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JAZZの始まりは  作者: 蟲島 代助
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 県立宜ノ山高等学校には大きな中庭が存在した。そこには約三十種類もの草木や花が生い茂っており、見上げるような巨大な大木も三本ある。さらにはベンチやテーブルなども多数存在し、もはや中庭というより公園のような光景だ。

ユウキはそんな中庭の隅っこにあるベンチに一人で座って休んでいた。

「・・・あーだるい」と思わずつぶやいてしまった。

入学式が終わった後、すぐに新入生オリエンテーションが始まった。一組から十組まであり、新入生はそれぞれ割り振られた組の教室に入っていった。ちなみにユウキは六組、出席番号十四番だった。その後、担任のどうでもいい自慢話や、特に面白くもない一発芸をやる同期の自己紹介を散々聴き、今に至る。

「さて、どうしようかな」

 腕時計を見ると針は午後二時十分を指していた。オリエンテーションも終わり、昼食も済ませ、教科書も買ってしまったのでもうこれといった予定は特にない。あるとしたら部活の見学くらいだろうか。

「部活・・・」

ユウキはふと朝の出来事を思い出した。あの時、ナミの勢いに押され思わず「入る」と言ってしまった。

「吹奏楽部ねぇ」

 見学に行こうか行かないか悩む。実際、ユウキは吹奏楽部に所属していた。音楽は好きだった為、中学三年間毎日朝早くから夜遅くまで真面目に通い続けた。その時にナミとも知り合った。しかし、その日々はユウキにとって腑に落ちないものがあった。

「やっぱ帰るか」ユウキはベンチから立ち上がり、隣に置いていたリュックを肩にかけた。

昔のことを思い出し、見学に行く気が無くなってしまった。ナミには申し訳ないが適当に理由をつけて今日はもう帰ることにしよう。

そう思って校門に向かって歩き始めたその時だった。

「ねえ君、ちょっといい?」

「え?」

ふと後ろから声をかけられ、ユウキは思わず振り向いた。

そこには一人の少女が立っていた。

「君、林ユウキだよね?新入生の」


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