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異世界リロード 〜没落貴族ですが、現代FPS知識で戦場を無双します〜  作者: 雪消無
第7章:魔族領域の秘密と、転生者の遺産
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隠された聖典の秘密

新しいヘテロジェニア連合の再建が始まって一週間。レンは、日々活気を取り戻していく街の様子に、安堵と、かすかな疲労を感じていた。


そんな彼らを、ルシファードが地下の書庫へ招き入れた。


書庫は、湿った空気と古書の匂いが混ざり合い、静寂に包まれていた。かすかな光が差し込む中で、ルシファードは一つの古い本棚の前で立ち止まる。


「君たちに、見せたいものがあるんだ」


ルシファードの声は、いつもより厳粛だった。彼の指が、棚の一角に置かれた聖典に触れる。


「戦いの最中に話す機会がなかったが、実は聖典にはまだ秘密がある」


レンの心臓が、微かに跳ねた。彼の視線は、ルシファードの手元に釘付けになる。リシアが隣で息をのむ音が聞こえた。


「隠された秘密って…?」


「そうだ。初代魔王、田中一郎が残した聖典には、表に書かれた内容以外にも、重要な情報が隠されている」


ルシファードが聖典を取り出し、ある特定のページを開いた。一見すると、何の変哲もない文章が並んでいるだけ。だが、レンの目が、文字の間に刻まれた、微かな印を捉えた。


「これは…」


エレノアが驚きの声を漏らした。


「暗号、ですね?」


「その通り。田中一郎は、重要な情報を暗号で隠していた」


ルシファードは、ポケットから特殊な水晶を取り出した。その水晶をページにかざすと、淡い光が文字の上を滑っていく。すると、まるで魔法のように、隠されていた文字が浮かび上がった。


「すごい!」


イリヤの目が輝いた。


「魔法の文字だ…」


カティアが身を乗り出す。


「何て書いてあるんですか?」


ルシファードは、厳粛な表情で読み上げた。


「『後の転生者へ。もし君がこの文字を読んでいるなら、世界に大きな危機が迫っているはずだ』」


レンは、全身に鳥肌が立つ感覚を覚えた。初代転生者が、自分のような存在を、百年以上も前に予見していた。まるで、時空を超えたメッセージを、直接受け取ったかのようだった。


ルシファードは、次のページをめくった。


「『この世界には「古の門」と呼ばれる、世界の理を司る古代文明の遺産がある。しかし、現在この門の歪みが広がりつつあり、このままでは世界の魔力バランスが崩壊する危険性を孕んでいる』」


セレスティアが眉をひそめた。


「古の門?聞いたこともねえな」


「聖典によれば、世界の根幹を支える存在らしい」


ルシファードは説明を続けた。


「この門の歪みが進行すれば、世界全体の魔力が暴走し、すべての種族が滅亡する可能性がある、と」


エレノアが青ざめて、口元を押さえた。


「そんな…」

ルシファードがさらに読み続けた。


「『転生者がこの世界に送られるのは偶然ではない。古の門の脅威に対処するための必然である。しかし、一人の力では不可能だ。すべての種族が協力しなければ、この危機は乗り越えられない』」


レンは、唇を噛みしめた。アークヴァルドとの戦いで証明された、仲間たちの絆の力が、今度は世界全体で求められている。


「最後に、こう記されている」


ルシファードが最後のページを開いた。


「『後の転生者よ、種族の垣根を越えた真の同盟を結べ。人間、魔族、獣人、そしてすべての知的生命体が手を取り合わなければ、古の門の脅威に立ち向かうことはできない』」


カティアが、震える声で尋ねた。


「つまり…世界的な危機が迫っているってこと、なんですか?」


ルシファードは、静かに頷いた。


「その通りだ。そして、その兆候は既に現れ始めている」


リシアが不安そうに尋ねた。


「兆候って…?」


「各地で報告されている異常現象だ」


ルシファードが、書庫の机に広げた地図を指差した。


「魔力の異常な集中や消失、気候の急激な変化、古代遺跡からの不可解な反応…これらはすべて、古の門の歪みが進行している証拠なんだ」


「最初は疑ったが、やはり間違いじゃなかった」


彼は、新しい資料を取り出した。


「アルバート王国、帝国、神聖王国、そして砂漠連合の各国で、同様の異常現象が報告されている。特に砂漠連合のアルバニア王国では、古代遺跡から謎の光が発せられているという報告がある」


ルシファードは、地図の上の点々を指差した。


「現地の学者たちも困惑している状況だ」


エレノアは、その話を聞き、深刻な表情になった。


「やはり、古の門の影響は世界規模で始まっている…」


ルシファードは、レンたちに、静かに問いかけた。


「種族を超えた真の協力で、この世界を守りましょう」


「そうですね」


イリヤが、希望を込めて答えた。


「みんなで力を合わせれば、きっとできます」


セレスティアが、力強く拳を握った。


「古の門の脅威なんて、俺たちが止めてやる」


「でも、そのためには…」


レンは、仲間たちを一人ずつ見つめた。


「初代転生者が言った通り、すべての種族との同盟が必要だ」


「世界的な同盟…」


エレノアが考え込んだ。


「確かに、一国だけでは対処できない規模の問題ですね」


ルシファードは、決意を込めて言った。


「それでは、真の同盟結成に向けて、動き出そう」


「はい」


リシアが、兄の手を握った。その手は、小さくても、レンに勇気を与えてくれた。


「私たちみんなで、世界を救いましょう」


こうして、古の門の脅威が明らかになり、世界を救うための壮大な計画が始まった。初代転生者の警告を受けて、真の種族間協力への道のりが開かれたのである。

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