第6話〝こんなにも遅い自己紹介!〟
(おいおい、俺は何でこの子を自分の家に連れてきたんだ?)
俺の家は『ごっつええアパート』(大家命名で、『ここは関東だからわざと関西なまりにしているところがミソ!』というわけのわからん付け方)という名のごく普通の二階建てアパート二階に位置している。
まずドアを開けると狭い玄関があり、真っ直ぐの廊下で途中の右側に風呂がある。その向かいにトイレが。そのまま真っ直ぐ進むと扉があり、開くとすぐ右側にキッチンがある。
ここからがポイント。なんと縦長四畳半の部屋が小さな居間を挟んで二つもあるのだ!俺がこのアパートを選んだ理由のひとつだ。
もうひとつが、家賃が意外にも安いからである。ほんと助かっている。大家以外は最高の物件。
そんなことはどうでもいい?そうだ、どうでもいいんだよ。でもときどきはどうでもいいことも大切であると…、はいすみませんでした。でも別に知っていて損はないだろ?
はいはい分かった分かった!でもな俺だってこんなこと言いt「おーい!!」
「うおぉっ! なんだ?」
「さっきから話しかけてんのに無反応っ!」
頬をふくらませながら怒っているのを見るのは何か懐かしいものを感じさせた。
「すまんすまん。それで何の話だっけ?」
「女の子の年齢を重ねるごとのパンツの変化についてだよ!」
「一言もそんな話してないよね!?」
「でも心の中では考えてたでしょ?」
「君のなかの俺は一体どんな奴なのか聞かせてもらえないかな!?」
「イタ……リア~~ン!」
「君はよほどのMなようだ」
少女の頭をめがけて俺の利き腕(右)は空中をさまよう。もちろん制裁をくわえるため。
「そ、そうだそうだ!あたしの名前が何なのかっていう話だったよね!!」
「今はもうそんなことどうでもいい」
俺の右手は少女に迫る…
「ちょっ、ちょっと待った! あたしの名前は小鷺谷 雛っていいます!」
「ほう…、かわった名字だな?」
「で、でしょ?」
「そうかそうか……。でもドーーン!!」
「いった~~~いっ!!」
一拍置いてからの頭鷲掴みの刑(俺命名)をきめてやりましたよ。
「まぁ、俺の名前は八坂 優だ。よろしく」
「うぅ…漢字は優しいって書いてあるのに…この親不孝者」
「雛ちゃん、いくつ?」
つとめて明るく問いかける。
ちなみに俺はまだ誕生日がきていないので16才だ。
「今年で10才になる9才!」
「なら10秒だな!」
「ん?何が?」
「これだよ~~!!」
「ぎゃ~~~!!」
一体1日に何回させるつもりなんだよ。
俺の握力のほうがもたない。
とうの本人は涙目になって未だに叫んでいる。
近所迷惑だぞ!