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神還師【かみかえし】  作者: 秀中道夫
序章 『坊主』と『少女』
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『坊主』と『少女』

『…東里とうり市で現在計画が進められている高規格道路「東里横断道路」の残りの接続道路部分の建設に関して、県の土木整備課は土地の購入に一定のめどが付いた事により建設開始を来年の平成二十三年度から行うとしています。すでに開通している西米にしよね側とのアクセス部に対する土地購入は完了しており……』


 この日最後のラジオローカルニュースを聴きながら榊守さかきまもるは県境付近を社有車で走っていた。県境付近の海岸で発生したエチゼンクラゲの騒動を取材した帰り道である。漁協の話などを聞いているうちに日もすっかり暮れてしまった。その日のニュースの題材にする予定ではあったが、別のニュース取材が優先されたため、遅めの帰社となった。海岸沿いだったため、国道とは違う県道の道は街灯もなくカーブが多い。車のタイヤに少し鞭打たせながら暗い道を走っていた。


「嫌な道だ…」


 独り言でもいわないと気を紛らわす事ができない。すでに県境は越えたがラジオも不感地帯に入ったのかロクに受信出来なくなった。

 雑音しか鳴らないラジオのスイッチを切り、無音の夜道を走っていると、その道の傍で誰かが立っている。


「…泣いてる?」


『誰か』は道路を背に泣いている感じがした。―あくまでも感じであって本当に泣いていたかどうかは判らない。一瞬の出来事だったのでそのまま無視しても良かったのだが、少し思う事があった…。

 榊は車を引き返すとその『誰か』の所に戻った。『誰か』は確かに泣いていた。


「どうしたんだい?こんな所で?」

「おうちが解らないの。」


 泣いていた『誰か』に榊は少し戸惑った。この時代に似合わない半纏はんてん姿の身形みなりだった。そこから連想されるのは限られる。

とはいえ仕方ないので榊は訊いてみた。


「どうして解らないの?」

「迷子になったの」と言って振り向いた。


場違いな格好に、更に振り向いた顔は何もなかった。


俗にのっぺらぼうと言う者だと思う。ただ、榊は驚く様子もなく、どちらかと言えば『またか…』という感じで嘆いていた。


 のっぺらぼうは榊の反応に戸惑う表情―まぁ、顔はないので感覚的に―をした。

「まぁ、それじゃあ解らないよね…」榊は至って冷静な身振りしか見せていない。


―とはいえ参った。こんな坊主の家なんぞ知らなければ、見当も付かない…。


 この榊という男、この状況に対して至って冷静なのは、実に奇妙ではある。大概のっぺらぼうに驚き一つ見せず。困っていることと言えば「坊主の家なんて知らないぞ…」と言う点だけなのである。


 そして当の坊主はと言えば未だに泣きじゃくっている…。榊も苛ついてきた。

「なぁ、そこの……ボク。泣いてるばっかりじゃ判らないし…」

変わらず泣きじゃくる坊主。

「何か知っているこ…」



「あんたの家…、知ってるよ。」



 悩んでいる榊の後ろから声がした。

 そこには高校生ぐらいの少女が立っていた。


 …またなんか変なのが出てきた。坊主の仲間か?と思ってはいたが、高校生ぐらいの…という発想はその身形だった。普通の黒髪に市内でよく見かける高校の制服…、確かこの制服は役所の近くにあった…。校名が思い出せん。

 そんな事はどうでもいい。榊がいるのは県境を越えたばかり。まだ東里市内には遠いし、この辺りには民家はそうそう少ない山中で女子高生というのはおかしい。


と、言う事はこの子も…?


「……私があなたを還してあげる」


これが榊守と『少女』の出会いだった。

ここから序章となりましたが、『変更あるかもしれません』と書いた張本人の名前が変更になりました。実際に検索すると名前というのは引っ掛かるモノでその辺りロクに確認していませんでした。参った参った…。


そんなドタバタから始まった作品ですが。今後も定期的には掲載して行ければと思っています。では次回まで。

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