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こんなにも狭い地球の片隅で!  作者: 枝野葉二 (LAND59)
第3章:ありったけの日常!?
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第14話〝こんなにも俺は卑屈なのか!!〟

「くっそー、誤解なのにぃーー」


 ただいま俺は逃走中。

 というか、一人でクラスの連中の嫌な目から逃げ出しただけなのだが。


「ううっ、このままじゃもうクラスには戻れねーよ…」


 美耶のせいで、クラスで俺は変態のレッテルを貼られてしまった。

 

 くっ、俺は変態なんかじゃないんだぞ? どちらかというと紳士だぞ! …たぶん。


 だけど…


『なんだよ変態って。俺みたいな紳士が変態? はっ、笑わせるな! 俺が変態なら、この世の男という男は皆変態なんだよぉ!!』


 なんて言えるわけもなく。


『変態? そうだよ、俺は変態だよ。変態紳士ですが何か?』


 なんて開き直えるわけもない。


「くっそーーーーー!」


 俺は叫びながらおもむろに走った。

 なりふり構わず走った。

 途中で『やだ、なにあの人? チョー迷惑なんですけど?』なんて聞こえたが、かまわず走った。


「あっ、せんぱーーい!」


 なんて聞きなれた声で聞こえた言葉も気のせいだということにして走る。


「ちょっ、先輩! 無視はヒドイですよー!?」


 ん? やっぱり俺なのか?


 走りながら振り返ると、見慣れた後輩が笑顔で手を振りながら走って追いかけてきている。


「あっ、気が付いてくれた! のに無視!? 待ってくださいよー、私ですよー八坂せんぱーい」

「誰だろうと待つわけにはいかない! 俺は待てないんだ。そういう風に生きてきたんだ!」

「なんて面倒くさい生き方を!?」


 もう一度振り返るが、まだ追ってきている後輩ちゃん。


「お子様はおとなしくお家に帰るんだな!」

「ヒドイですよ先輩! 私はお家よりも先輩の胸の中に帰るんですから!」

「意味わっかんねーよ!」


 まだ笑顔で追いかけてくる後輩。


「頼むから察してくれよ! 俺を一人にしてくれー」

「大丈夫ですよ先輩! 一人になりたいときは私の胸に飛び込んできてください!」

「だから、意味わかんねーよ!」


 俺の気持ちをなかなか察してくれない後輩が一人。


「もうほっといてくれ! 俺はもう二度と社会復帰できないんだよー!」

「そんな、どこぞのニートみたいなこと言わないでください! 大丈夫ですよ、先輩には私がいるじゃないですかー」

「だからなんだよ!? お前がいたって俺はニートになるんだよぉーー!」


 なんか前提が変わっているような気がするが、もうそんなことはどうでもいい。

 

 ニート王に俺はなる!


「ニート王ってなんですかー?」

「え!? 声にでてた!? 恥ずかしすぃ~~~~//」


 もうダメだ。このまま俺はどこまでも行ってしまおうではないか。


「大丈夫ですよ先輩! かの有名なアニメの名台詞のパクリだってこと、私には分かっていますからー」

「…わたしは鳥になりたい」


 もう走るのも疲れたよ。ああ…、わたしが鳥だったのなら、どんなによかったことだろう。


「今なら飛べるような気がする…」

「無理です先輩!! 人間は単体では飛べませんから!! 変なこと考えないでくださいよ!?」


 俺は手を羽ばたかせながら階段を駆け上がっていく。


「よかった…階段を上るだけですか。心配させないでくださいよ先輩。…先輩? それ以上行くと屋上ですよ…、ってまさか!?」


 俺は屋上へと繋がる扉をこの大きな片翼(右手)で開けた。


「これで大空へ羽ばたける…。俺を縛るものはもう何もないんだ」

「先輩!? 洒落になんないですって! ちょっ、うそでしょ先輩!?」


 フェンスを登る俺は鳥。…いや天使なのかもしれない。


「ああ神様。やっとわたしは罪が許され、天界へと還る時がきたのですね…。いま逝きまヘブシッ!!」


 顔面がフェンスへとぶつかって変な声がでた俺エンジェル。


「ダメです先輩! 早まっちゃダメですぅ!!」


 半泣き状態の後輩が、俺の脚を掴んでブンブンと振りまわしながら下へ下へ引っ張っていた。


「は、離せ悪魔め! わたしは天使だ。堕天使などではないぞ!」

「ダメですー! 先輩ダメですー! 死んじゃイヤですー!!」

「くっ、離せ。 俺は天…わかったわかったから! マジで離してくれ! 危ないからーー!」


 ほんの冗談のつもり(たぶん)だったのだが、本気で脚を引っ張って俺を助けているつもりでいる後輩。

 結構高くまで登ったから、はっきり言ってこのまま屋上の方に落ちたとしてもヤバイ気がする。


「先輩考え直してくださいぃぃ! もう私、好き嫌いしませんからー! 牛乳も飲みますから~!」


 俺関係なくない!? なんて言ってる暇も無い!


「わかった、わかったから!! 手を離してくれ!」

「ほ、ほんとですか?」

「ああ、本当だから。な?」

「あうぅ」


 やっと素直に降りていく後輩。


 (いや、マジであぶなかった。)


 と思ったら


「なんで俺のズボンの裾を掴んだまま降りようとするんだー!!」

「へ? だって離したら、また先輩が天使になろうとするかもしれないじゃないですか?」

「しないから! おとなしく降りるから! このままじゃ俺じゃなくてズボンだけがりちゃうから!!」


 こんなところでズボンを下ろされたら、校庭にいる生徒に丸見えになるだろ。そんなことになったら俺はもうお婿にいけなくなっちゃうだろ//


 だからなんとしてもズボンだけは死守する!




 ズルリッ




「あっ…」



 ………………。



「イヤアアアアァァァアアアァァアアア//」←俺









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