表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界リロード 〜没落貴族ですが、現代FPS知識で戦場を無双します〜  作者: 雪消無
第3章:『王子の謀略と、絆の勝利』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/163

完璧な「理論」の終着点

戦いでの敗北後、レオンハルトは王都から姿を消した。彼の敗戦は、ただの敗北ではなかった。それは、彼が信じ続けた「完璧な論理」が、レンの「予測不能な人間性」によって打ち破られたことを意味していた。


彼の権威は失墜した。王都の貴族たちは、敗北した王子に冷たい視線を向け、彼を支持していた者たちも次々と離れていった。レオンハルトは、かつて自分がチェスの駒として見ていた人々に裏切られ、初めて「孤独」と「挫折」という感情を味わった。


レオンハルトは、もはや王位継承権を持つ王子ではない。彼は、権力という「ゲーム」に敗北し、完璧な論理の「檻」に閉じ込められた哀れな敗者となった。


彼は、レンの戦術を分析し、「データ」として完璧に理解したつもりだった。しかし、彼が理解できなかったのは、レンの強みが、その知識ではなく仲間との「絆」にあるという事実だった。彼は、エレノアを「道具」として見捨てたが、レンは彼女を「仲間」として受け入れた。


その違いこそが、勝敗を分けたのだ。


レオンハルトは、敗北の屈辱に耐えきれず王都を離れた。彼が向かった先は、誰にも知られていない、王家が管理する辺境の図書館だった。そこは、王国の歴史、戦略、そして魔法に関するありとあらゆる知識が眠る場所…。


「ここなら、求める答えが見つかるかも知れない…」


彼は、この場所で、レンに敗北した理由を、もう一度最初から解き明かそうとしていた。


姿を消した当初の目標は、ただ一つだった。


「レンを打倒し、自分の完璧な論理が正しいことを証明すること」


彼は、敗北を単なる「作戦の失敗」とは考えていなかった。それは、彼の人生そのものを否定された敗北だった。彼の野望は、王となることで王国の秩序を完璧なものにすること。レンの「人間性」という予測不能な力は、その野望にとって最大の障害だった。


彼は、レンに勝つための「答え」を求めて、王家の辺境の図書館で古代の書物を読み漁った。彼の希望は、書物の中に、レンの戦術を打ち破るための、より完璧な「理論」を見つけることだった。


「必ず見つけ出してやる。お前の非効率で、非合理な戦術を打ち破る、完璧な答えを」


彼は、孤独な書斎でそう誓った。彼の心には、敗北の屈辱とレンへの憎しみが渦巻いていた。


だが、レオンハルトは古代の書物の中に意外な真実を見つけた。それは、かつて完璧な論理と魔法で栄えた王国が、「感情」を排除した結果、滅びたという記述だった。


その王国は、かつて高度な魔法技術と、完璧な軍事戦略で栄えたという。だが、ある日突然、歴史から姿を消した。レオンハルトは、その王国の滅亡に、レンの戦術に通じる「何か」があるのではないかと直感した。


「なぜだ…? 私の論理は、完璧だったはずだ…」


彼は、何日も何夜も、書物を読み漁り、古代の王国の滅亡の原因を探し続けた。しかし、見つかるのは、謎めいた記述ばかり。


「彼らは、感情を捨て、『完全なる論理』を求めた。しかし、その結果、彼らは…」


レオンハルトは、その言葉の意味を理解できなかった。彼は、「完璧な論理」こそが、勝利への唯一の道だと信じていたからだ。


彼はさらに深く書物を読み進めた。すると、そこに書かれていたのは、人々の心を動かす「不完全な歌」や、誰かのために命を懸ける「非合理な愛」が、その王国を救おうとしていた、という物語だった。


レオンハルトは、その物語に、リシアの兄を想う純粋な心や、セリナの負けず嫌いな情熱、そしてエレノアがレンのために裏切った、あの「非合理な行動」を重ね合わせた。


(私が求めていた完璧な答えは、ここにはない…)


彼は、自分が信じていた完璧な論理が、実は人々の心を動かす「不完全な力」の前には無力であるという、残酷な真実に直面した。彼の野望は、もはや意味をなさなくなった。


レオンハルトは、書物を閉じ旅に出ることを決めた。王都での敗北以来、彼は初めて自分の「不完全さ」と向き合った。彼は、レンの戦術が単なる知識の模倣ではないことに気づいていた。


それは、人々の心を動かし、「絆」を力に変える、予測不能な力。それは、彼が最も嫌悪しそして最も理解できなかったものだった。


レオンハルトは、旅を続けていた。彼の心は、レンに敗北した屈辱と信じていた完璧な理論が崩壊した絶望で満たされていた。彼は人々の心を理解するため、小さな村々を巡り、その生活を観察していた。しかし、人々の感情は彼にとって依然として予測不能な「ノイズ」でしかなかった。


レオンハルトの気持ちの変化をもう少し掘り下げたくて2話構成にしました。すでに読んでいただいた方々には申し訳ありません。ご容赦いただけますと嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ