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異世界リロード 〜没落貴族ですが、現代FPS知識で戦場を無双します〜  作者: 雪消無
第6章 : 『神聖王国の異端審問』

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出来レース

大聖堂に響く重い声と共に、異端審問官長のグレゴール・ド・サリオンが姿を現した。


白い法衣をまとった年老いた司祭は、レンたちを冷たい目で見ると、群衆に向かって厳かに話し始めた。


「我らが神聖王国に仇なす異端者レナード・アルバートを、ここに裁かん!」


大聖堂に集まった民衆は「異端を裁け!」と口々に叫んで、レンたちに敵意を向けていた。


「すごい熱気だね、リシア。まるで俺のファンクラブみたいじゃないか」


レンはリシアに聞こえるように冗談めかして言った。リシアは不安そうにレンの顔を見上げる。


「そんな冗談、やめてください、お兄様…」


「大丈夫だ。これは俺を消すためのショーだ。だからこそ、俺はこの舞台を盛り上げてやる」


レンは堂々と胸を張って、審問官の前に進み出た。


「おい、グレゴール。試合開始前に、俺の罪状をもう一度説明してくれ。俺は国を守っただけだぜ?」


レンの挑発的な言葉に、グレゴールは眉をひそめた。


「貴様の罪状は、帝国との内通、禁じられた武具の所持、そして異端思想の布教だ。貴様が持つ武具は、悪魔の知識によって生み出されたものだと、すでに証拠が揃っている」


「ふむ、悪魔の知識か。俺の戦術は、FPSというゲームで培ったものなんだが…この世界には、悪魔がゲームを遊ぶって伝説でもあるのか?」


レンの言葉に、エレノアが苦笑いを浮かべた。


「兄様…そういう冗談は、やめてください。相手の感情を逆なでするだけです」


「いや、違うぞ、エレノア。これは相手の戦意を削るための心理戦だ。それに観客を味方につけるための、パフォーマンスでもある」


レンはそう言って、リシアに微笑んだ。


審問が始まると、次々と偽の証人が登場した。彼らは、あらかじめ用意された台本通りに、レンを悪く言う証言を繰り返した。


「帝国から禁じられた武具を受け取った!」


「人を操る禁じられた術を使った!」


エレノアは偽証人たちの言葉を聞きながら、静かに分析を続けていた。


「レナード様…彼らの証言は、不自然に統一されています。すでに作られた台本があるかのようです」


エレノアの言葉に、レンはうなずいた。


(ああ、そうだな。FPSでも、同じ動きしかしないBOTは弱い。こいつらも同じだ)


レンは観衆に向かって言った。


「皆さん、よーく見てください。この人たちは、俺が何をしたか、何も知らない。ただ、誰かに言われたことを、オウムのように繰り返しているだけだ。こんな証言、信じるに値すると思いますか?」


レンの言葉に、観衆の一部がざわめき始めた。レンはさらに続けた。


「俺の周りにいる人たちは、真実を知っている。だからこそ、俺はこの舞台で真実を見せてやる」


「セレスティア!」


レンはセレスティアに合図を送った。セレスティアは懐から「軌跡の刃」を取り出すと、高々と掲げた。


「この『軌跡の刃』は、帝国製ではありません! 私、セレスティア・ドレイクが、この手で鍛えたものです!」


セレスティアの言葉に、審問官たちは動揺した。

だが、グレゴールはすぐに立ち直った。


「その鍛冶師も、禁じられた鍛冶の異端者だ! 両者ともまとめて裁いてくれる!」


「違う! 私達は、お兄様を守るために戦っただけです!」


リシアは審問官に向かって、涙ながらに叫んだ。

その言葉は観衆の心を揺さぶり、彼らの間に同情が芽生え始めた。


そして、カティアが前に出た。


「私も、異端者とされた者です」


カティアは審問官にそう告げると、両手を広げて祈りを唱え始めた。だが、その祈りは癒しの光ではなく、攻撃の光に変わった。


「な、なんだ、あの魔法は!?」


「これは信仰を逆唱する禁じられた術…!」


審問官たちはカティアの魔法に驚愕した。カティアは静かに言った。


「信仰は、人を縛るためではなく、人を救うためにある。私はそう信じています」


レンはカティアの言葉に共鳴し、観衆に向かって語りかけた。


「俺たちは、異端なんかじゃない! 人を守るために戦っているんだ! 人を縛る信仰なんか、俺は信じない! 俺は、俺の仲間を信じる!」


レンの言葉に、観衆のざわめきは次第に大きくなっていった。完全な「処刑の舞台」は、「真実を見極める舞台」へと変わり始めた。


グレゴール・ド・サリオンは苦悩の末、最終判断を保留し、「三日後に最終審理を行う」と告げた。レンの主張には反論の余地がないと判断したのだ。


だが、その裏で枢機卿マルケシウスは、レンを最終審理までに消すための刺客を放っていた。


審問後、レンたちは大聖堂の控え室に軟禁された。


「クソ…これは舞台じゃなくて、俺を消すためにあらかじめ結果が決まっている出来レースだったんだな」


レンは悔しそうに壁を叩いた。


「お兄様…」


「大丈夫だ。まだ試合は終わってない」


レンはリシアを安心させるように、そう言った。その夜、彼らは大聖堂の控え室で、迫りくる暗殺者たちの影に身を潜めることになった。

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