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こんなにも狭い地球の片隅で!  作者: 枝野葉二 (LAND59)
第3章:ありったけの日常!?
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第18話〝こんなにも後輩ランデブー!〟

 ロールケーキを食べ終え教室に戻った俺は、口の中の水分をロールケーキにすべてもっていかれパッサパサの状態でその後の授業を受けることとなった。今年一番の口のパッサパサ具合だった。どれくらいパッサパサだったかというと、何日間も放置された消しゴムのカスくらいパッサパサだった。4限終わりの休憩時間に隣の席の白川さんがバームクーヘンをくれた。口がパッサパサな俺を完全に仕留めにきているとしか思えなかった。でも白川さんからの愛のバームクーヘンだ。もちろん食べた。ちょいちょい喉にひっかかったが問題ない。そして美耶からのクロワッサンのプレゼント。とりあえずド突き回して圧縮した。その後、天使(蓬)からの緑茶の差し入れ。ほんともう結婚してくださいっ//



 そしてなんなく放課後。俺は下校している。その途中こんなことを考えてみる。

 放課後といえばなんだ。部活だとか習い事だとか、とある都市伝説上では男女でそのまま遊びに行く?(なにそれランデブー?)をするだとか聞いたことがあるようなないような。いやある。しかし『男女で遊び(ランデブー)に行く』だとかいうのはまさしく都市伝説であり、まやかしである。現に俺はそんなもの(ランデブー)に行った記憶がない。だが男友達とは時々遊びには行ったりもする。つまり男とランデブー。

 だから俺は時々この学校は本当は男子校なのではないのだろうか。とか思ったりもする始末。つまり現実逃避という名の一人ランデブー。超楽しい。

 

 そもそも俺には女の友達が少ないような気がする。

 まあ、美耶は女だ。女だが幼馴染だ。つまり男だ(意味わからん)。だから除外。弥生さんは優しい女性だ…が変人だ。だから除外。蓬は男だ。知り合いの中では一番女っぽいが、非常に遺憾ながら断腸の思いで男だとする。だから除外。………、あれ? 俺友達少なくね? さっきの『男友達とは時々遊びに行ったりもする。つまり男とランデブー』の男友達は蓬のことだしな…。男(蓬)とランデブーか…、悪くないな//


「なんでナチュラルに私の名前が出てこないんですかねぇ、先輩?」

「なんでナチュラルに人の思考を読むんですかねぇ、後輩?」


 いつのまにか隣には人の思考を読む涼村がいた。


「先輩! 私女の子ですよ! 花も恥じらう乙女ですよ!」

「ははん?」

「なんですかその反応!? なんかちょっとイラっとしましたよ!?」

「俺のパンツを見ても平気なお前が花も恥じらう乙女だと? 花に謝れ」

「花に謝れ!? もうっ、まだ例の件引きずってるんですか?」

「例の件って、かっこよく言うなよ。ちょっと良いなって思っちゃうだろ」

「なら代わりに私のパンツ見ますか?」

「花も恥じらうは乙女は!?」

「まあ履いてないんですけどね」

「パンツは!?」

「冗談ですよ~! 先輩のリアクションが面白くてついからかっちゃいます!」


 くそっ。こんなアホも恥もなにもかも丸出しそうな後輩にまでからかわれるとは。

 …てか、待てよ?


「なあ後輩よ」

「なんですか先輩?」

「お前帰り道こっちじゃなくね?」

「おお、よく覚えてますね」

「たしかお前の家は二個前の信号を右に曲がった先にある公園の公衆トイレの個室の一番奥だろ?」

「先輩の私への扱いがひどい! そして細かい!」

「まあそれは冗談だとしてもだ。ほんとにこっちじゃないだろ?」


 たしか後輩の家はその公園の近くだったはずなのだが。


「はい! 今日は先輩の家にお呼ばれなので」

「…ちなみに誰先輩?」

「八坂先輩ですよ」

「ははは、だよね…」


 やばい。涼村は本当に今日俺の家に来るつもりらしい。

 それはまずい。家には前にも言ったとおり厄介さん(雛)がいる。雛も一応生物だ。エロ本のように押し入れに長時間隠しておくわけにもいかない。

 面倒だから急用ができたことにして断ろう。うん、それがいい。


「なあ涼村、すまんが今日急用が――」

「あっ! 先輩の家に行くのになにもなしじゃ悪いと思ったので、手土産買ってきましたよ! ほんのささやかな」

「いや、そんな気を使わなくても――」

「最高級ボンレスハム(定価2万5千円)」



 いっきに断り辛えええええぇぇぇえええぇぇえぇええぇ!!!


 なんでささやかな手土産で最高級ボンレスハム買ってくるんだよ! お歳暮じゃねーんだよ! いやお歳暮でもそんな高いボンレスハム贈らねーよ! ここまでくると子供も「ハムの人」じゃなくて「すごいハムの人」ってワンランク上のあだ名を付けちゃうレベルだよ! てか木の箱から出てきたよ! 高級感満載だなっ!!


「お、俺ん家なんかでよければどうぞ…はは」

「では、お言葉に甘えて!」


 なにがそんなに嬉しいのか、涼村は俺の隣で満面の笑みを浮かべ最高級ボンレスハムを胸に抱えている。(別におっぱいがボンレスハムだと言いたいわけでは決してない)

 

 これは断れるほうがおかしいって。無理だよ。ここまでされたら俺には断れないよ…。ふぇぇん。


 すでにあと5分足らずで俺の家に着いてしまう帰り道。


 ここまできたらもう腹をくくるしかない。






 (とりあえず雛を押し入れに隠すか!)



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