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異世界リロード 〜没落貴族ですが、現代FPS知識で戦場を無双します〜  作者: 雪消無
第6.5章 :『温泉と仲間たち』

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夜語りと朝の出発(後編)

 温泉から上がった後、みんなで宿の談話室に集まった。


浴衣姿でくつろいでいると、自然と会話が弾む。髪を下ろした女性陣は、普段とは違う魅力を醸し出していた。


「それにしても」


カティアが浴衣の袖を直しながら言った。


「神聖王国の人たちの最後の笑顔、良かったですよね」


カティアの浴衣は薄い桜色で、彼女の明るい性格によく似合っていた。髪を緩く結い上げて、普段のアクティブな印象とは違う上品な美しさを見せている。


「ああ。あの時は本当にホッとした」


レンが頷いた。


レンも紺色の浴衣を着ていて、いつもの冒険者装備とは違う落ち着いた雰囲気だった。髪も少し湿っていて、普段より年相応に見える。


「レナード様が最後に言った言葉、とても印象的でした」


イリヤが思い出すように言った。薄紫の浴衣に身を包んだ彼女は、まるで貴族の令嬢のような上品さを醸し出している。


「『みんなで協力すれば、きっと良い国が作れる』って」


「当たり前のことを言っただけだ…」


レンが照れくさそうに答えた。


「でもその当たり前が難しいんです」


エレノアが真剣な顔になった。深緑の浴衣を着た彼女は、普段の知的な美しさがより際立って見えた。髪を下ろしているせいか、いつもより柔らかな印象だ。


「特に最近は、各国の関係がギスギスしてますから」


「そういえば」


セレスティアが思い出したように言った。彼女は黄色い浴衣を着ているが、少し着崩れているのが職人らしい。でもそれがかえって自然体で魅力的だった。


「魔族領域からも不穏な噂が聞こえてくるよな」


「魔族領域?」


リシアが首をかしげた。


リシアの水色の浴衣は清楚で可愛らしく、金髪とよく合っていた。普段の活発さとは違う、おしとやかな魅力を見せている。


「昔から人間とは距離を置いてる連中だ。でも最近、妙に動きが活発になってるって話だ」


「気になるな…」


レンが呟いた。


「でも今日は考えるのはやめましょう」


カティアが明るく言った。


「せっかくの温泉なんですから、リラックスしましょうよ」


「そうですね」


エレノアが微笑んだ。


「今日は久しぶりにゆっくりできそうです」


「それにしても」


リシアが嬉しそうに言った。


「みんなで浴衣を着るなんて、なんだか新鮮ですね」


「確かに」


イリヤが微笑んだ。


「普段は冒険者装備ばかりですから」


「カティアちゃん、その浴衣よく似合ってるよ」


セレスティアが褒めた。


「ありがとうございます!セレスティアさんも素敵です。黄色がよく似合ってます」


女性同士の褒め合いに、レンは苦笑いしながら見守っていた。こういう平和な時間も、たまには悪くないと思う。


「あ、そうだ」


セレスティアが手を叩いた。


「宿の人から聞いたんだけど、明日の朝に朝風呂に入ると、さらに効果が高いらしいぞ」


「朝風呂!いいですね」


リシアが目を輝かせた。


「じゃあ明日も早起きしましょう」


イリヤが賛成した。


みんなで他愛のない話をしながら過ごす時間は、とても貴重だった。戦いや陰謀から離れて、ただの仲間として過ごせる瞬間。


「そういえば」


エレノアが思い出したように言った。


「みなさんは将来、どんなことをしたいんですか?」


「将来?」


カティアが首をかしげた。


「冒険を続けるのもいいですが、いつかは落ち着く時も来るでしょうし」


「私は、」


セレスティアが即答した。


「もっと技術を磨いて、すごい武器や道具を作りたい」


「セレスティアさんらしいですね」


イリヤが微笑んだ。


「私は...故郷に戻って、みんなに旅の話を聞かせてあげたいです」


「素敵ですね」


リシアが言った。


「私は...お兄様と一緒にいられれば、それでいいです」


「リシア...」


レンが少し困ったような顔をした。


「カティアちゃんはどう?」


エレノアが尋ねた。


「んー」


カティアが考え込んだ。


「みんなでお店でもやったら楽しそうですよね。冒険者向けの宿屋とか」


「それいいね!」


セレスティアが乗り気になった。


「俺が武器の修理もできるし」


「エレノアさんが情報収集と会計」


イリヤが続けた。


「リシアちゃんが看板娘で」


カティアが楽しそうに言った。


「レナードさんが店長!」


みんなの視線がレンに集まった。


「え、俺?」


「当然でしょう」


エレノアが微笑んだ。


「みんなのリーダーなんですから」


「なんか」


レンがぽつりと言った。


「こういう時間って大切だよな」


「そうですね」


エレノアが頷いた。


「私たちも普通の人間ですから、たまには息抜きが必要です」


「でも」


カティアがいたずらっぽく笑った。


「レナードさんは普通じゃないですけどね」


「え?」


「だって、こんなに頼りになる人、滅多にいませんよ」


「そうですそうです」


リシアが嬉しそうに言った。


「お兄様は最高です」


「褒めすぎ!、なんも出ねーぞ」


レンがちょっと照れた後、苦笑いした。


(こんなの、前の自分だったらあり得ねえな…)


夜が更けるにつれて、みんなの会話もゆっくりとしたペースになっていく。温泉の疲れと安らぎで、自然と眠気も誘われてきた。


「そろそろ休みましょうか」


エレノアが提案した。


「明日は朝風呂もありますし」


「そうですね」イリヤが頷いた。


「今日は本当に良い一日でした」



翌朝、約束通りみんなで朝風呂に入った。朝の清々しい空気の中で入る温泉は、また格別だった。


「気持ちいい!」


セレスティアが大きく伸びをした。


「体が軽くなった気がします」


イリヤが嬉しそうに言った。


朝食を済ませ、いよいよ出発の時間が来た。宿の主人が見送ってくれる。


「また機会がありましたら、ぜひお越しください」


「ありがとうございました。とても良い思い出になりました」


レンが礼を言った。


街道を歩きながら、みんなの足取りは軽やかだった。温泉のおかげで疲れも取れ、気持ちも新たになっている。


「やっぱり温泉っていいですね」


リシアが振り返った。


「また機会があったら入りたいです」


「そうですね。今度は別の温泉地も探してみましょう」


エレノアが提案した。


「おー、温泉巡りか。面白そうだな」


セレスティアが乗り気になった。


レンは仲間たちの明るい表情を見て、心の中で微笑んだ。こういう平和な時間が、きっと一番大切なものなのだろう。これから待ち受けている冒険も、この仲間たちとなら乗り越えられる気がした。


「さあ、王都まであと少しだ。頑張って歩こう」


「はい!」


温泉での束の間の休息を終え、一行は再び旅路についた。彼らを待つ次の冒険への準備は、もう整っていた。



第七章までの、一休み的なほのぼのエピソードになりました。

少しベタですが、お約束的なこの展開は

是非ともやってみたかったので満足です笑


お付き合いいただきありがとうございます。


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