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第3話 文化竜なら家を建てよう! ~建築資材調達編~

 八首の大蛇を倒して縄張りを手に入れたものの問題が起きてしまった。


 住処がないのだ。ドラゴンである自分は熱さにも寒さにも強いし外敵もいない。別に野宿で暮らしても問題は無いのだが、自分は知恵の有る竜、文化竜である。


 文化竜なら文化竜らしい、ちきんとした住処が欲しかった。


 しかし自分の体に合う洞窟は見つからなかった。それの理由は自分の体が大きすぎるからだ。


 ドラゴンは生まれた時は人間の子供くらいの大きさだ。それが体に溜めておける『マナ』が増えるにしたがって体も大きくなる。


 世界中のパワースポットを周ってみて分かったのだが、通常のパワースポットを治めるために必要な体の大きさは、目安として人を乗せるのにちょうどいい大きさである。これは神様がドラゴンを生み出す時に人間を乗せて飛ぶ事を考えてこの大きさにしたのだと考えられる。


 つまり成人したドラゴンの大きさは2~3メートルという事になる。それに対して自分の大きさは15メートルくらい有る。


 これはティラノサウルスよりも一回り大きくて人間は一口でペロリと出来てしまう大きさになる。(余談だが八首の大蛇も大きさは15メートル級でここのパワースポットの『マナ』が他と比べて異常に多い事が伺える)


 そんな自分の体が収まる洞窟は見つからなかったので、(と言うよりも大きな山そのものが無かった)地面に穴を掘ろうと考えた。しかし穴を掘ってみて数メートルで挫折した。穴を掘ったら水が湧き出てきたのだ。


 どうやらこの土地は地下水脈が張り巡らされているらしい。これでは迂闊に掘り進める事が出来ないと困っていると神様の声が聞こえてきた。


(悩めるドラゴンよ、神のお告げを受けるが良い)


 いつものようにふざけたノリで声をかけてくると、神様は自分にある森へ行けと言ってきた。


(その森はパワースポットの真上に有ってね。『マナ』の影響を受けて一部の木々が異常成長しているんだ。最初は害が無いから放っておいたんだけど、異常生長した木々が周りの木々の日光やら養分やらを奪い始めてね。このままだと森が死んでしまうから間引きをお願いしたいんだよ)


 それならまだ縄張りを持っていないドラゴンに言えばいいのではないのだろうか?


(うん、一応近くのドラゴンに神託を下したけどね、君にも行ってもらいたいんだ。間引いた木々は君のマイホームの建築資材にしていいから)


 建築資材……。確かに穴を掘れないのなら家を建てるしかない。どういう巣を作るにしろ資材は多い方が良いに決まっている。なので自分は神様に言われた森に向かう事にした。


 そして森に着いて一番に思った事はこれは酷いであった。


 所々に樹齢何百年?という木が飛び出ていて。その周りでは木々が枯れかけ大地は水分を失い荒廃しかけていた。


(ほんの数年でこうなってしまったんだ。後数年もしたら手遅れになってしまう)


 神様の言うとおり、このままでは本当に森が死んでしまう。だから異常成長した木々を引き抜く事にした。


 まず異常成長した木がどのくらい根を張っているのか確かめるため、適当に一本選んで引っ張ってみた。するとまるで雑草を引き抜くかのように簡単に抜けた。


 抜いた木を森の外に置いて自分は次々と木を引き抜いていった。


(僕が作った体ながら君は規格外だね。森の民が頑張っても傷1つ付けれなかった木々を雑草を引き抜くかのように……)


 全ての木を引き抜くと神様がそんな事をぼやいた。そして視線を感じたので見ると神様の言う森の民らしき集団が自分の事を見て崇めていた。


 声をかけると面倒な事になりそうなので無視して抜いた木を持ち帰ろうとすると、一体のドラゴンがこちらに向かって飛んできた。


(兄さん!兄さん!兄さん!)


 5メートル級の大きさのそのドラゴンは自分の次に生まれた弟くんだった。


(兄さん!神さまに言われてここに来た。ここ兄さんの縄張り?)


 違うと伝え、弟くんがここを縄張りにすると嬉しいと伝えると、弟くんは尻尾を振って喜んだ。


 この森の事は弟くんに任せて木を運ぼうとすると弟くんが手伝うと言い出した。


(兄さん!ボク手伝うよ)


 自分の次に生まれたので一番面倒を見た所為なのか、弟くんは自分に懐いている。そんな弟くんに自分の縄張りの場所を教えるつもりで木を運ぶのを手伝って貰った。


 それからこの森は弟くんの縄張りになった。弟くんは森の民と共存してやがて深緑の竜王と呼ばれるようになる。

 

 また弟くんがいながらも木々の異常成長は完全には無くならなかった。しかし遠い未来で異常成長した木は最高級木材として高値で取引される事になる。それが大きな不幸を呼び込む事になるとは知らずに……



 次回予告


 神の使いの黄金竜人々の願いに応えて降臨する。黄金竜人々を救いし後竜王を遣わして守護者とせん。


 人々感謝して黄金竜の神殿を建てん。


 次回 文化竜なら家を建てよう! ~マイホーム完成編~

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