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異世界リロード 〜没落貴族ですが、現代FPS知識で戦場を無双します〜  作者: 雪消無
第7章 : 『魔族領域の秘密と、転生者の遺産』

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聖典の真実

翌朝、レンが客室に戻ると、人間の姿に戻っているレンをみて、全員が心配そうに迎えた。


「お兄様!」


リシアが兎の耳をぴょこぴょこ動かしながら、レンに駆け寄った。魔王城の客室に案内された一行は、レンの帰りを心配そうに待っていた。


「大丈夫だったの?」


カティアが猫の尻尾を振りながら尋ねた。


「ああ、大丈夫だ。それどころか、重要なことが分かった」


「お兄様、長い話し合いでしたね」


リシアが兎の耳を心配そうに動かした。


「ああ。この国の情勢について詳しく聞いていた」


レンが話を続けようとした時、扉がノックされた。


「入ってくれ」


現れたのは魔王ルシファードと、古い書物を抱えた侍従だった。


「皆さん、改めてよろしくお願いします」


ルシファードが丁寧に頭を下げた。


リシア達は魔王の態度の変化に何があったのかと驚いた。

ルシファードは、リシア達にレンと事前に話し合った範囲でこの国に状況を伝えた。


「実は、この国は現在、非常に危険な状況にあります。私もその後、安易に招待状を送ってしまったことを反省しました。軽率に招待に応じていたら、巻き込まれていたかもしれません。まずはお詫びいたします。」


「危険な状況?」エレノアが身を乗り出した。


侍従が大きな書物をテーブルに置いた。それは先ほどの聖典とは明らかに違う、古くて分厚い本だった。


「これが本物の聖典です」


ルシファードが説明した。


「私の曾祖父が直接書いた原典です」


「本物?」皆が驚いた。


「はい。今まで民衆に見せていたのは、後の世代が政治的に改竄したものです」


ルシファードが聖典を開いた。そこには、確かに古い日本語で書かれた文字があった。


「これは...」


レンが文字を見て驚いた。


「レナード様、読めますか?」


ルシファードが期待を込めて尋ねた。


「少し...古い文字だけど前に学んだことがある」


レンは自分が転生者であると気づかれないように慎重に答えた。


「『すべての種族は平等であり、互いに助け合って生きるべし』」


みんなが息を呑んだ。


「お兄様、すごいです!」


リシアが感激した。


「『強い者は弱い者を守り、知恵ある者は無知な者を導け。しかし、それは支配ではなく、愛である』」


「素晴らしい教えですね」


イリヤが感動した。


「私の曾祖父は人間でした」


ルシファードが説明した。


「遠い日本という国から来て、人間に魔族や獣人族が迫害されているのを見て、この国を作ったんです」


「人間に…」


「それで文化が残ってるのね」


カティアが納得した。


「でも、なぜ改竄されたんですか?」


エレノアが尋ねた。


「私の祖父の代で、魔族の中に権力欲の強い者たちが現れました。彼らは聖典の教えを都合よく解釈して、魔族優位の体制を正当化したんです」


「それは許せないね」


セレスティアが憤った。


「私も長い間、本当の聖典を復活させたいと思っていました。でも、一人では限界があった」


ルシファードがレンを見た。


「だから、レナード様のような方に協力をお願いしたかったんです。招待状を送らせていただいたのも、そのためでした」


「そしていま、この国には大きな問題があります」


ルシファードの表情が暗くなった。


「どんな問題ですか?」


リシアが心配そうに尋ねた。


「魔族の貴族の中に、私が人間の血を継いでいることを問題視している者がいます。アークヴァルド・ダークフェルという貴族が首謀者で、クーデターを企んでいます」


「それは危険ですね」


エレノアが答える。


レンが立ち上がった。


「だから魔王は我々に協力を求めているんだ。奴らは来週の収穫祭で何かを仕掛けてくるらしい」


レンは「古の門」については、まだ仲間たちには話さなかった。あまりにも重大な情報で、慎重に扱う必要がある。


「それは民の平和にとっても重大な問題ですね」


イリヤが精霊族らしい美しい声で心配した。


「ああ。だから我々には、やらなきゃならないことがある」


レンが決意を込めて言った。


「このクーデターを阻止し、この国の平和を守るんだ」


「分かりました、お兄様」


リシアが兎の瞳を輝かせた。


「私たちも覚悟はできています」


イリヤも続く。


こうして、聖典の真実を知ったレン達は、クーデター阻止に向けて動き出した。

そして、「古の門」という世界の命運を左右する謎も、レンの前に立ちはだかっていた。

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