様子で見ていた。

ポリエステルはこの世界に無い素材なので、見るだけにしておいてほしい。


間に合わせの一着、ウエストに余裕のあるベージュのズボンとシャツを購入する。

裾とウェストを紐でしめるように急ぎでやってもらう。

アレックスの意見で上に茶色のエプロンスカートを合わせる。

可愛い、ちょっとテンションが上がる。冷えない、動きやすい、良いのではないだろうか?


職場の近くの食堂でアレックスと昼ご飯を食べる。

「ちゃんとしたデートするのは初めてだね」と言ったら、

アレックスが行けるうちに色々行こうと約束してくれた。

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