『アンチチート』と政治的決着
俺は、ガロウ率いる騎士団と、セリナ率いる精鋭部隊を率いて迷宮に突入した。
迷宮内は、薄暗く、どこからともなく不気味な音が聞こえてくる。まるで、『ホラーゲーム』の『ステージ』のようだ。だが、俺は冷静だった。
ゼノス公爵が仕掛けた魔物や罠が待ち受けていることは、エレノアの情報で分かっている。俺は、FPSで培った『状況判断力』と『冷静な分析力』で、罠を見抜き、魔物を撃破していく。
「『クリアリング(角から覗き込み)』を徹底しろ! どこに敵が潜んでいるか分からないぞ!」
俺は先頭を歩きながら周囲を警戒する。
通路の角を曲がるたびに、俺の『戦術眼』が、敵の潜伏場所を予測する。ガロウの部隊が『フラッシュバン』の代わりに光魔法で『閃光弾』を放ち、魔物たちの視界を奪う。
その隙に、セリナの部隊が猛然と突撃し、魔物たちを斬り伏せていく。魔物たちは、どちらに反応すればいいのか分からず、混乱状態に陥っている。
まるで、『パニック状態』の『敵プレイヤー』のようだ。
(よし、『クロスファイア』成功。これで敵は『身動きが取れない』状態だ。あとは『掃討』するだけだな)
迷宮の奥深くで、強力な魔物の群れと遭遇した。
その数は俺たちの想像を遥かに超えている。だが、俺は冷静だった。こんな時こそ、『ラッシュ』と『リテイク』の戦術を使い分ける時だ。
「全軍、『ラッシュ』だ! 一気に押し切れ! リシア、援護を頼む!」
騎士たちに『突撃』を命じる。
リシアは、俺の指示を受けて光魔法で兵士たちを『支援』する。彼女の光魔法は、兵士たちの傷を癒し、士気を高める。
まるで、『ヒーラー』が『アルティメットスキル』を発動したかのようだ。
兵士たちはリシアの光に包まれ、恐れることなく魔物の群れに突撃していく。
だが、魔物の反撃も激しい。
一部の部隊が分断され、『孤立』してしまう。
そんな時こそ、『リテイク』の出番だ。
これは、一度失った拠点を奪還する戦術だ。
例えば、『レインボーシックスシージ』のようなゲームで、敵に占拠された『目標地点』を連携して奪い返す戦術だ。
「セリナ、分断された部隊を『リテイク』する! お前が『突破口』を開け!」
セリナは俺の指示を受けて、火魔法を纏った剣を振るい
魔物の群れを切り裂いていく。
その動きは、まるで『アサルト』が『敵陣』に切り込んでいくかのようだ。彼女は、俺の戦術を完璧に理解し、それを実行してくれる。
リシアの光魔法が『支援』として、セリナの剣技が『突撃』として機能し、俺の戦術を支える。
俺は、この『パーティー』の『チームワーク』に改めて感動していた。
その時、迷宮の最深部でゼノス公爵が仕掛けた『罠』が発動した。
それは古代の魔法装置を悪用した、強力な『幻覚』や『混乱』を引き起こす罠だった。
公爵は、俺がこの罠にかかり自滅することを狙っている。
まるで、『精神攻撃』を仕掛けてくる『敵プレイヤー』のようだ。だが、俺にはエレノアからの情報とFPSで培った『状況判断力』と『冷静な分析力』がある。
即座にそれが『幻覚』であることを見抜いた。
(公爵、まさか直接に『精神攻撃』を仕掛けてくるとはな。
国全体から見れば俺を排除したら国防にとってデメリットしかないはずなのに…
自分の権力しか見えない奴らはどこかの国の政治家と同じで俯瞰して見ることが出来ない。
致命的な弱点だ。そして俺の『アンチチート』は完璧だ。)
俺は罠の『メカニズム』を理解し、それを逆手に取る。
だが、その瞬間、俺の視界が歪み頭の中にノイズが走り始めた。
強力な『幻覚』が、俺の精神を蝕もうとしている。
まるで、『フラッシュバン』を直撃したかのような状態だ。
俺は意識を保つのがやっとだった。
「お兄様!」
「レナード!」
その時、リシアとセリナ、そしてエレノアの声が聞こえた。三人が、それぞれの能力で俺をサポートしてくれたのだ。
リシアは、光魔法で俺の精神に干渉し、幻覚を打ち消そうとする。彼女の光は、俺の精神を包み込み、まるで『デバフ』を解除する『スキル』のようだ。
セリナは、剣技で罠の起動装置を破壊しようと試みる。
彼女の剣は、迷いなく装置に振り下ろされ火花を散らす。
エレノアは、古代の知識を総動員し罠の解除方法を見つけ出そうとしていた。彼女の瞳は、まるで『データ』を解析する『AI』のように、高速で情報を処理している。
「レナード様、この罠は、古代の『精神干渉魔法』が使われています! 『解除コード』は……」
エレノアが、必死に解除コードを叫ぶ。俺は、その言葉を頼りに、残された意識で魔法装置を操作する。リシアの光が俺の精神を支え、セリナの剣が罠の物理的な部分を破壊していく。三人の協力により、俺は罠を突破し、公爵の策略を完全に打ち砕いた。
(ふん、公爵、お前の『チート』は、俺の『アンチチート』には通用しないんだよ)
俺は、この状況を『アンチチート』と認識し公爵の『チート』を無効化したと独りごちた。
遠方から魔法で一部始終を覗いていた公爵は、自分の罠が破られたことに驚きを隠せない。
彼の顔はまるで『ゲームオーバー』の文字が表示されたかのように絶望に染まっていた。
俺は、そんな公爵の様子を想像して、心の中で『GG(Good Game)』と呟いた。
迷宮攻略の成功と公爵の策略の露呈により、公爵の立場は完全に失脚した。王都の貴族たちの間では、公爵の失脚が大きな話題となった。
彼らは、俺の『戦術』だけでなく、『政治的な手腕』にも驚きを隠せないようだった。
第一王子も、レナードの予想外の勝利に動揺を隠せない。彼は、俺を『利用』しようとしたが、逆に俺に『利用』された形になったのだ。
(王子、お前もまだまだだな。この『政治的なゲーム』は、もっと奥が深いんだよ)
俺は、王子の動揺を察知し心の中で静かに笑った。
この『ゲーム』は、俺が『支配』する。
国王は俺の功績を称え、さらなる高位の爵位を与えようとしたが俺はそれを辞退した。
俺が欲しいのは、名誉や地位じゃない。
この世界で俺の『FPS知識』を最大限に活かせる場所だ。
第一王子は、レナードの能力を危険視しつつも、その利用価値を再認識したようだ。
彼は、今後の王位継承権争いに俺を巻き込もうと画策しているのが手に取るように分かった。
だが、俺は彼の思惑を察知している。
新たな『政治的ミッション』の開始を予感した。この『ゲーム』は、まだまだ終わらない。