血肉祭彼女
血肉祭の「血肉」って「ちにく」って読むのでしょうか?
それとも「けつにく」って読むのでしょうか?
…読みは内容に関係ないですけど。
前編は下記URLよりどうぞ。
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ルコ「今日は何の日でしょー?」
俺「…それ聞き覚えがあるんだけど」
ルコ「そのとーり! 今日はバレンタインです!」
始まりましたルコの世界。
ルコ「ルコがチョコ作ってあげるから、楽しみにしててね!」
そう言って布団から抜け出し、ネクタイを揺らしつつ台所へと向かって行った。
上機嫌に左右に振れる綺麗なお尻を見ながら二度寝した。
強烈に甘い匂いで目が覚めた。
目の前にルコがいる。ネクタイが見える。
ゆっくりと動いて、顔が視界に入る。
何やら白いものがかかっている。
寝起きの俺に、いったい何を期待しているのだろうか。
俺「…ホワイトチョコな」
ルコ「せいかーい!」
のっそりと起き上がりテーブルの上を見ると、白、黒、赤のチョコが置いてあった。
どれもハートの一口サイズだ。
これがバレンタインのチョコなのか?
ルコにしては普通すぎるが…。
ルコ「左から順番に食べてね」
順番に…? 何か仕掛けでもあるのか?
左からというと…白か。
さすがにこの色に仕掛けなんて…出来ないよな?
若干の不信感を持ちつつ、ホワイトチョコっぽい物を口に入れた。
味わってみても、何ら変わったところはない。
針が入ってるわけでもないし、妙な味がするわけでもない。
いたって普通のホワイトチョコレートである。
ルコ「おいしい? じゃあ次は真ん中のチョコね」
真ん中…黒。
これは細工がしてあっても分かりにくい。
かもしれない運転でいこう。
もしかしたら、この黒色はイカ墨で出しているのかもしれない。
もしかしたら、何かしらの香辛料を使って、とんでもなく不味いかもしれない。
もしかしたら、これはチョコじゃないかもしれない。
…よし。覚悟はできた。さあ頂こうか。
震える手を気にしないで、一気にチョコを口に入れた。
…。
……あれ、おかしいな。
普通だ。
俺「…お前、本当にルコか?」
ルコ「ルコはルコだよ。じゃあ最後の一個!」
最後の一個は赤色。
色的にも順番的にも、一番不安なチョコ。
見た目は他の2つと変わらない。
ルコの顔色を伺うが、笑顔を見せるだけ。
怪しいぜ。これは究極的に怪しい。
俺「ちなみにさ、これ食べても大丈夫だよね?」
ルコ「ダイジョウブだよ」
俺「この赤色はどうやって…?」
ルコ「ヒミツ。食べてから教えてあげる」
あ、これ、ヤバいやつだ。
かといって、食べないという選択肢は残されていない。
意を決してチョコを掴み、口の中へ入れ込んだ。
口内の温度で溶けていくホワイトチョコのような味。
続いてやってくる、おかしな味。
同時にルコが腕を見せてきた。
ルコ「包丁でチョコを刻んでたら、間違えて切っちゃった」
左手首の少し下。
絆創膏が数枚貼られていた。
ルコ「美味しかった?」
俺「…なんとかな」
ルコ「ルコが体の中で血となり肉となるんだよ」
俺「傷口は大丈夫か?」
ルコ「うん、平気だよ。いつもの事だもん」
…どう解釈したものか。
普段から料理に入っていたのか?
ルコ「お返しは、今日中だよ?」
俺「『お前の中にホワイトチョコを流し込んでやるぜ』と言ってほしいのか?」
ルコ「好きにしていいよ」
ルコは俺にくっ付いて、上目遣いで見つめてくる。
小さな胸が俺の体に当たっている。
俺「ちょっと…ちょっと落ち着けよ」
ルコ「でももうここは…」
待て待て。このままでは獣になってしまう。
それにしたって、確かにいろいろと込み上がって来る感情はあるが、これは異常じゃないか?
体の芯から温まってくるような…。
いつもの比じゃないのだが。
俺「一つ聞いていいか?」
ルコ「ほうひたほ?」
どこに隠し持っていたのか。
いつの間にか、自分の口に赤色のチョコを半分咥えている。
まるで、このまま口づけしながら一緒に食べよ、と言っているような仕草だ。
俺「お前…チョコに何入れた? 正直に言ってみろ」
ルコ「へいひょくはい」
俺「…何だって? 漂白剤?」
次の瞬間には口をふさがれた。
ルコの口で溶けていたチョコが、俺の口の中へと流れ込んでくる。
完全に液体となったチョコを、俺の口に移動させたりルコの口の中に移動させたり。
何往復もさせ、最終的に半分半分に分けて飲み込んだ。
俺「…ホント、お前って奴は…」
ルコ「チョコに入ってたのは、精力剤でしたー」
俺「納得…って、そうじゃないわ! なぜ持ってる!」
ルコ「買ってきたからだよ?」
俺「当たり前だ! そういう事じゃなくてだな」
何言っても無駄だろう。
チョコのキスの時から、ずっと俺の下腹部を撫でてきてるし。
薬なんて無くても反応してしまうのに、もう我慢も限界に近い。
ルコだってそれを分かってて撫でてるんだから、遠慮は必要ないよな。
事あるごとにやってる気がするけど、まぁそんなの気にしたら負けだよな。
俺「ホワイトチョコはどこにして欲しい? 言ってみろ」
ルコ「どこでもいいよ。たくさんかけてね」
顔、胸、その他数か所にホットなホワイトチョコをぶち撒け、一緒に風呂に入った。
風呂の中でも、後ろから抱き付いてきたルコが俺のチョコ製造機を弄り回した。
背中にほんわか柔らかい感触のものを二つ押し当て、「仕方なく」再戦。
これが薬の効果か。すげぇな…。
そのせいで、再び体を洗う羽目になった。
このままでは無限ループ確定。
ルコ「お風呂気持ちよかったねー」
ようやく風呂から上がって、満面の笑みでそんな事を言われたら、もう許すしかない。
しっとり濡れたルコの髪を撫でていると、左手首が見えた。
風呂に入った時に剥がれ落ちたのだろう。絆創膏はなかった。
ついでに、傷もなかった。
綺麗な腕をしている。
俺「…包丁で切った傷は、まだ痛むか?」
ルコ「あれはウソだよ?」
隠す気もねぇ。堂々と言い切りやがった。
俺「え、じゃあ赤色はどうやって。食紅か?」
ルコ「そのとーり!」
ルコは俺の手を掴み、台所まで引っ張っていった。
ほとんど片付けられていたが、コンロの上にステンレス製のボウルに入ったチョコが残っていた。
ホワイトチョコだ。余りなのだろうか?
おもむろにそのボウルを持ち上げると、俺に向かって一気にブッカケた。
風呂の温度と再戦のせいで暑かった俺は、パンツしか履いていなかった。
つまり、顔と上半身はチョコまみれ。
体を伝ってパンツにまで浸食されそうになっている。
もちろんの事、床もチョコの被害を受けている。
ルコ「お風呂での仕返しー!」
またも風呂行きになったのは言うまでもない。
おちゃめなルコかわいいよ。
実際に血を入れたチョコってどうなるんでしょうね?
怖くて実践できませんが。
続編は下記URLからどうぞ。
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