第4話 文化竜なら家を建てよう! ~マイホーム完成編~
家を建てるための木材を手に入れた後、自分は神様の導きに従って他の建築資材を集めるべくパワースポットを回った。
いい石材があると聞き、踊り狂う石の体を持つ巨人を倒してその体を回収し
いい毛皮があると聞き、雪山で巨大マンモスを狩り(肉は要らなかったので近くの人間にあげた)
ロープの代わりになるいい蔦が有ると聞き、崖から蔦を引きはがし(大きな怪鳥が邪魔をしてきたので叩き落とした)
サンゴが手に入ると聞き、海に潜って邪魔するクジラほどの大きさのサメを海の藻屑に変えた。
その過程で多くの人間にあがめられ、近くに来ていた弟妹にその場のパワースポットを任せたりした。
そうやって建築資材を集めたものの、いざ家を建てようとして問題が発生した。自分は家の建て方を知らなかったのだ。
どうやって家を建てようかと悩んでいると神様の声が聞こえた。
(ふっふっふ、お困りのようだねドラゴンくん。そんな君のために助っ人を呼んでおいたよ)
その声と共に5つの巨体が矢のごとく自分の目の前に降り立ってきた。
緑、紫、白、黒、蒼、5メートル級の大型ドラゴンたち。出かけたパワースポットで再会した自分の弟妹たちだ。
「兄さん、オレ遊びに来た」
「違うでしょ、兄様が困っているから助けに来たんでしょ」
「そうそう、でかい体の所為で住む場所が無くて大変なんだから」
わいわい騒ぐ弟妹たち。自分のために来てくれた彼らにお礼を言おうとすると、さらに多くの気配が近づいてくるのを感じた。
それは大勢の人間達だった。八首の大蛇に襲われた村の人達を始め、自分が出向いたパワースポットに近くに住む人間達……。自分の事をあがめていた人間が各地から集まってきたのだ。
「ドラゴン様、神様の神託を受けて参りました」
皆を代表して八首の大蛇の生贄にされていた少女が話しかけて来た。
「この地にドラゴン様の神殿を建てろと神様は私達に神託を下したのです」
生贄ちゃんはそう言い終えると、集まった人間達は大声をあげて自分が集めた建築資材に群がっていった。またそれを見た弟妹達も建築資材に向かって歩いていった。
力作業はドラゴンが行い、細かい作業は人間が行った。人間の世界では何十年とかかる神殿の建設は両者の協力によって数ヶ月で終わった。
こうして自分のマイホームは完成したのだった。
神代の時代と言われたこの時代、この出来事は人間とドラゴンが協力した何かをなしたと言う出来事として神話に残った。完成した神殿は黄金竜の神殿と言う事で黄金宮と呼ばれ次の時代まで神と黄金竜以外立ち入る事が出来ない不可侵の神殿とされた。
また神殿を建てるために集まった人間のうち一部の者は故郷に帰らずにこの地に残った。やがてさまざまな文化、風習を持つ者達をまとめるために共通の掟が作られ、やがてそれは『法』と呼ばれる物になった。
そしていつしか人々の集まりは『国』というものを作り出した。しかし『法』と『国』を作り出し強大な力を得た人間は神殿を建設した事実を元に自らを神に選ばれた者だと驕り増長を始めた。
それが神代の時代の終わりをもたらす事になる。しかし今はまだ人もドラゴンもお互いが協力して出来た偉業を素直に喜んでいた。
次回予告
神は全ての生き物の創造を終えると、最も気高き黄金竜を自らの伴侶に選んだ。
そして自らの子を黄金竜の元に使わした。
次回 幼女ペロペロ。でも変態ではありません。
次回から更新ペースが少し落ちます。