傀儡への囁き
掲載日:2026/09/18
理不尽な死を遂げた者たちの、ただ浮遊するしかない塊に機会がおとずれた。
王にこちら側へ来てもらうこと。
顔の形が歪んでいくような叫びをあげ、その地にゆっくりと舞い降りる。
市民を巻き込んではならない。何の意味もない。その王ただ一人を、この塊の世界へ連れて行く。
執行者は、誰がいい。
決まっている。側近たちの誰かだ。
塊は、傀儡でしかない側近の脳内へ直接語りかけた。
「今なら、お前がトップになれる。昔、思い描いていた通りの世界を作れるんだよ」
心動かされる何人かの側近、しかし、その中にはあの王と完璧な繋がりがある男がいた。
AIの知能爆発が起きた。
大停電だ。
暗闇の中、防備を失った王へと塊が近寄る。
王は逃げられない怖さに耐えかねて、窓ガラスから飛び降りる。
終わった......
忠実な側近の脳内には、すでに王のチップが組み込まれて数年前から脳細胞が侵されていた。
次の王は君だよ。
頭の中で王が喋っている。




