父の涙と、家族の絆
王都での訓練が続く中、国王主催の演習試合が開催されることになった。
俺の指揮するアルバート家の部隊が、王国の騎士団と対戦するというのだ。
「レナード」
父が俺の前に立った。
「もしこの演習で、騎士団に勝てたら...。わしは、わしの名誉を、お前に譲ろう」
父アルバート男爵が、俺の前に頭を下げた。
(え...父さんが頭を...)
父の言葉に、これまでの冷たかった彼の態度からは想像もできないほどの、切実な思いが込められていることを感じ取った。
「俺は、お前をずっと家の恥だと思ってきた」
父の声が震えている。
「だが、お前は、わしが失った誇りを再び取り戻してくれた。この演習で、お前の力を王国の全ての者に示してやってくれ」
男爵の目には涙が浮かんでいた。
俺は、何も言わずに静かに頷いた。
(任せてくれ、父さん)
演習試合当日、多くの貴族や騎士たちが俺の戦術を見ようと訓練場に集まっていた。
「すごい観客だな」
「緊張するな...」
俺は、アルバート家の兵士たちと、彼に賛同した王都の私兵たちを率いて騎士団に挑んだ。
騎士団は、個々の武勇に優れていたが、俺の指揮する部隊は、完璧な連携で彼らを翻弄していく。
まるでFPSのプロチームが、アマチュアチームを相手にしているかのように。
「散開!」
「カバー!」
「フォーメーション!」
俺の指示が、訓練場に響き渡る。
兄たちは、俺の指示に従い、完璧に役割をこなしていく。
かつて俺を「役立たず」と罵っていた彼らが、見違えるような動きで相手を打ち負かしていく。
(いいぞ、その調子だ)
そして演習は、俺の部隊の圧倒的な勝利に終わった。
観衆は、一様に呆然とし、やがて、俺とアルバート家の部隊に、惜しみない拍手を送った。
「やった...!」
「勝ったぞ!」
兵士たちが歓声を上げる。
父アルバート男爵は、歓喜の涙を流し、俺の肩を抱きしめた。
「レナード...!お前は、アルバート家の誇りだ!わしは、お前のことを...」
父の言葉は嗚咽で途切れた。
その姿に、俺は初めてこの世界で「家族」という存在を得たことを実感した。
兄たちは、俺に駆け寄り、その手を取った。
「レナード、お前は、俺たちの誇りだ」
ルーファスが言う。
「お前の戦術は、この王国の常識を変えるだろう。俺たちは、これからもお前と共に、この家を守り続ける」
俺は、兄たちの言葉に深く頷いた。
かつてのわだかまりは溶け、そこには新たな家族の絆が生まれていた。
それは、かつて俺が失ったかけがえのないものだった。
(これが...俺の新しい家族か)
その夜、俺は自室でリシアからの手紙を読んでいた。
そこには、王都での活躍を喜ぶ、妹からの温かい言葉が綴られていた。
『お兄様、王都でのご活躍、本当におめでとうございます。お父様も、お兄様たちも、みんなお兄様のことを誇りに思っているはずです。私も、お兄様のことを心から誇りに思います。早く会いたいです』
俺は、その手紙を胸に抱き、静かに微笑んだ。
(これでいい。この世界で、俺は俺の居場所を見つけた)
窓の外には、満天の星空が広がっていた。
(今度こそ、俺は何も失わない)
前世で失った仲間、家族、夢。
でも、この世界で、俺は新しい絆を手に入れた。
俺の心の中で、再びリロードの音が響いた。
(俺は、今、新たな人生の本当のスタート地点に立っているんだ)
そして、その背後には、俺を信じ、支えてくれる、かけがえのない家族や仲間の存在があった。
父、兄たち、リシア、ガロウ故郷のカイやミア……そしてセリナ。
(みんな、ありがとう)
俺は心の中で呟いた。
新しいゲームが始まった。
でも今回は、一人じゃない。
最高のチームメイトが、俺の周りにいてくれる。
(さあ、次のステージへ進もう)
俺は決意を新たに、明日への準備を始めた。
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