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異世界リロード 〜没落貴族ですが、現代FPS知識で戦場を無双します〜  作者: 雪消無
第4章:『旅路での出会いと、新たな力』
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一時帰郷

国王エドワードとの謁見を終えたレンは、新たな重責に身が引き締まる思いだった。王国の軍事顧問という立場は、単なる名誉職ではない。それは、王国の戦略の全てに関わる、文字通りの『高難度ミッション』だ。


レンが最初に国王から命じられた任務は、王国とヴァルクス帝国との間で緊張が高まる国境問題への対処だった。帝国は、豊かな鉱物資源を誇る国境沿いの領地を巡り、数年前から小競り合いを繰り返していた。


戦術の実力があるとはいえ、レンは辺境の没落貴族だ。

軍事顧問という国の重要なポストに任命されれば周囲の貴族達から反感を買ってしまう。


国王としてはレンの実力を貴族達に知らしめるため、また今後の改革のためにもレンに実績を作らせようと言うことだろう。またレンの側にはこの問題を解決するための重要な人物がいることも一因だろう。


「この問題は、単純な武力衝突では解決できぬ。両国ともに、背後に複雑な思惑が絡んでいる」


国王は、そう言ってレンに任せた。この国境問題には、セリナ・ヴァルクスという、もう一つの大きな『変数』が関わっていた。



レンは、セリナの部屋を訪ねた。

彼女は、王国の捕虜でありながらそのプライドは微塵も揺らいでいなかった。

しかし、故郷が危機に瀕していることに彼女の心は密かに揺れていた。


「レン、この問題をどうするつもりだ? 私を盾にして、帝国を脅すつもりか?」


セリナは、レンを鋭い視線で見つめた。彼女の言葉には、捕虜としての諦めと、故郷を想う切なさが滲んでいた。


「セリナ、俺は君を『盾』にする気はない。だが、この問題は、君の協力なしには解決できない『チームミッション』だ」


レンは、セリナを『交渉材料』としてではなく『仲間』として捉えていることを伝えた。

彼は、セリナを連れて国境へ向かい彼女の故郷への想いを最大限に利用することを考えた。

それは軍事顧問として、そして彼女の「ライバル」として彼女のプライドを傷つけないレンなりの最善の選択だった。



レンが、今回の任務に同行するメンバーを検討しているとエレノアが静かに部屋に入ってきた。


エレノアは、裏切りの代償として、王室からの「情報源」としての立場を失った。しかし、彼女は後悔していなかった。


彼女の心には、レンたちと掴んだ勝利の喜びと仲間として受け入れられた温かさがあった。


彼女は、アルバート家に仕えることを志願し、レンの「軍師」としての役割を担うことを望んだ。彼女の持つ膨大な知識と分析能力は、レンのFPS戦術と融合し今後も勝利に貢献するだろう。


彼女は、もはや王子の「道具」ではない。

レンという「人間」と共に、新たな「物語」を創造する

「仲間」となろうとしていた。

彼女は、その行動によって王子の密偵であった過去を清算しようとしていた。


「レナード様。今回の任務には、わたくしも同行させていただけますでしょうか?」


エレノアは、まっすぐな瞳でレンを見つめた。彼女の知性は、今回の複雑な問題の解決に不可欠なものだった。

しかし、レンは彼女を王都に置いていくべきか迷っていた。


「エレノア。君は、王子の謀略に関わった。王都に残れば、君は監視下に置かれ、再び危険にさらされるかもしれない。だが、旅はさらに危険だ。それでも君は行くのか?」


レンの言葉に、エレノアは静かに首を振った。


「わたくしは、もう『完璧な駒』ではありません。わたくしは、『人間』として、レナード様と共に歩みたい。そして、わたくしが失った信頼を、この手で取り戻したいのです」


彼女の言葉に、レンは、彼女がもはや『裏切り者』ではないことを確信した。彼女は、レンの戦術を理解する唯一無二の頭脳であり、何よりもレンの『仲間』だった。


「わかった。エレノア。今回の任務は、君の『成長』と『信頼回復』をかけた、新たな『クエスト』だ。君の力が必要だ」


レンは、そう言ってエレノアを迎え入れた。



国王エドワードは、レンがセリナとエレノアを連れて行くことを知ると、一瞬驚きを隠せなかった。


「お前は、この二人の危険な女を、まるで信頼できる仲間のように扱うのだな」


国王の問いに、レンは微笑んで答えた。


「陛下。戦場には、『完璧な武器』などありません。ただ、『信頼できる仲間』がいるだけです。この二人こそ私の最強の『装備』です」


レンの言葉に、国王は静かに頷いた。彼は、レンの持つ、人を見抜く才能、そして人々を惹きつける『カリスマ』を改めて認識した。


レンは、リシア、ガロウ、そしてセリナとエレノアという、個性的だが信頼できる仲間たちと共に、故郷の領地へと一時帰郷することになった。軍事顧問という重責を担う前の、つかの間の休息にもなるだろう。彼の心は、王都での戦いの緊張から解き放たれ、安堵と、新たな冒険への期待で満ちていた。


だが、この旅は単なる帰郷ではない。それはヴァルクス帝国との国境問題、そしてセリナとエレノアという二人の女性の過去と向き合う、新たな物語の始まりだった。レンは、故郷で心を休め、来るべき『戦』に備える。

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