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巡る魂のわっか

グラマーなお姉さんは好きですか?

作者: 寺越巧


「うふふ、また来てちょうだいね」




カランカランと小さな音を立てて扉を開けて若い男女が出ていく。

それをニコニコとポーラは見送ると古ぼけた、けれど、細かな細工の入った木の机から帳簿を取り出し眺める。



「ええっとー、あの子達の分は渡したから・・・ああ、あとこれは今日の引取の予定ね。こっちのは明後日までで構わないのね。」



サラサラと羽根ペンで帳簿に書き付けて、これから片付ける仕事の予定を組んでいく。

今日は新しいアクセサリーでも作ってみようかしらと素材の在庫表もペラリとめくっていると扉の向こうからバタバタと荒い足音が響いてきた。それを聞き机に広げていた帳簿を片付け艶美な笑顔で客を出迎えるのが彼女のスタイルだ。

ガランと大きな音を立てて扉鈴を鳴らすのは体躯のがっしりした、しかし歳若い青年である。



「あら、いらっしゃい。今日はどういったご用件かしら」



「あ、あああのポーラさん!ここんにちは。えええとですね、き今日はリキエの花の髪飾りを下さい!」



「ふふ、今日はあまり忙しくないからそんなに慌てなくても構わないわよ?」



ポーラは後ろを振り向いて商品棚からリキエの花を取り出ろうとする。後ろを振り向いた際の動きでたゆんと豊満なバストが揺れ若い青年はくぎづけだ。

身体のラインの出るドレスはロングだが、深いスリットが入っているため白い脚がちらちらと覗いている。


「在庫は3つね。いくついるかしら」



リキエの花の髪飾りとは特殊カテゴリに属し、アクセサリーの本来の特性である能力アップではなく、一度だけ攻撃を代わりに受けてくれるという一回こっきりのアイテムである。どんな攻撃でも一回とカウントされて壊れる為、あまり需要のないアイテムではある。

しかし近接戦闘の苦手な魔術師などにはそれなりに売れる。あまり矢面に立たない為攻撃を受ける事が少なく、また防御力も大した事がないからだ。

またそれとは別に、戦闘要員でない一般人にも意外と売れる代物だったりする。

というのも、細工自体は見事な髪飾りなので一般的に髪につけていても問題ないものな上、一度は守ってくれるのだ。その特性から過保護な父親でなくても娘に贈ったりするし、恋人同士でもある。

なのでどこの細工師でも必ず在庫を持っているのだ。



けれどポーラには、この青年がそんな使い方をしているとはどうにも思えなかった。


目の前にいる青年は完璧なファイタータイプであり、魔術師所か完全に壁要員である。かといって贈り物にしているかと思うには毎回買いあさっていくのである。




「あ、えとじゃあ3つとも下さい。」



「なら3銀貨と6白貨ね。はいどうぞ。」



そっと差し出されたリキエの花の髪飾りを受け取ろうとしてその白魚のような指が青年の指に当たる。ほんのりと顔を赤くする青年の目線は勿論胸元である。両手を合わせた時に出来た白い谷間に目が行っている。



「うふふ、それじゃあまたね。」



夢心地でふらふらと出ていく青年を見送りながらポーラはふうとため息をつく。あの青年の目当てが自分だということくらいは簡単に想像がつく。



「またリキエの花を依頼しないとねぇ。」



カリカリと台帳に数量をメモすると他に切れているものはないかとチェックする。



売る為に純情な青年に使いもしないものを売り付ける事に勿論罪悪感はない。好きな人に会うための口実として考えれば、むしろ単に小さい子に向ける微笑ましいだけの感覚だ。

別に他のキチンとしたアクセサリーを買えば自分の強化も出来て一石二鳥なのだろうに、アクセサリーはやはり高価なものであり、一番安価なリキエの花の髪飾りで回数に走るのは当然で、ポーラも負担にならない小金稼ぎが出来ているのである。



自分にとってリキエの花飾りなんてあくびをしながら作れるものだ。こんな誰でも作れるようなもの、ポーラには子供の遊びにしか感じられない。けれど売れる。売れるものは作る。こんなレベルじゃ私の細工魂が満足しないなんてこれっぽっちも思っちゃいない。


ポーラは過去、何度もこのような仕事について居たためその経験値が引き継がれている。それが理由での細工レベルの高さであり、特段こだわりがあるわけではない。



転生、という言葉がある。


ポーラは何度もそれを繰り返している。今が何度目なのか数える気も起こらないくらいには。



中には相当貧乏だって経験したポーラは、いつしかこう考える。



手に職は必須。



戦闘要員は生まれ変わる度鍛える必要があるし、毎回モンスターのいるようなデンジャラスな世界に生まれる訳じゃない。



ならばどうするか。

答えは生産系の職につく事であった。特に細工師などは最悪木とナイフさえあれば観光客むけの細工だって出来た。その為何度もその職を選んできた。いつかの生では絶えた技術の伝承者として国宝と呼ばれた事だってある。

けれどポーラにとって、良い細工を作れるというのはいつだってただの手段だった。

生きるために。

その手に抱えた我が子達の為に。



いつだって女手一つで子供達を育ててきた。今我が子が居ないのが不思議なくらい、ポーラは子供と生きてきたのだ。




ああ、この戦争が終わったら子供を作りましょう。

大分稼がせて貰ったので貯金もあるし、腕さえあれば食うに困らない事を経験上知っている。




「さぁて、お仕事お仕事。」



そうして彼女は今日も細工を作っていく。今はかつての曾孫達よりも若い子達の為に。








____________


細工屋のお姉さん

バインバインのグラマラス美女。まるで全ての人を見守るような広い心の持ち主。見た目は年齢不詳だが大体20〜30にかけて表に出てる。

思考はおばあちゃん。

全ての生を100オーバーという大往生型。子供も沢山孫も沢山な多産長寿家系の為死ぬときには100人規模の子孫曾孫たち。バインバインな乳と尻は実のところ田舎の考えででかけりゃこどもを沢山埋めるとおもっているから自分で長い年月かけて生み出した美容法ででかくしている。


大抵記憶もありだが、どれも長いせいかいつもおばあちゃん気質でおっとりしてる。手に職さえあれば子供を育てていけると身体が覚えているため細工系の仕事に貪欲。その腕はいつだって国宝級。子供とかに商売上手がいれば相当儲ける。財閥を一世代できづいちゃったりする。

そんな彼女の運命は増やす者。何を増やすのか、それはご想像にまかせる。

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