次なる予感
戦いの後、ガロウはレンの前に跪いた。その顔には、かつての無骨な兵士の面影はなく、ただひたすらな忠誠と、深い畏敬の念が宿っていた。
「坊っちゃん……。このガロウ、今まで坊っちゃんのことを、ただの『役立たず』と……。申し訳ございませんでした!」
ガロウは、深々と頭を下げた。彼の言葉には、偽りのない後悔と、レンへの絶対的な信頼が込められていた。かつて「坊っちゃん、戦場は遊びじゃねえぞ!」と言っていた彼が、今やレンの戦術に心酔し、その可能性を誰よりも理解していた。
「坊っちゃんの戦術は、この世界の常識を覆す。剣と魔法だけの戦いでは、もはや太刀打ちできない時代が来るのかもしれない……」
ガロウの言葉に、レンは静かに頷いた。今回の勝利は、あくまで小さな一歩に過ぎない。没落したアルバート家の再興、そして、この世界の歴史を揺るがす大きな戦いが、これから待ち受けていることをレンは予感していた。
夜空には、満月が輝いている。レンは、見張り台から遠くの王都の方向を見つめた。そこには、まだ見ぬ強敵が、そして、新たな戦場が広がっている。
(これはまだ、チュートリアルに過ぎない。俺の戦場は、もっと広い)
彼の心の中で、再びリロードの音が響いた。次なる戦いへの準備は、すでに始まっている。この異世界で、彼は伝説となる。FPS知識を武器に、戦場を無双する、新たな英雄として。